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紙の本
題名とは裏腹に主人公への愛情を感じた作品
2004/01/30 22:44
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投稿者:茶太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たまたま手にした週刊誌でボクシングを題材にしたノンフィクションがコンクールで最終選考まで残ったことを知った。ボクシングのオールドファンなら題名を見ただけでどのような題材を描いたものかピンときた。その書評では、ある有名作家が「表面的な事象を追いすぎて、なぜ主人公が過酷なボクシングの道を選んだのか伝わってこない」と書いていた。出来ればその作品を読んでみたいという衝動に駆られたが、入賞したわけではないその作品は雑誌に掲載されるわけでもなく、読む機会はなかった。
あれから何年かが過ぎ、忘れかけていた頃、その作品が出版された事を知った。そこに描かれている選手はボクシングの世界ではまあ知られた存在だが、これといったインパクトのあるボクサーではなかった。家の近所のジムに通い、近所で試合をし、外国はおろか東京ですら試合をした経験のない一ローカルボクサーだった。これといった強打もテクニックも持っていたわけではないが「真面目だ」という理由だけで世界タイトルマッチを組んでもらった。チャンピオンに挑むのではなく、急遽選ばれた選手との王座決定戦だったが、それでも歯が立たなかった悲哀。
題名から受けた第一印象では、現代のボクシング界を気鋭のノンフィクションライターが斬るといった内容の作品かと思ったが、実際に読んでみると主人公への愛情が感じられる私小説だった。内容とタイトルのチクハグ感は否定できない。作者は作家を目指すというよりは、知り合いがたまたま有名ボクサーだったから、勿体ないからそれを題材にノンフィクションを書いてみたという感じだ。そして折角コンクールでいい所まで行ったから、記念に自費出版したというところではないだろうか。確かに事実と異なることは書いていないし、きちんと調べて責任を持って書いていることはよく分かった(実はこれが一番大事な事なのだが)。しかし、出来ることなら、それより一歩踏み込んだ先の人間としての生々しさや壮絶さが描かれているといいと思った。
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