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非常に興味深い本。死刑執行人だって死刑は嫌なのだ。死刑についていろいろ議論はあるけれども、理論云々よりもこのような感情面から訴えれば死刑反対のほうへ傾きそうになるだろう。
彼は敬虔なキリスト教徒でありながら、手は血まみれに、そしてその仕事を押しつけた民衆からは蔑まれる。最後には尊敬すべき国王まで。唯一救われるのは、彼が思いやりに満ちた人だったということ。それゆえに、死を前にして救われた人たちもいるだろう。その救いを思って自らも救われたのなら、と切に願う。
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歴史に興味の無い人でも読める、フランス革命の裏側の話。下手なドラマなんかより、よっぽどドラマチックで悲劇に富んだ内容で、ぐいぐいと引き寄せられます。プロジェクトXみたいなドラマが好きな人は読むと良いです。
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舞台は、18世紀末のフランスから始まる。
フランスでは、刀で首を刎ねる公開死刑がなされていた。行うのは、むろん執行人(処刑人)。
その仕事柄、この職を希望するものはおらず、世襲制だった。
主人公は、シャルル・アンリ・サンソン(4代目シャルル・アンリ)。
だが、物語は初代サンソンから始まる。
処刑人の家系ではなかったにもかかわらず、処刑人の娘に恋をした。
そして、子孫を「呪われた家系」に導くことを知りながら、
結婚・処刑人という道を選んだ初代サンソン。
その贖罪のためか、誰よりも慈悲深かったサンソン一族。
彼らは、死刑を執行する「正義の象徴」であるはずが、「呪われた一族」と呼ばれ、一族であるというだけで執行人以外の道は閉ざされた。
生まれた時から「人殺し」を義務づけられ、16歳で初めて刀を振るったシャルル・アンリ・サンソン。
彼は、国王を崇敬し、王妃を敬愛していた。そして、皮肉にも彼らの首を刎ねたことで歴史に名を残した。
最後に彼の言葉がある。
「死刑制度は間違ってる!…」。
ここで死刑制度の是非を問うつもりはありません。
しかし、彼らの言葉には重みがある。
肯定するにせよ、否定するにせよ、軽々しい一面的な見方は許されない。そう強く感じました。
彼らの残した手記に基づく記述に惹きこまれずにはいられないという一冊だと思います。
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サンソンは代々続く死刑執行人の家系。
フランス革命の露と消えていったルイ16世にも敬愛と忠誠を誓っていた。彼は敬虔なクリスチャンであり、医術にも長けていたという。
例えば斬首の場合でも、死刑囚は当然反抗するケースもあり、かといって公開処刑なので失敗すると民衆から文句が来る←この辺が中世クオリティw。
しっかりと骨と骨の間をサクっと切る技術、精神力、死刑囚とのその場でのやりとり、等の高度なテクが必要な職業。
でも誰からも歓迎されない職業。
そんな中で人道的観点から発明されていったギロチン(彼も医者)も、あっさりしすぎて民衆から文句が来たという。
死刑執行する側も、いわば単なるボタンを押す、システムに過ぎなくなってしまう。
そしてついにルイ16世の処刑が決まる。誰がその手を下すのだ!?・・・処刑するのは私ではないか!!!
・・・サンソンの人間としての苦悩が垣間見えるドキュメンタリータッチの本です。
歴史好きなみなさんどうぞ。
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なぜギロチンが誕生したか。一度くらい不思議に思ったことはないですか?
これを読むと納得です。死刑執行人についてなんて知りたくないって思うかもしれませんが、死刑執行人の目から見たフランス革命、とってもおもしろいです。
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フランス革命前後の歴史の勉強になるだけでなく、民主主義についても考えさせられた。
ギロチンが「同じ種類の犯罪は、犯人の地位身分にかかわらず、同じ種類の計によって罰せられる」という人間の平等の原則に基づいて生み出された。
またギロチンは長時間処刑される人間に苦痛を与えないよう、人道的な立場から簡単に迅速に、人を処刑できるよう設計された。
しかし、フランス革命の結果、元来貴族階級にのみ認められていた処刑権が民衆の側に移るようになり、簡単に処刑ができるために、死刑が頻繁に行われるようになり、大量虐殺に結びついた。
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死刑執行人の家系、サンソン家の運命を辿るだけにとどまらず、死刑執行人という異質な存在、抱える矛盾を描き出し、絞首刑・斬首刑・八つ裂きの刑からギロチンによる斬首刑への統一へと流れた時代の背景にも触れている。読み応えのある歴史ロマン。でも実話。今買うとジャイロ・ツェペリが描かれた帯がついてきます。
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パリで6代にわたって処刑人を務めたサンソン家の運命をたどる本書。主人公はサンソン家4代目当主のシャルル・アンリ・サンソンである。彼は敬虔なカトリックであり、また時の国王ルイ16世を崇敬していた。その彼が議会の決議によって国王処刑の担当を任じられ、ついには革命のヒーローに祭り上げられていく。こんな奇妙な物語、そうはあるまい。フランス革命のことを教科書でしか学ばなかった人にお勧めします。
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国王を心から崇敬していながら死刑執行人としてルイ16世の首を刎ねざるを得なかったサンソンという男の物語。実に面白い。当時の死刑執行人に対する差別が、革命につれてどう変わっていくかなども読みどころ。素材自体も非常に面白いが、ところどころにはさまれた著者自身の言葉も面白い。あまりこの時代に興味がなくても楽しんで読めるのでは。
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SBRのジャイロ・ツェペリのモデルになった人物を主人公として、その生涯を取り上げた本。当時のフランスの歴史の勉強になるのは勿論、死刑制度の是非についても考えさせられる。
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面白いといってはちょっと不謹慎ですが
とても内容が深いです
特にサンソンが自分の正当性を自分自身で証明するくだり(弁護士がつかなかったから)
敬愛する王を処刑しなければならない悲しみ
もっと読まれていい本だと思います
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フランスで死刑執行人を代々務めてきたサンソン家の4代目に主に焦点を当てたもので、歴史を知っている人も知らない人も興味を持てる内容になっています。国王と死刑執行人は、生まれながらに社会のトップと底辺という正反対の境遇にありますが、その国王ルイ16世を処刑したのも4代目サンソンでした。当時のフランスの人々の考え・趣向・風俗などが本当によく分かります。お奨めです。
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※タイトルはなんだかグロテスクで、引いてしまいがちですが、内容はなんともドラマチックで、数奇な運命をたどった実際の人物にまつわる物語です。
世界で初めて起こった民主主義革命を、死刑執行人という立場で見ることでドラマチックで、「人間の泥臭さ」を感じることの出来る一冊です。
きっと、学校で習った世界史とは、違った世界史が垣間見れると思います。
「偏見」と「差別」、そして「死刑制度」とこの本を通してたくさんのモノについて考えさせられるはず!
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読みやすかった。
ベルサイユのばらくらいしかフランス革命モノは読んだことなかったんだけど、それが幸いしたというか。
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大好きな荒木飛呂彦さんのマンガのモデルとなった人の話だと聞いて飛びついた新書。
しかし、そんなこと忘れて読みふけりました。
誠意とは?ヒーローとは?正義とは? フランス革命で国王を処刑した男、というドラマティックすぎるほどの話なのに、このうえなく身近で、なまなましい葛藤を見せられた気がします。
また、サンソン家をめぐって、当時のフランスという国の姿、そしてフランス革命の功罪を知ることができました。