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紙の本
日本は未来永劫存続するか?
2004/07/01 04:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小泉首相が「聖域なき構造改革」を掲げて声高々に登場してから3年になる。はたして何が変わったか? 道路公団民営化、郵貯の民営化、これらを目玉にあげるのであろうが、私の目から見れば、全く現状の路線を変えずに、姿だけを変えた「骨太」どころか「骨抜き」の改革にすぎないと思う。本書は、そういう指摘を論理的、技術的に説明した書である。書名から判断して日本人の精神構造に訴える内容と思ったが、そうでは無く、金融、経済、道路等の日本の問題を技術的に述べ、その良き方向性を示す内容であった。日本人の思考の変革を希望する私にとっては、少し残念な内容であったが、経済活性化問題の解決手段としては優れた提案であると理解した。最終章「エピローグ」において僅かに、思想的な問題、教育的問題に触れていたが、私にとっては、そこが一番面白かった。
私はかねてから疑問を持っていた。「採算が取れない高速道路や新幹線を日本人はどんどん作る。果たして、日本人はかしこいのか愚かなのか?」である。この答えは、将来出るのであろうが、本書を読み終えて、私の結論は、「愚か」の方に行ってしまう。自らの責任の所在を明確にしない日本人の悪しき習性、その最たる現象が借金まみれの高速道路建設のような気がしてならない。「俺が払うんじゃないから関係ないよ」的発想が日本人はどこか持っている。最後は税金を当てこむ事を口にしないながらも頭では分かっている。頭の良い日本人はこれくらい理解出来ると思う。最後は税金、でも、私の懐が痛む訳じゃないよ的精神がどんどん借金まみれの高速道路を建設するのだと思う。
銀行もしかりである。経済が専門でないので良く理解出来なかったが、本書は日本の銀行の弱点を良く突き、その改革案も提示していると思う。良き経済の根本は、良き銀行の存在である。その点は、素人の私でも理解出来るが、扱っている金額が膨大すぎて、ピンとくるものが無い。日本の銀行の経営も借金まみれの高速道路と元は同一の問題がしてならない。
日本と日本人は、未来永劫存続し続けるのであろうか? 最近の出生率等を見ると、暗い現実しか見えてこない。今の大人が後世への責任を排除し、現実享楽を続ける限り、この国は滅びるという暗い予感がしてならない。
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