紙の本
帯に“事件は小さいけれど、悩みは深い。”とある。読者にとっては“宮部さんだから作品評価をするにあたって悩みはきっと深い”のであろう…
2004/02/01 14:19
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投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々の現代物で期待して読んだのですが、残念ながら決して読後感のいい作品ではなかった。
やはり、かなりの社会派作品でなければ時代小説の方が、今の彼女には合っているのだろうか?
どうしても“ありきたり”というレベルの作品で落ち着きそうですね本作は…
最近読んだ羽田圭介さんの『黒冷水』は男性兄弟の確執を描いていたが、本作は逆バージョンである。
ただ大人の女性同志なので(年齢が高い)、あんまり共感出来なかったのも確かかな。
女性読者が読まれたら宮部さんの『夢にも思わない』と同じようなタイプの教訓を与えられるのかもしれません。
主人公の“逆玉”の三郎が初めは少し情けないような気もしたが、菜穂子と知り合ったいきさつなんかを知るにつれて、意志の強さが感じられた点は評価したく思う。
あと、愛娘の桃子ちゃんが癒してくれる存在だったのは助かった気がした。
ラストあたりの展開はちょっと意外で面白いと言えば面白いのだが、心暖まるものが少なかったような気がする。
でも人間の心情は描き切ってる点も見逃せないかな。
作品全体としては適度なユーモアをまじえた、読みやすい文章は過去のどの宮部作品と比べても負けないであろう。
特に美空ひばりや“金妻”の歌などはとっても印象深い。
事件は小さいが、加害者側の気持ちもまじえて描いてる点はさすがである。
ここからが本音です(笑)
ちょっと姉の聡美が気の毒すぎてスッキリとした気分で本を閉じれなかったのが残念だ。
彼女は裏の主人公とも言えそうで、きっと三郎より彼女の方の印象度の方が強いであろう点は、どうしてもこの作品をいつもの宮部さんの“ハートウォーミング溢れる作風”からかけ離している証拠ともなっている。
でもそれがきっと宮部さんの読者にわかって欲しい“良識”なんでしょう。
そういう点では“女性読者向けの作品”とも言えそうです。
“男性選びは慎重に!”ということでしょうか?(笑)
トラキチのブックレビュー
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宮部みゆきワールドへの第一歩目がこの本でした。後味がとにかく悪かった…(ノ_-。)他の作品はこんなことないんだよね?
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いつかは購入しようと思っていた本。今日、購入しちゃいました。これからです、読むのは。
帯より『事件は小さいけれど、悩みは深い。稀代の物語作家が、あなたの魂を揺さぶる新たな代表作を、いまここに生み出した──』
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ちょっと期待しすぎた・・・
期待ハズレまではいかないけどちょっと、物足りなかったなぁ〜。
でも、人間関係のドロドロさはさすがだなぁ〜。
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ある男の死んだ原因をつきとめろと、舅の依頼で調査を始めた主人公。男の人生を辿り、淡々と進む物語ではあるが、ラストのきれいさは宮部みゆき独特のものだなと感じいる。
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ある財閥の会長の極個人的な運転手だった男が自転車に轢かれて亡くなった。
事故ではなく企まれたことだと主張する二人の娘は 犯人探しの助けにしようと 父の思い出を本にしようとする。本の編集者として選ばれたのは 会長の娘婿。
一人の人間の一生とは 傍から見るだけでは計り知れないことが山のように積もっている。事の重大さの大小はあっても 誰もが何かを背負って生きているのだ。押し潰されそうになりながら しかし押し潰されるわけにはいかずに 宥めながら 闘いながら。
何不足ない幸福の中にいるように見える娘婿――この物語の語り手的存在でもあり探偵役?でもある――にも心には他人には見えない翳りはある。そしてそれが 幸福すぎる彼に反感を抱かせずに物語を委ねられる理由でもあるように思う。
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約4時間
帯通り、事件は小さいが、悩みは大きい。
LASTがもう少し、さわやかならば、心地よいが、それだとあまりに大衆向けすぎか?
これはきっと推理ものってことにした、人間描写モノ。
宮部みゆきのでも新しい感覚。
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これをミステリーと呼ぶのは嘘だろうなあ、と思うような話でした。主人公がある人物の死亡事故の真相を追っていくのだけど、実はそこはまったく話のメインではない、という。
私は宮部さんの書く人間模様が事件そのものよりも好きだったので、この話もけっこう楽しみながら読めました。
……ただ、どうしてもひとつ解らないのが……なぜこの話のタイトルが「誰か」なのか? ということだったり。私の読解力が足らんのでしょうか。うーむ。
(読書日:2004/3)
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先日、「炎と氷」を読んで、そのすざましい主人公をみたあとに、この「誰か」の探偵役になるのは、なんともひょうひょうとしたマイルドな雰囲気がとりえのサラリーマンです。
財閥の会長の妾の娘と結婚し、その傘下企業で働く主人公「杉村」は、その立場から裕福で幸せの毎日で悩みがないように周りから思われる役です。この「誰か」のストーリーから言えば、中編くらいの小説になっていたかもしれないけど、この杉村の雰囲気が単に裕福な悩みのないのほほんとしたやさしさでなく、誇りを持った芯のある強いやさしさに裏づけされいて、だからこそ家族を温かい目で見てることができるのだろうと分かるようになるには、これくらいの分量の小説になるのかもしれません。
模倣犯やクロスファイヤーなど、過去の作品からこの作品を同じ系統で宮部みゆきさんに期待すると、物足りなさを感じるかもしれないけど、逆に私はそこがよかったと感じました。
ミステリーとしては、一応、謎はあるけど、ま、その点は私にとってはあまり意味がないほどに思えました。
2003.12.31
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主人公の目線で丁寧に書かれているのだけど、やや話の展開がスロー気味かな。続編が出てもいいのではという設定。(2004.12.9)
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非常に読みやすいので、読書苦手な方でも入りやすいのでは。結構後味の悪い話なんですけど、それを上手くマイルドにしている所は流石です。
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義理の父が経営する会社の、私用運転手が自転車事故に遭い亡くなってしまう。残された二人の姉妹が父の事を本にしたいというので、義理の父に編集者として依頼され運転手の過去を辿り直す。だが、妹と違い、姉はあまり父親の過去を妹に知らせたくない事情があった。姉の幼い頃の記憶に不自然な点があり、事件性を匂わせるが・・・ミステリーっぽくはなかったように思います。期待していただけに物足りなさがありました。
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宮部さんらしく、読み手の興味をそらさない展開。「理由」や「模倣犯」に比べると、少し軽めではありますが、ジーンとくるところもありました。
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「ひとは一人では生きてゆけない―」事件としては小さなものだが、その背景に潜む人と人とのつながりと感情のもつれ合い、葛藤。タイトル「誰か」の意味は深い。
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これはミステリではなく、梶田のひき逃げ事件を事由にした、姉妹の悪意の物語だと思えてしまう。小さなエピソードは事件に関係なく、ラストも中途半端。やはり全盛期の面白さはもう期待できないのか?