投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
>「中年智恵」の本質……「智恵」が「力」をコントロールする、力とともにその使い方の技術も向上していくということ
>「力を封じ込める能力」どうすれば刀を抜かなくてすむか、それが「中年智恵」の本質なのではないだろうか。わめきちらし暴れまくっている人間よりも、いつでも抜刀できる姿勢を保ちつつニコニコしている人間のほうがはるかにこわい。力と智の均衡が結ぶ静かな微笑の奥に巨大な爆発力が封じ込められている、これこそ「理想の中年」像というものではないだろうか。
>力をみだりに使わないことがもたらすやさしさというのは、若い人の優柔不断を誤解して言われるところの「やさしさ」とは対極に位置する、ほんものの「やさしさ」なのだろう。
>ではこの力は、もし万一使われるとしたら何に対して使われるべきなのか。中年の力というのは中年が自分の核の中に抱いている「こども」、これを守ることのためにのみ使われるべきなのではないか。ことばとしての「こども」の中には「天使の属性」のひとかけらがある。
>その輝いていて美しいけれど何の防御力も智恵もない、自分の中の「こども」を守るのが、中年の力と智恵なのではないだろうか。おおくの天才、偉人の中に、おおいなる幼児性と老成した知性が共存しているのはそのためであると思われる。
>「大人」など存在しない。大人と見えるものは、かつての迷い子が行き迷い行迷い、とんでもなくまちがった道を辿ってその先の砂の中の村に辿り着いた、そのなれの果てなのだ。愚鈍と忘却と教条だけが彼らに形を与えている。
>厄災を嘆かない。厄災をテコのように扱って、新しい自分を顕現させる。転んでも砂をつかんで立ち上がってくる。
いい歳の取り方をしたい、載ってる本を一通り読んでみたい、そう感じる一冊
らもさんの言葉は、効く。
身障者プロレスのくだりもよかった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
中島らもの文体は心地よい。森毅に通じるものがある。二人とも大阪の人だ。この本は中島らものごく短いエッセーを集めたもので,文庫解説をはじめとした小書評が目立つ。そして中島らもの紹介は何ともその本を面白そうに書くのである。この点,井上ひさしに通ずる。読みたい本が増えてしまって困る。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
毎日を淡々と過ごしていると、周りと同じように働いて周りが言う「よい」人生を歩まなくてはいけないという無言の圧力がかかるときがある。本当はそんなものから解放されて、ずっとあたためているやりたいことをやったり、少しばかり休息したいのにという思いを持ちながら…。この本の短いエピソードは、お決まりのコースを順風満帆に進んでいては貧弱な出会いしか得られないということを教えてくれます。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
著者が出会ってきた本や作家を書き綴ったエッセイ集。
短い文章ですっきりさっぱりと書かれていて、気楽に読めました。
笑いの本質についての意見が興味深かった…
私も夢中になれる本に出会いたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
映画にしろ小説にしろ、ごくたまにだが、「いつまでもこの世界の中で遊んでいたい」という気持ちにさせる作品に出会うことがある。そういう作品がはらむ世界には、空気の中にその作品だけが持つ独特のフレイバーがあり、それが自分の生理に同調するのである。
田辺聖子さんの著書の解説にらもさんが書いた文章だけれど、これがスゴク気に入った。
いつまでもこの空気を吸って駘蕩とした気分で滞在を続けたい。もとの世界に帰りたくない。
わかるなぁ。これが我々の世代でいうところの「ビューティフル・ドリーマー」的な、あるいはエンドレスエイト的な、つまり終わらない学園祭的な無限ループ世界への憧れに続くのではなかろうか。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
この本に出てくるほとんどの本を読んでいないし、時代も違うのでよくわからない話も多いが、単純に自分は中島らもという人物に興味があるので楽しく読めた。
よみたい本もでてきたので、ブクログに登録しておいた。
短い文章の中にたまにぐさりと来る言葉がある。それは多分人によって違うので探してみてほしい。
これだけのインプットをしながら病気も抱えながら、多くの作品を生み出せるらもさんの脳みそはどうなっているんだろうな。自分も少し文章を書いてみたくなった。
らも節を気楽に感じられる一冊。またいずれ読み返すと思う。