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紙の本
開明派としての薩長・朝廷派、封建制の守護者としての幕府、といった見方が完全に覆りました。薩長・朝廷派ははっきりと尊王攘夷の馬鹿だったし、逆に幕府は開国・近代化を目指していたと言えるでしょう。
2016/12/12 11:34
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
(四)は、仙台などを経由しつつ、蝦夷地への脱出行で始まり、P-114で北海道森町鷲ノ木に上陸する。(P-105~106に同行著名人の一覧)後は、大体既知のことなので書かないが、P-237で開陽丸が神速を道連れに沈没してしまう。これで闘いの流れは大きく変わり、国際法上も交戦国との認定を外されたため、甲鉄館(アメリカから幕府が購入したストーン・ウォール号)が明治新政府側に引き渡され、闘いの趨勢が決定してしまう。後は、既知の史実に従って淡々と描かれる。しかし、本書を読む限り、この榎本武揚というか旧幕府艦隊はつくづく気象に見放されていたか、操船技術が未熟だったとしか言いようがない。その殆どの船が、難破や座礁で沈んでいるのだから。
P-274に五稜郭自治政権の主要メンバーの一覧あり。
何となくですが、開明派としての薩長・朝廷派、封建制の守護者としての幕府、といった見方が完全に覆りました。薩長・朝廷派ははっきりと尊王攘夷の馬鹿だったし、逆に幕府は開国・近代化を目指していたと言えるでしょう。それ程に、榎本武揚というたった一人の人物の存在、その目を通した見方の強烈な歴史史観が見えてくる作品でした。歴史は書き手の立ち位置で大きく変わるとは知ってはいたが、本書でつくづく感じました。薩摩はひたすら討幕のために手段を選ばず突き進んだのに対して、幕府は対外政策まで見込んだ平和政策を模索し続ける。しかし、薩摩は、無節操な朝廷を利用するため、鎖国・攘夷を唱えつつ討幕の一点に集中して事を進めるのだから堪らない。理を尽くそうとする側はこういった場合、圧倒的に劣勢である。そして、致命的欠陥は、幕府側の200年で培われた官僚体制である。如何に有能な人材がいてもそれを使いこなせる指導者が居なければ駄目なことを、将軍・徳川慶喜が見事に立証して見せる。しかし、長い江戸幕府時代に育った「進歩派知識人」たちもついにこの壁を越えれない。そのために、榎本武揚率いる旧幕府艦隊は戊辰戦争への参戦で大きく立ち遅れ、それが致命傷となって全てが崩壊するのである。実に、貴重な歴史的読み物である。
ほんの少し、榎本武揚率いる旧幕府艦隊の戊辰戦争への参戦が早く、北海道が一つの共和国として成立した姿を見てみたい気がした。
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