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紙の本

ノーベル賞作家クッツェーが初めて国際的に注目されたという第3作。社会の暴力的側面を告発する達者な寓話。

2004/02/03 11:19

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「考えさせられたことが多い」「深みのある内容」「手ごたが十分だった」という書評の常套語を、語彙が豊かでない私もよく便利に利用する。そういった表現をすれば、少なくともsomethingがあることを、つまりなかなかのものであることは伝えられるだろうから、読む人が手に取るきっかけになれば良かれと思い…。半ば後ろめたい気分もありながら、自分の限界を引き受けながら…。

 マルチ有識者山形浩生氏のサイトを見ていたら、作家クッツェーに関する相当にしょっぱい記述が出ていた。
「器用なのに深みのない作家。さらに、なぜ小説でなければいけないか、という必然性がまったくなくて、現代において小説を書くということについての自覚が全然ないのが致命的。逆にそれが、いまのノーベル賞だとか小説の現状について何事かを語っているだろう、…(以下略)」 期待されるどのような深みに欠けるかの分析、小説としての必然性をどう盛り込むかの課題などを、ぜひ掲載が見合わされた原稿の敗者復活で読んでみたいのだが——「まだァ?」(笑)
 この小説の邦題の不適切さ(私も「蛮族」ぐらいが適当な気がする。幸い夷狄という言葉になじみがなかったので、読むとき「蛮族」にスイッチさせて読めた)や、小説における写実性などについても鋭い突っ込みが入っている。「さすがに」という指摘なので、ぜひ検索してご一読を!

 私は武士道の国の人間であるから、ブッカー賞『恥辱』には「汚辱をすすぐために、ええぃ、何でこの女は腹の子もろとも心中せんのだ?」と、小説鑑賞外の自分に引き寄せたところでの倫理でクッツェーという作家を拒絶した(異なる倫理を知ることがひとつの小説鑑賞の楽しみであるのにね)。また、『敵あるいはフォー』は、『ロビンソン・クルーソー』という近代人を表現した小説のパスティーシュとして面白くはあったが、テーマが技法の意図の陰にかすんでいる気がして、いまひとつかなぁと感じた。
 それらに比べると本書は寓話性がより高く、これが一番この作家の問題意識のありかがよく見える気がしたものだから、楽しく読んだ。解説に詳しいが、「暴力そのものを病理として描き出すこと」「帝国主義的な暴力の枠を超えて、より普遍的な人間存在に関わる暴力の問題へと重点を移していく」(353P)
 訳者の方は、ノーベル賞授賞理由が「外部の者が巻き込まれていくさまを驚くべき物語として描いてある」だと紹介しているが、この場合の「外部の者outsider」というのは、社会体系や社会に普遍的な倫理という外部が個人に圧をかけてきて、それにより個人の内部に巣くう二次的な暴力ではないか、それがむしろ問題なのだと私には取れる。
「じゃあ、カフカだね」という流れになると、山形氏の言うように、確かに現代において小説を書くところの意味が問題になってきてしまう。だが、
——われわれの内奥に隠れ潜む罪をわれわれは自らに科さなければならない(324P)などという記述まで達すると、帝国の良民でありながらもその暴力的な支配に軋轢を感じ、蛮族の女とぎこちない愛を交わすこの初老男性の物語は、生まれながらの罪びとというキリスト教倫理とは異なる、現代人ならではの贖罪を言い渡している気がして、「深みがあり」「手ごたえを感じた」。
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