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紙の本

生き生きとした音楽家群像

2006/03/09 13:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:tsumei - この投稿者のレビュー一覧を見る

 戦前戦後から70年代あたりまでのモスクワを中心とした音楽家群像が描かれた回想です。その中にはオイストラフやニコラーエワ、ロジェストヴェンスキーのように国際的によく知られた人々もいれば、そうでない人々もいますが、その人間像は例外なく生き生きとしていて、ロシア・ソ連の音楽家に何らかの関心を持っている人ならば、興味深く読めることでしょう。
 そしてその中心となっているのが著者パパーノの師,アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルです。ゴリデンヴェイゼルは,一部の熱心なピアノ・ファン以外には知られていないのではないかと思いますが,モスクワ音楽院で多くの優れたピアニストたちを育てた名教師・名ピアニストであるにとどまらず,パパーノの言葉によると「私たちの世代とロシアの偉大な過去とをつなぐ」教養人でした。例えば1910年11月6日の寒い朝,レフ・トルストイが亡くなったアスタポヴォの小さな駅で,戸外で静かに集まっていた人々に,「レフ・ニコラエヴィッチ・トルストイが、たった今、亡くなりました」と告げたのはゴリデンヴェイゼルその人でした。パパーノは,困難な時代と環境の中に生きたこの偉大な音楽家のことを、敬意と愛情を持って回想しています。
 知られていないということで言えば、著者であるピアニスト、ドミトリ・パパーノ自身も、日本ではほぼ無名と言ってもよいでしょう。しかし、ショパン・コンクールなど多くのコンクールに入賞した彼は,華々しいレコーディング・キャリアを築くことこそありませんでしたが,彼が一流の実力を持つ音楽家であることは、本書の序文を寄せているアシュケナージ,そして跋文を書いたロストロポーヴィチの保証するところです。
 そして,戦争と亡命を経験したパパーノ自身の音楽人生も平坦なものではありませんでした。しかしパパーノは,むしろ淡々とした筆致で,尊敬すべき先輩や友人たちについて,あるいはピアニストが何を感じ,考えているかについて,またソ連の体制がどのようなものかということについて,衒いなく語ります。そこからおのずとにじみ出てくるパパーノの人柄と,音楽に対する真摯な姿勢は,きっとこのピアニストを知らない人にも、ぜひ彼の演奏を聴いてみたいと思わせることでしょう。
 訳文は明快で読みやすく、訳注も詳しく勉強になります。多くの人名が出てくるにもかかわらず、索引が付いていないのが惜しまれます。

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