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紙の本
ガラスを割る実験から何がわかったか?
2004/11/04 00:27
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投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
寺田寅彦の随筆に、板ガラスを割る実験を続けている、ということが書いてあった。その実験が科学的にどのような意義をもつものなのか、については具体的には言及してはいなかった。ただ、どこかこの世のものではない詩的な作業のように印象づけられていた。そして、たまたま手にした本書で、まさしくそのガラス割りの実験の科学的意義が解説されていたのである。著者は、その実験を理化学研究所で寺田寅彦と共に行っていた直弟子なのである。
このガラス割りの実験は、ゆえあって継続出来なくなったそうだ。しかし、身近だけれど複雑な現象を、観察や類比といった自由な想像力によってわかりやすく解説する姿勢は、まちがいなく師のそれを受け継いでいる。ちなみに表題の「キリンのまだら」とは、そんな身近だけれど複雑な現象の一つ。まだらの出来方についての著者の説明は、現在では否定されているが、編者によってきちんとした「その後」が補足がされている。
本書は1975年に刊行されたものを、新たな解説もつけて文庫化したもの。こうした先人の足跡を新たなかたちで残して行ける事は喜ばしい。
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