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紙の本

過程の魅力と陳腐な結論

2007/03/05 14:53

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヒルビヒは旧東ドイツの作家で、壁崩壊以前に詩人として西側に紹介されるが、非公式的な紹介だったため東側では冷遇され、1985年には西側へほとんど追放的な意味合いの出国許可が与えられそのまま西側にとどまるも、その西側でもまったく無視に近い扱いをされる。ところが壁崩壊後にとつぜん次々とドイツの権威ある文学賞を受賞し、ほとんど「現象」「ブーム」と言うべき事態になる。この作品はちょうど著者が現代ドイツの大作家と看做されるようになった1993年に書かれた長編小説である。舞台は崩壊寸前の東ドイツのベルリン。主人公の「私」は作家で、当局のスパイとして非公式なある作家の朗読会に潜入し、西側から潜入して来ていると思しい「女子学生」に接近するが、しだいに虫食いし分裂する記憶の錯綜する中でいくつかの偽名を用いる「私」の語りも分裂し妄想がふくらんで支離滅裂へとと落ちていく。語りが「私」を「彼」へ、「C」へ「W」へと脈絡なく(というふうに一見思えるが、おそらくは細かく構造化されている)変化し、しかも叙述のトーンにはほとんど変化がないという錯綜ぶりで、眠らずに見る夢のような薄暗さの中を物語はどんどん展開していくのだが、記憶の曖昧さとは対照的に最後にはすべての要素がきっちり組み合わさってミステリ的に見事なオチというか説明がついて、ほとんどありきたりとさえ思えるようなどんでん返しが用意され、それ自体が何かの悪戯のようにきっちりした結末へと導かれる。明快さと曖昧さをめぐるゲームのような小説としてはなかなか面白いが、途中に頻出する「書くこと」のメタファーや思索と思われるような部分が非常に陳腐でちょっと白けた(たとえば検閲があり禁止があるからこそ文学の戦いが成立する、というようないかにも十九世紀的なロマンティシズムをちょっとアイロニカルに肯定してみせるところなど)。プロセスは面白いが、結論がつまらないというのはミステリ的作品の宿命なのかもしれない。

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