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すんごい面白い!フランス革命については全くの無知だったんだけど、一人の人物の目線から辿っていくととても分かりやすく、フランス革命入門としてもお勧めです。死刑執行人って物騒であると同時に難しくないポップな題材だしね。誤解を恐れずに言えば。
確かにこういう時代を経た国が死刑制度廃止するのは納得がいくなあ。日本は国家による大量虐殺とか歴史的に行われなかったので、国家による殺人ということへの疑いの目が人々にあまり養われていないし、実際基本的にはそれで上手くいってるので、先進国が死刑廃止してるのに日本は云々って話は通用しないよなぁと思った。
それにしてもこの時代はあまりに皮肉に満ちている。ジャコバン独裁の中心人物の一人であるロベスピエールが若き頃死刑制度反対の立場であったり、後に処刑される議員達が死刑制度を支持していたり、後に断頭台に上がるルイ16世がギロチンの殺傷性を高めるための刃を考案したり、人道的な処刑を行うために発案されたギロチンが大量殺戮マシンに変貌してしまったり・・・あまりにめまぐるしく「罪人」の定義が移り変わる周囲の情勢に反して、サンソン本人が手放したかったであろう死刑執行人という立ち位置だけは不動だったから、全方位あらゆる立場の人々を死に至らしめなければならなかった。これが辛いですね。
ああほんといい本だった。2010年読んだ中でも一押しの一つです。
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フランス革命時代の死刑執行人”ムッシュ・ド・パリ”シャルル・アンリ・サンソンの生涯に関する評伝。
荒木飛呂彦の「スティール・ボール・ラン」主人公ジャイロ・ツェペリのモデル、という帯紙のキャッチコピーが気になり手に取ったが、その内容が面白くて、一気に読み終えてしまった。
一部、歴史小説のようなくだりも多く、現状、サンソンに関する和書は他に出ていないため、本書のその内容がどこまで史実に忠実かは定かでないところもあるとは言える。
ただ個人的には、一般的意味での生業(職業)とか、や死刑制度というものを考えてみる、いいきっかけになる本と思える。
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代々にわ たってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主シャルル‐アンリ・サンソンの生涯を紹介した新書。マリーアントワネットやルネサンスなど華やかな歴史絵巻の中、執行人であることによっての差別、死刑是非を自問しながら激動の時代を自らの信念を貫き生きた男の中の男の生き様ここにあり!!歴史の教科書なんかには載ってない、フランスの裏歴史。めちゃくちゃおもしろくてさくさく読めますよ★
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死刑制度を考えるとき、参考にしたい。国家が人を死によって裁くとき、必ずその底辺で犠牲になってしまう人が存在するということを忘れてはならない。ただ、命を裁くことができるならそれは神だけだという発想は、日本人には理解し難いかとは思う。ギロチンが誕生した背景なんかもすごく面白かった。
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気づいたら読破してた本。
ルイ16世をギロチンにかけた人物の生涯を描いた本。
回想録を資料としているせいか、物語っぽい。
最初、ガチガチのお固い本を想像していたので思ったよりも読みやすくてびっくり。
歴史書を読むというよりも小説を読む、という気持ちで読むとちょうど良いかも。
死刑を執行する側から見た死刑、とはどういうものか。
気になった方はどうぞ読んでみてください
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これすごい深い。
夢中で読んだ。
革命とかギロチンとか少しでも興味があれば読むべき(学問的興味でも野次馬好奇心でも)。
超オススメ。
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その因果、その波乱、その苦悩と誠実、プライド…ものすごく面白い。ヘタな小説そこのけの「裏フランス革命史」。
なるほど、荒木飛呂彦の帯が。
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ムッシュ・ド・パリを代々勤めたサンソン家4代目シャルル・アンリ・サンソンの物語。
ジョジョ好きにはジャイロ・ツェペリのモデルとなった人物というと分かりやすいだろうか。
「事実は小説より奇なり」というが、これほど数奇な運命に翻弄された人々は数少ないと思う。
