紙の本
力一杯学問
2006/10/21 10:12
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こちゃまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の表紙と背表紙にイグ・ノーベル賞とは次のようなものだと記されている。
イグ・ノーベル賞 IG NOBEL PRIZES
「裏・ノーベル賞」のこと。1991年設立。世間を(1)いかに笑わせ(2)いかに考えさせたか、を基準にその「業績」に対して送られる賞。選考委員には多くの科学者、専門家、たまたま通りかかった人のほかに「表・ノーベル賞」受賞者も名を連ねている。授賞式は毎年、ハーバード大学講堂で行われる。
表紙にこれを記すのはともかくも背表紙にこれを記すと文字が小さくなってしまうために文字を追いにくい。さらに背表紙3分の1強を占める長い帯がついているため本の帯が少し上にずれるだけで全ての文字は追えなくなり、おまけに光沢ある山吹色を装丁色に採用しているため明かりが反射すると文字がかすむ。この文字列はなんだ、文字を読ませる気があるのか、溜息交じりの悪態をつきながら俯くと抱腹絶倒マークなるものが出迎える。ゆっくりとした瞬きを強いられた後で帯を外すと表紙カバーにも抱腹絶倒マークなるものが大きさをさらに増して印刷されている。読者は首を横に振りながら若干長めの溜息をつくことになるかもしれない。しかしここでへこたれず気を保って表紙カバーをゆっくりはずしてみる、するとそこで目にするものは『アハハハハハハ』。裏には『ギャハハハハハ』。襲い来る鈍痛に目頭を押さえながら思うことは多い。
作成者が自己暗示をかけるかの如く美味しいからと勧める料理が往々にして大して美味しくないように、抱腹絶倒マークがしつこく記された本書は正直なところ読物としては大して面白くない。創設者が著者であるということはセルフプロデュースの難しさを考えさせられるし、体裁と歯切れの悪い翻訳からは訳者が選定や評価の分野において翻訳経験があるのだろうかと思いを巡らせてしまう。本書は選定過程を書き綴ったものではなく受賞対象への評価を列挙したものでもないが、根底において選定や評価に対するスタンスへの理解がないと的外れな方向に行きやすくなるだろう。古き神の名称や下町のスラングといった単語レベルでの知識不足と違い、方向のずれはぼんやりとしたリズムの悪さを生む。訳者自身が既にジョークに対して評価を下してしまっているかのような訳は、どんなに面白いものであっても面白い評価に成り下がっていて読者が面白がることができない。ただ、この部分もセルフプロデュースの難しさに含まれるものであり、簡単に駄目だと言うことはできないだろう。
セルフプロデュースがいかに難しいかを思えば、イグ・ノーベル賞がノミネートに自己推薦を認めていることに敬意を表さずにはいられない。小手先のインスタントな推薦を認めないと宣言するようなものだ。事実、本書で紹介される受賞テーマのどれからも真摯な研究姿勢が感じられる。馬鹿なことを馬鹿なこととして馬鹿になってやり遂げる、これぞまさに学問の真髄、智の真理ではなかろうか。興味こそが第一義、評価は二の次。失敗しないことが成功することではない。安易な排中律に逃げ込むことなく己を貫く、なかなかに真似できることではない。日常の瑣末な事象を昇華し深化させ学問と成して論を生む、なんと格好の良いことか。その片鱗に触れることができるという点において本書は真似すべき精神を持つといえよう。
紙の本
科学を侮辱していると怒らないでください。パロディです。
2004/05/04 11:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:地球の住人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イグ・ノーベル賞の創設者のマーク・エイブラハムズが自ら著した著で、賞の経緯や1991年の第1回目からの受賞研究について、写真などでわかりやすく紹介しています。
