紙の本
実力派女優風
2004/03/04 20:59
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投稿者:UMI - この投稿者のレビュー一覧を見る
天邪鬼とはかわいそうな生き物だ。素直になれない、馴染めない。わざと人と違うことをやってみせて、注目を集めようとする。ちなみに、仁王や毘沙門天に踏みつけられている鬼のことも天邪鬼と言うらしい。
悲しくても楽しくても、文章の速度が変わらない不思議な空気を持っている小説だ。感情が表に現れない落ち着いた雰囲気で終われない恋愛を覆ってみると、こんな作品になるのだろう。
実家に帰省する友達のアパートを大学の休みの間だけ借りることになった「わたし」。子供をおろすことになってしまったときから、目に見えない家族のバランスが少し崩れてしまった。今度あの人に触れられたら死んでしまうかもしれない、と呟く彼女の周りには常に友人や親の柔らかな眼差しがある。
恋愛小説と呼べるほど粘性の起伏はないし悲劇にもならない。普通の生活の中に事件があって救いがあり、丁寧に書き込まれた日常の中に著者の若い感性がある。大波小波のテレビドラマに慣れてしまったボクらには少し物足りなく感じるときもあるが、物語がすっと寄り添ってくるように感じられるときもある。
男性作家の書く恋愛小説よりもすっきりしている。抱き合わなくたって、恋愛のイメージを一つの本にすることができる。
先日芥川賞をとった二人が文壇のグラビアアイドルならば、同年代の島本理生は文壇の新鋭映画女優といったところだろう。露出度が低くても、間違いなく実力派だ。本作は惜しくも芥川賞を逃したが、最年少受賞の大騒ぎを横目に独自の世界を創り上げているようにさえ思える。
島本理生はいずれ芥川賞をとるだろう。マスコミはどんなふうにその事件を伝えてくれるだろうか。仕立て上げられたアイドルではなく実力派女優風に扱うのか、それとも最年少受賞ではないからあまり大きく取り上げないのか。
いずれにせよ、天邪鬼は花咲く芥川賞論議には加わらない。横槍を入れることでボクはここにいるんだと主張する。天邪鬼とはそういう生き物なのだ。
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新刊が出た!と知って買いに走った作品。読み終わったときに心が優しくなるようなそんな笑みがこぼれるような仕上がりになっている。前作と比べだいぶ成長した作者がそこにある。つーか島本好きだよ大好きだよ!平凡かもしれない日常を書くあなたが好きだー!
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☆☆☆☆
とてもつぼにくる恋愛小説だった。日常を淡々と。恋の息苦しさを深い森に入ることに例えていたが、作者はあとがきで誰もが必ず森から出て行くものだと言ってたのが印象的だった。そんな話だった。
印象に残ったセリフ
「私はあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。けど私には無理だった」
「幸せにしたいと思うことは、おそらく相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う」
誰かを救いたいと思うこと。その相手の手を放すか、それとも掴むかの一瞬の違いが恋愛の残酷さでもある。
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淡々と始まり、淡々と終わった。主人公に好感は持てなかったけれど、キクちゃんは良いキャラだなあと思いました。この本では島本さんのファンにはなれなかったけれど、もっと代表作とかも読んでみたいと思います。
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芥川賞が話題になった時に、綿矢りさと、金原ひとみと並んで話題になった島本理生の本。あたしは読みやすくて好きです。
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修学旅行の前に買ったから4月か5月に買った本。芥川賞候補の作品だったんだけど、130回芥川賞の作品よりスキかも。なんかある度に読んでる気がする。なんか不安なことがあると睡眠にでるところとか、主人公となんとなく自分がかぶってたりするからなのかもしれないけれど。キクちゃんみたいな人が側にいたらいいのにな。っていつも思う。
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初島本理生。レビュー見ていると「リトル・バイ・リトル」を先に読む方が良かったのかなーって思ってしまいますが、まぁそんなことは個人の自由か。えと、結構色んな人が指摘しているけれど、あたしも第一印象綿矢りさを思い出しました。というのは綿矢りさを先に読んだからなんですが。でも、個人的にこちらの方が好き。綿矢りさが「綺麗で完璧な表現」を小さくしか使えていないのに対して、島本理生は「綺麗でありふれた表現」を全体にうまく使えてる気がした。単調で日常的なことを題材にした小説は、読み手によって感じ方が全く変わってくると思うけど、あたしはこの小説に出てくる細かい心理描写にすごい共感出来るものがあって、好きだなーと思いました。
余談ですが雪生さんのお母さんが自分の母ともろにかぶってしまいました(爆)
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若くて自分の気持ちを整理できなくてモヤモヤとしている頃。苦い恋を思い出させてくれる一冊です。
読む時期によって感じ方が変わるかと。わたしはちょっと懐かしいという気持ちが湧きました(苦笑)
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ナラタージュを読んだ後、この作品を読んだけど、構成が結構似てて、面白くなかった。
作成はこの作品の方が一年前にできてるんだけど。
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200508
主人公は高校生の頃の恋愛を引きずっている大学生の女子。
その大学生の夏休みの出来事を心の変遷を淡々と。最後までこの女子のイメージがわかなかったな。
歳が離れた人を好きになったことがなければ、好きでたまらない人と別れた経験もないおいら。苦しくなる恋愛ってどんな?未熟でスマン。さらっと読了。
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読み終わってから、自分より年下の方だと知ってびっくりしました。何度か芥川賞にもノミネートされてるようで、さらにびっくり。好きな相手のために離れること。なかなか難しいです。子供の独占欲の延長のような恋ではできないですね。お互いのためだと分かっていても、無くしたという空虚感は押し包まれるくらいに大きい。人に頼れない性格ならなおさらで、自分を虐める方向にだって向ってしまうでしょう。無かったことにはできないけどほんのちょっと受け入れるまでの物語だと思いました。登場人物が飲んでるアルコール類がなんだかとってもおいしそうで、つい酒屋に買いに走ったというオチあり。
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読みやすい自然と体の中に受け入れられる文章がとても好き。内容にとても共感できる部分が多くて色々と考えた。
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やっぱり読みやすいし、すらすらと読める。なんかぐさっと?っとくる感じが。
(2005.3.27読了)
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予備校講師との深い森のような恋いの記憶に囚われ抜け出せない主人公。親友の温かいあたたかい家族とのかかわりによって、森からの出口へ歩き始める。
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作者のあとがきを見て思ったけど、ポルノの「音のない森」とちょっと似てる:)
この人の作品って年上が好きだなーって思うよ。そして主人公があんまり好きになれない。笑。キクちゃんはすごく好き!1番好きなのは夏生くんだけどね;D