一人の青年の恋から始まった世襲の処刑人一族。
社会の最底辺として蔑まれながらも、並みの貴族を上回る収入で多くの使用人を抱え、また医師として高度な医術で多くの病傷人を救い、貧しいものへの施しも欠かさなかった一族。
それがサンソン家だ。
なかでも四代目当主シャルル・アンリは、若い頃こそプレイボーイとして慣らしたものの、差別と闘い、処刑に当たっては人道的配慮を心掛け、フランス国王を敬愛して忠誠を誓う厳格な執行人であった。
だが、フランス革命の趨勢に応じて国王ルイ16世その人の首を刎ね、遂にはナチスの執行人ヨハン・ライヒハートに次ぐ史上第二位となる2918人もの死刑執行を行うことになってしまう。
ムッシュ・ド・パリに関する書籍を探していたので手にとってみたが、本書は興味深いサンソン家の物語は勿論として、著者安達正勝氏の文章がとても面白かった。
平易で馴染みやすい文体ながら、時折挟まれる既知に飛んだ表現や、ここぞという時の強調表現はまさにジョジョ的。
最近、日本でも刑務所の死刑執行場が公開されるなど、死刑廃止論に関連した動きがあったけれど、そうした死刑の意味を考えるうえでも意義ある識見を備えた本だと思う。
サンソンの時代から1世紀以上を経てヨーロッパ諸国では死刑が廃止された訳だけど、そうした国々でも凶悪事件が起きるたびに死刑復活論が再燃し、復活派が数を増しているらしい。
日本で死刑廃止論が多数を占めるのは、まだまだ先の時代に持ち越されるのだろうか。
P.S.
メトロポリタン美術館でフランスで使われていた「処刑人の剣」を観たことがある。
切っ先が平らになその剣は、刀身には精巧な彫刻が彫られている一方、刃は切れ味よりも斧のように重さで断ち切る事を重視したものだった。
だからこそサンソンの様な熟練した死刑執行人が必要とされたわけだけど、失敗の無い「人道的」な処刑用具として発明されたギロチンの登場と同時に、死刑そのものの回数が加速度的に増加してしまったのはなんとも皮肉な事だと思う。
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フランス革命期の死刑執行人、シャルル・アンリ・サンソンの評伝。
熱心な死刑廃止論者であり、医師としての腕も確かだった彼が
死刑を執行した人数は2千7百余名。
周りからの差別と偏見、家業の遂行に悩み苦しんだ人生を
まざまざと描き出した名著です。
内容は面白いし、文章は読みやすいし。
こういう本が大好き。
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フランスの死刑執行人の家系、サンソン家について、特にフランス革命時の執行人、シャルル・アンリ・サンソンをメインに描いた本。
カウントダウンの緊迫感に思わず一気読み。小説のように読める。
シャルル・アンリの自己弁論(死刑執行人の分際で高貴な人々に話しかけるなと訴えられた時のもの)を読んで感動した。こんな時代にここまできちんと自分を弁護する言葉を整えるのは大変なことだ。
全部読み終えてからもう一度ここを読んで切なくなった。理詰めの言葉は正しいはずなのに、論理の前提(社会の正しさ)が揺らげば支えとしての強さを失ってしまう。
社会の尻拭いをさせられ、誠実ゆえに逃げるという選択ができないサンソン家の人々の姿が「犬たちをおくる日」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/4323060858の動物愛護センター職員に重なった。
「最底辺」という言い方には違和感がある。
サンソン家はカーストの最底辺だけどその中ではてっぺんだから、富裕であり学があり王に面会できる地位もある。
狭い上流社会の中では死ぬ人と死なせる人(実行にせよ命令にせよ原因にせよ)が近い。
その近さの中にいるのは上流に交われるだけの地位があるからで、実行せざるを得ないのは最底辺に属しているからだ。
そういう矛盾が「最底辺」の一言では見えにくくなってしまう。
地位向上を求める姿勢と立ち位置が弾直樹と共通している。
「解放令の明治維新」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/4309624316
「人食いの村」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/4894340690の狂乱の一部、時代の空気みたいなものが、これを読んで多少は理解できる気になった。
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代々、パリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目のシャルル-アンリ・サンソンの半生を追いながら、フランス革命を違った角度から捉えた好著。