イグ・ノーベル賞は、日本では、タカラの「バウリンガル(犬語翻訳機)」が受賞したことで有名になりました。一部実用的な点もあるのですが、そのほとんどはパロディです。
この本では、研究内容に常識的な意見や評価を一切加えていないところもミソです。科学を侮辱していると怒らないでください。ユーモアとして笑い飛ばさないといけません。
訳者があとがきで、「ガリレオの地動説やニュートンの万有引力も最初はバカにされていた」とよく聞く話を書いてますが、この本から発明や発見のヒントを得ようなどと期待しないでください。
いやむしろ興味深いのはその研究の真偽や実用性ではなくて、その情熱です。ばかげた研究に金と手間をかけた研究内容や経過を、きちんと真面目に書いていて、途中でバカらしくなって投げ出すことなく読めます。明らかにおかしいと思えるのですが、逆にのぞいて見たい…そんな世界です。
まともな研究者なら、まさか自分の研究が選ばれたりしないだろうな、なんておびえていることでしょう。しかし、“めでたく”受賞が決れば10月にハーバード大で行われる授賞式に招待されます。招待といっても、交通費は自費ですが。
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イグ・ノーベル賞とは、人を笑わせ、考えさせ、絶対にマネ出来ないユニークな研究に贈られる賞のこと。単なるパロディではなく、研究自体はまじめそのものだ。授賞式は、ハーバード大学で行われている。目次を見ただけで可笑しいけれど、読むとさらに笑える。どんな研究かは、目次を一部抜粋した。興味をそそられたら是非読んでみよう。「コーンフレークがふにゃふにゃになるプロセスの物理学的考察 」「ダッチワイフを介在した淋病の伝染についての研究 」「恋愛と強迫神経症は生化学的に区別できないことの発見」「ニワトリの体内で起こる低温核融合の研究」「医学論文:グラスゴーにおけるトイレの崩壊」「兼六園の銅像がハトに人気のない理由の化学的考察」など他に多数。どうでもいいような研究こそ、人類の未来を救うかも・・・ってことはないか。
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ユニークかつユーモアあふれる研究に贈られる「裏ノーベル賞」。
受賞した数々の研究を紹介。
今年はカラオケ発明者・井上氏が平和賞に。
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何だコリャ?という発明まで、真剣に取り組んだ方々が、こんなにも居るとは!ちょっと脱力しつつ、きちんと活字が読みたいときに良い。
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このような研究をやっている人、やることができる環境は、必ず偉大な発明に結びつくに違いない。日本の受賞者が多いことに誇りを持ってしまう。
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あまりに独創的な研究を賞賛すべく創設された裏ノーベル賞IG NOBEL PRIZES。知らない人が多かった同賞が本格的に紹介された記念的書物。どんな研究が受賞しているかは、とにかく自分で確認して欲しい。岡村長之助氏のミニ生物研究論文が見れるだけでも買い!!
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世の中には本当にいろんな研究をしている人々がいる。
・思春期における鼻くそ掘りの研究
・コーンフレークがふにゃふにゃになるプロセスの研究
・地獄に落ちる人の割合を科学的に算出する研究・・・などなど
裏ノーベル賞として実際にハーバード大学で表彰式が行なわれている「イグ・ノーベル賞」の成果をまとめた本。いやー、科学と笑いは紙一重だ。
この本の編集に携わった江口さん、こんな面白い本を紹介してくれてありがとう!
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腹をかかえて笑える本。
世界中のユーモラスな研究を紹介している。
特に、生殖に必要な一物に関わる受賞は必見である。
MRIでそんなものを映していいのでしょうか?
