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≪第131回直木賞受賞!
奔放に生きてきた富治を巨大熊に向かわせたものは何か。俊英が送る感動の物語 (帯より)≫
物語は大正の初めの 山形県の深い山から始まる。
主人公の松橋富治はマタギ――山で獣を狩る猟師――なのである。
厳しい掟を守りながら厳しい山奥で狩をするマタギには、マタギにしかわからない厳しさと愉悦、そして何より誇りがあった。
訳ありで追われるように村を出てからも、富治の人生は獲物を待ち、追い、そして撃つようにしてつづいているように思える。それはおそらく、マタギとしての誇りのなせる業なのであろう。
物語最後巨大熊との勝負では、躰はぼろぼろになったが、心は満たされきっていたことだろう。
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直木賞、山本周五郎賞のダブル受賞という事で、題名は知っていました。先日、会社の先輩から借りて読みはじめたのですが、大当たり!
ここ数年間、読んだ本の中でベスト1です。読み終えてしまうのがもったいなくて、一行一行ていねいに読みました。こういう大当たりの本にたまに出会えることがうれしいです。他の作品も読んでみたくなりますが、期待が大きく、本書と比較してしまうかもしれないので余韻が消えるころ見計らって読んでみたいと思います。
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綿矢りさの「夢を与える」とは対極にいる感じ。ものすごく厚みがある。この物語に出てくる誰を主役にしても別の物語が作れそうな気がします。
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生まれてから読んできた本のなかで感動した作品のベスト5に入る一冊。2004年第131回直木賞を受賞。民俗学を研究しているということもあってか作品の基盤はとてもしっかりしています。狩猟のシーンなどはまるで自分自身がその場にいるような錯覚をかんじてしまうほど、熊谷達也の作品は生涯読んでいきたい!そんなふうに思わせるエネルギーのある作品です。
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ダヴィンチの推薦図書ということで読書。秋田のマタギ、富治は獣を狩ることに生きがいを見出している。しかし、ある日地主の一人娘と恋に落ち、村を追われ、さらにマタギとしての道も閉ざされてしまう。鉱山で働き続ける富治だったが、山への想いが断ち切れず、再びマタギとして生き始める。日本の昔の風土と、山に生きる獣の息吹、マタギとしての誇らしい生き方を強く感じさせる重厚な作品。狩猟のシーンなどは思わず息が詰まるほどで、その迫力は素晴らしいと思った。読みやすい作品とは思わないけど、しっかりとした重みのある作品を読んでみたいと思う人にはオススメ。
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2007.11.7 了/
直木賞受賞作.小説にはたいてい読者にショックを与える山場があるもんですが,そういうシーンの書き方が独特ですね.
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第131回直木賞受賞作。 マタギが主人公の話も変わっているなと思い通読。 マタギという仕事、クマ狩りに興味が出てきた。 新書でも探してみようか。
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何とも骨太な一冊だった。
何かの雑誌の書評を読み、読んでみたいと思い、美和子さんにリクエスト。
読み始めは秋田弁で書かれた会話やマタギの専門用語の出現で、少々もたつく。
でも、読み進めるうちにそれが快いリズム感を伴ってくるから不思議だ。
そう、これは大正時代に厳しい冬山で野生の獣たちと「共生」してきた東北のマタギを描いた作品。
今は狩猟だけを生業とするマタギは存在しないという。
しかし、ある時期だけに狩りをするマタギの人たちは今もいる。
作者の熊谷達也はそんな人たちと一緒に過ごし、自分の目で身体でマタギを感じ、それをこの作品にしたという。
私は東北の奥深い山の暮らしも知らなければ、もちろんマタギはおろか狩猟者のこともこれっぽっちも知らない。
しかし、この作品の臨場感は、まるで読者をそこに引きずり出してしまうほどの迫力で迫ってくる。
気温30℃の夏に読んでいても、吐く息が凍り付いてしまうような…
獣の匂いがそこの開いた窓から流れてくるような…
マタギたちの熊を追い込む声が聞こえてくるような…
第131回直木賞・第17回山本周五郎賞ダブル受賞作品。
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2004年上半期直木賞受賞作。大正年間、マタギとして生きる男の波乱の人生。
自然に対する畏怖の念あふれる雄大な物語。
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マタギの人生を存分に味わえる一冊。特に熊と対峙する場面では、息をするのを忘れてしまうほどの緊迫感が伝わってくる。
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マタギという自分の日常からかけ離れた世界の話であるのに、ぐいぐいと引き込まれる文章。最後は読んでて体中が痛くなってきた。久しぶりに読後充実感を味わえた作品でした。それにしても美しいタイトル。
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文章は無愛想で描写なんかもちょっと古臭いなぁと思ったり。
でも、最後の最後で大逆転だった。
序盤〜中盤と終盤の温度差みたいのがすごくて、最後は少し感動した。
これが伝える力かなぁって思った
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あちらこちらで評判が良いようなので読んでみた一冊。
しかし残念ながら、自分にとってはおもしろいものではなかった。
個性的な人物たちが、驚くような行動を展開しているけれど、その行動に出た心模様が理解しがたかった。登場人物たちの心が、人間の心の自然な動きとして感じられなかった。
そこに共感できる人の心がある小説を読みたい。
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直木賞と山本周五郎賞受賞作品。
大正から昭和の初め頃、秋田県阿仁町打当のマタギ・松橋富治の生涯を描いた長編小説。
マタギという職業は今もあるのだろうか。
昨今のように自然破壊や温暖化によってクマが里に下りて来るようではこの小説は成り立たなかっただろうなと思った。
秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。鉱山で働くものの山と狩猟への思いは断ち切れず、再びマタギとして生きる。失われつつある日本の風土を克明に描いている。
狩猟文化、夜這い、遊郭、炭鉱、男色、不倫など、昭和初期の「裏日本史」としての示唆も多い。
読むほどに人間の弱さ、哀しさが迫ってきて苦しい小説。失われつつある「男らしさ」がいい意味でも悪い意味でも古めかしい書き方の中に満載されていて途中で何度か投げ出したくなった。最後まで読んでしまったのは富治がどこに行き着くのかを見届けたかったからかもしれない。彼が最後に立ち向かう森の主である大きなクマは自然の象徴のように感じられた。
人は自然に対してもっともっと敬虔でなければいけない。
そんな作者の声が読後にしばらく聞こえていた。
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雪山の冷たさ、静けさ、獲物に近寄る時の静寂、張りつめた空気。
経験したことのないことを疑似体験できてしまうのが読書の醍醐味。
それを存分に味わわせてくれる小説。
動物好きの子にマタギって動物殺すんでしょ。あかんわ。と言われ、
そんな単純な話じゃないのにと思いながらもうまく反論できなかった。
頭では理解しても、自分の体には染み込んでいないってことかな。