歴史的事実を追っているのだが、まるで小説を読むような臨場感にあふれぐいぐい読ませる。処刑シーンなどやや残酷な部分もあるのだが、興味本意ではなく時代の側面を知る上で必要な暗部であったということだろう。
またサンソンという人物の、差別と誇りの間で苦しみ、死刑の是非にも悩み続け、それでも任務を全う、革命期にあって真っ向から世の中の動きに向かっていくその人格者ぶりには、目を見張るものがあった。
フランスで死刑が廃止になったのは1980年代になってから。彼の訴えは175年早かった。
先見の明をもった賢明な人物だったのだ。
死刑制度を考える上でも、非常に示唆に富む。
また、フランス革命の別の一面を捉えたという意味で、フランス革命を知る良い材料の一つでもあると思う。
シャルル-アンリ・サンソンという一人の人間のドラマに、大きく心を揺さぶられた名著であった。
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荒木飛呂彦が帯に「SBRのジャイロ・ツェペリのモデルだ」と寄せていることから興味を持って購入したが、その興味を離れて純粋に非常に興味深い本であった。
パリの処刑人一族の4代目、シャルル・アンリ・サンソンの生涯を著した伝記的な本である。以前は市民から処刑人というだけで不当に蔑まされており、フランス革命によって市民としての権利を得る一方、敬愛する国王の権力が奪われることを悲しみ、その国王を処刑することになってしまう数奇な人生を辿ったこの本は誰が読んでも楽しめ、また考えさせられる内容なのではないだろうか。小説のような文体のため非常に読みやすい一方、参考文献はしっかり一次資料を重視しているため信頼性も高いため、興味を持った人にはすぐにでもオススメしたい。
死刑について事細かな描写があり、その残酷さを理解する。そして、それを執行していたサンソンの様々な苦悩を通して死刑制度についてとても考えさせられる。彼の過ごしたフランスでは後に死刑制度が廃止されることとなるが、日本では現存している以上、その賛否に関らずしっかりとした意見を持つことは必要であろう。死刑制度を自分とは遠いただの概念に留まらず、自分に近づけて捉えるための契機となるだろうので、是非多くの人に読んでもらいたい。
よりよく理解するためには読前にフランス革命周辺の基礎知識を押さえておいた方が良いと考えられるが、この本を読むだけでも一人の視点からフランス革命を理解することができるとは思える。革命の知識が無い人には2回読んで顛末を知った上でもう一度読んで欲しい気もする。
なお、私はルイ16世への評価が大きく変わったのも特筆したい。
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死刑執行人サンソンという1人の人物をメインに書かれているが、その時代の思想などについても触れられていて、18世紀フランスの状況をざっくりと知ることができる思う。
個人的には最後の一文がとても印象的であり、物事を解決するためには普遍的に言えることだなあ。と思った。
以下、その文章。
犯罪人を社会から除去したところで、ただ一時的な気休めになるだけで、犯罪を生み出した社会の歪みが正されるわけではない。
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フランス革命時の死刑執行人という職業について、興味深く読みました。当時の刑罰の残虐さの所為もあり、恐怖故に差別されるというジレンマ、処刑業の傍ら、死体がたやすく入手出来る→人体解剖を学べる→医業に携わるという、罪人を処刑する傍ら医療で人命を救うというサムソン家のもう一つの顔も興味深かったです。途中、日本の山田浅右衛門についても少し触れられていましたが、山田家も処刑業の傍ら薬屋を営んでいた事を思いだしました。
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死刑執行人シャルル・アンリ・サンソンを主人公として、中世の死刑やフランス革命などを書いていく。
序盤には、死刑執行人という家系についての説明も分かりやすく説明があるので、今までそういった職業について目を向けていなかった私でも少しは理解を進めながら読めた気がします。
序盤が終わると、伝記的な文章となるので、読みやすさは更にあがって、社会の最底辺と位置されながら、財産を持ち、医師としても高名だったという不思議なサンソン一家に惹きこまれること請け合いです。
ギロチンの、それが持つ凄惨なイメージと裏腹に、人道的観点から考案された物だったという逸話にも、驚かされると共に、不思議な感覚になります。また、そのために死刑が増えたという皮肉な結果にも。
死刑を執行する側からみた、中世の革命。色々考えさせられるところも多いですが、物語として読んでもきっと入り込むことが出来るでしょう。
おすすめ!