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日銀は自らおカネをつくれる。金利も操作できるし、民間銀行を介さずに、直接、市場におカネを入れることもできる。その機能を果たせば、90年代、不良債権問題で経営状態が非常に悪くなってしまった民間銀行に代わり、日銀はおカネを供給できたのだ。(…)90年代より経済が深刻だった戦後、日銀はちゃんと責任を果たしている。敗戦で紙クズになった戦争国債や、民間銀行から政府や武器メーカーへのローンを買い上げ、また資金を企業に直接貸し出した。おかげで景気は急速に回復。日銀はゼロコストで不良債権を償却できるのだ。35
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景気のよし悪しをはかるGDP成長率だが、用いるのは「実質」ではなく「名目」でなくてはいけない。デフレで物価が下がっているから、名目GDP成長率がゼロでも、実質GDPで見るとプラスだとする人もいるが、これは間違い。なぜなら会社の売り上げも、社員の給料も、すべて名目だからだ。(…)実質GDPは70年代に2ケタのインフレが発生するようになり、名目GDPでは実態を把握できないということで出てきた考え方。インフレ時にはわかりやすい指標だが、デフレ時に通用するかは疑問だ。47
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量的緩和の方法として日銀がとったのは、当座預金残高と、買いオペの増大である。このうち当座預金残高は、それを増やす意味がわからない。銀行から企業へのおカネの流れが詰まっているのに、銀行が日銀に預けるおカネを増やしても、なんの効果も出ないのは明らかだろう。(…)「国債の買い切りオペを12兆円やります」と日銀はいうが、ほかはどうなのか。日銀が買いオペの対象にできるのは国債のほかにCP、手形、為替などいくらでもある。国債の買いオペがプラスでも、CPの買いオペがマイナスなら効果は相殺される。53
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