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風変わりな自分の業績を公の場で祝福されたいと思うなら、その気持ちは報われる。聴衆も関係者も笑いをかみ殺しながら、敬意をもって受賞者を迎えるだろう。
(P.14)
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[日販MARCより]
「まず笑わせ、そして考えさせる」研究、「絶対に真似できない、真似すべきでない」業績に贈られる「イグ・ノーベル賞」。過去12年の受賞から、74の受賞研究・業績を紹介する。
[BOOKデータベースより]
誰も真似できない真似すべきでない研究の数々。
医学賞—医学の飛躍的な進歩に関わる業績;
心理学賞;
経済学賞;
平和賞;
平和賞—噴出と爆発に関連した業績;
愛と結婚に関わる受賞;
生殖技術に関連する受賞;
生殖に必要な一物に関わる受賞;
基礎科学に関連する受賞;
落下と浮上に関わる受賞〔ほか〕
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中野ブロードウェイのまんだらけで100円で売っていたので購入。
思ったより良さそうなかんじ、
受賞した人はなんでこの研究を始めようと思ったのかって思う。
意図的にもらってる人は少ないとは思うんだけどね~。
例えばロイズとか。
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おもしろおかしなことを考える人はどこの国にもいるようで、
アホらしいけど真面目だったり、突拍子もないようなことだったり、
それらを賞として扱っている点がおもしろかったです。
ついつい下ネタ系のテーマに興味が惹かれてしまう自分がいます。
この本はイグ・ノーベル賞を紹介した本を訳したもの(だと思われる)のせいか、文章がやけに角ばっていて読みにくかったのが残念。
(英文を単に直訳しているだけの様に見受けられます)
もう少しうまいこと紹介するような形にはできなかったのだろうか?
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ユニークだったりマニアックだけど、本家のノーベル賞に負けないぐらい力が入った研究から行動までが受賞基準のイグ・ノーベル賞。
食物と味覚に関する受賞からジャスムヒーンさんの人間には食物が必要ないという主張について。
マジか!?って感じだけど世界にはブレスアリアニズム(不食実践者)の方々が沢山いるんですよね。
ジャスムヒーンさんの著書「ライトに生きる」でイグ・ノーベル賞受賞なのですが邦訳は無いそうです・・(く・・英語が読めれば!!)
ジャスムヒーンさんは、付き合いや娯楽目的以外では食事をしないそうです。栄養素はプラナの宇宙生命力エネルギーで取っているそう。
食糧危機が起こった時、このエネルギーで乗り越えれば良いのね。
前、本で飢餓で死ぬのは食べないから死ぬのじゃなくて食べれない恐怖から死ぬって書いてあった。
ブレスアリアンズは人体の機能をほぼ完全にコントロールできて、生理を止めることも可能らしい。つまり、ジャスムヒーンさんは不食でも生理がちゃんときているということです。でも、生理がくることは健康の証拠だから敢えて止めないそうです。
わーー人体の機能をコントロールできりということは、今のわたしみたいに睡眠とかアトピーとかもコントロールできるのかしら。
不食ができるできないはどうでもいいとして、今のわたしから食を取ったら死ぬと思う。餓死するとか栄養失調という意味ではなく食を生きる楽しみとしているから。食べるときって楽しいんだよな~。今は食べることを超える熱中することもないし。
しかし、ブレスアリアニズムと拒食症の差は何なのだろうか?
こればっかりは、実際に実践している人に合わなくてはわからないだろう。日本にも実践者はいるけど、とんでもなく少ない。
もし、この方法が全員できるようになったら拒食症や過食症はなくなるのだろうか。
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おかしな業績や奇妙な研究をまつりあげる変わった賞を受賞したあれこれをたくさん紹介した本。
とっても楽しいです。
ずっとクスクス笑い通しでした。
経済賞はほとんど犯罪ばかりだったり平和賞はイロニカルだったりしましたが科学関係になるとむしろ愛を感じました。
こんな変な題材に取り組むなんて、物好きですごい人たちだ、と。
中でも個人的にはニワトリが体内で核融合してることを突き止めた研究は気に入りました。
これなら金の卵を生むニワトリも実在できますね。
「奇妙」と「すごい」は紙一重(たぶん)。
そしてこれらの研究は「現実」と「非現実」のあわいにある一種のファンタジィ。
異世界に行きかけてる業績をぜひ楽しんでください。
(2005年11月21日読了)