紙の本
江戸の旧幕府と官軍との本格的戊辰戦争開始である。
2016/12/12 11:32
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
(三)は、江戸の旧幕府と官軍との本格的戊辰戦争開始である。しかし、肝心の将軍・徳川慶喜の幕府側は評定を重ねるばかりで何ら結論が出せない。むしろ、その評定の過程で、将軍・徳川慶喜の無能ぶりがあからさまとなり、離反する藩を増やしたとしか思えない。有能な人材、フランスはじめとした支援諸外国を有しながら、無能な君主を戴いた国の悲哀が感じられる。新政府による徳川家の処分が決まるまでを見届けようと品川沖に滞在し続けた榎本海軍がやっと江戸湾を脱出して北へ向かう。しかしこの間に、藩の連合体である奥羽越連合は統一的行動を取りきれないまま、新政府からの切り崩しもあり急速に瓦解の道を進み始めていたのである。その点、当初から蝦夷地(北海道)を最終目的地と定めた榎本武揚の判断は素晴らしいものであった。
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読んだきっかけ:正月用に購入。幕府側からの幕末というのが面白そう。
かかった時間:1/12-1/17(6日くらい)
内容:榎本武揚の伝記。幕府側からの視点の幕末。3巻は、鳥羽・伏見の戦いから、延々と慶喜の恭順の描写が続く(鳥羽・伏見の戦いは慶喜の本意ではない)。
最終的に官軍は慶喜に70万石の移封を言い渡し(幕府時代は400万石)、慶喜は駿府70万石へおとなしく落ち着く。
しかし、武揚はいよいよ恭順を捨て、武闘派幕臣を連れて江戸を出航する。
これまで、漠然と感じていたが、どうもこの「武揚伝」では、私は武揚の魅力を十分堪能できないのである。
なぜなら、武揚は文中、「ここはこうするべきだ」「ああするべきだ」と常に考えながらも、自ら行動することが少ないのである。(たまに行動したり意見しても、たいてい聞き入られない)
そのくせ、事態が悪いほうへ回転すると、「勝が悪い」「慶喜は器ではない」と他人のせいにするのである。
そしてそのことを当たり前のように、武揚の一人語りとして叙述するため、なんだか通行人が無責任に世論を斬っているような印象を受けてしまうのである。
とはいえ、全体としては楽しい。もう少し武揚に大人の魅力がほしいだけです。
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釜さんは相変わらずイケメン
以下、印象的だったところ。
■p.33
今までの評定が、この瞬間ついに決壊した。
揺らぎつつあった将軍家の牙城、それがついに崩壊は明確なものとなった。
「これあかんやつや…」
釜さん、今こそ幕府の束縛から解き放たれ、自由に立ち回るとき。
■p.168
勝海舟が徹底的に'食えないヤツ'なキャラ設定の本作。
が、ここに来て釜さん軍団に一杯食わされる。ここは榎本陣営に軍配。
ちょっと溜飲が下がり、勝が好きになれるシーン。
■p.269
引き続き、勝のポジティブキャンペーン。今一度、勝に賭ける釜さん。
■p.361
しかし、結果は…。光が差すかに思われただけに、この結果が虚しい。
釜さん、抜錨の時。
まぁそんな感じ。いよいよ次が最終巻。