紙の本
猫舌男爵は長靴を買う
2004/04/29 14:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村静英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
薄氷に守られた綺麗な世界で、嘘事の良心に支配されたふりを、いつまで続けていくのだろう。二重体の少女が語らずとも、偽善と慈愛に満ちた現世の絡繰りなど、誰も気付いていることなのに。
どうしようもなく生まれたものなら、せめて自由に死ねる世の中を望むのは、悪か? (水葬楽)
異文化コミュニケーションなど成立しない! 断じて!! (猫舌男爵)
醜くて、汚くて、狡い大人のやり口を理解した時、少年は子供時代を終える。そ
して君は、それを許さなくてはいけません。もう子供じゃないんだから。
裁いてどーするよ。 (オムレツ少年の儀式)
現在から過去への道程は、狂気から正常への帰還。作者は、某彫刻家の愛人でもあった女流彫刻家に示唆を得たと付してあるが、私は、高村光太郎と智恵子のことを思った。偉大なる芸術家の一番近くで、自分の魂も才能も摩耗していくのだ。 (睡蓮)
繰り返す殺戮の歴史(それは未だ続いている)の中で、今ここに生ある奇跡を思い出してみる。 (太陽馬)
どれが未来でどこから過去か、それさえも危うい五編の物語。
軽くて暗い世相を映した言葉のあふれる中で、夢と現、狂気と理性の交錯する皆川氏の宇宙にただよえた幸せに感謝。
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「水葬楽」「猫舌男爵」「オムレツ少年の儀式」「睡蓮」「太陽馬」の5話。幻想的な話からコミカルな話までいろいろ詰め合わさったキャンディーボックスのような一冊。
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「水葬楽」
「猫舌男爵」
★笑いを誘うアナグラム
「オムレツ少年の儀式」
「睡蓮」
★★★汚い泥の中で美しいエディートリヒという睡蓮が徐々に花開いて行く。白白と神秘的な美しい、仄かな光りのような。
「太陽馬」
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後にわたしはいろいろな言葉を知ったけれど、このとき奏でられた音楽を表現する言葉はいまだに、ない。比喩は、属性を限定する。
(P.27)
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2006.08. 諧謔にあふれていてすごく面白いコメディタッチの「猫舌男爵」は、額面通り受け取って猫舌な男爵の話なのかと思っていたら大間違い。日本の(山田風太郎の)話を翻訳したつもりになって有頂天になっているどこかの国の主人公。と、それを取り巻く様々な人との書簡集だった。“猫舌”に代表される日本語の意味がわからなくてくちゃくちゃな翻訳なのに、悦に入っていて笑える。こんな人が実際にもいそう。それと「オムレツ少年の様式」最近ホテルのビュッフェでオムレツを客の前でずっと焼き続けるオムレツ少年ならぬ、オムレツおじさんがいたので思い出し笑いをかみしめた。
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最近めの短編集。
表題作の「猫舌男爵」を始め、長編にはない軽やかさで読むことができますが、随所に禍々しさがあってあっという間に読みました。
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今まで何読んできたんだっけ…と思わされるすごいよこれすごいよー。純文以外はマンガのようなものですよフフン等とのたまう全ての井の中の蛙へ。ブラボー。表題作の猫舌男爵はヤマダフタロを読みたくなる。皆川さんって70歳超してらっしゃるのか…半端じゃねぇ。
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数年前から読み漁り続けている皆川博子短編集
陰惨な内容でも読後感が哀くて美しいのは巧緻な文章ゆえか。表題作は珍しくコミカル
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なんだこりゃ。面白かったー。
わけわかんなくて軽く読めて深読みもできそう。
綺麗な文で書いてくれるからこそ内容が引き立つ。
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表題作、主人公と周囲の会話(手紙のやり取りなど)の噛み合わなさが笑える。「睡蓮」の(逆)時系列という試みも面白かった。全体的には残酷な童話を読んでいる時のような感じ。これ以外の作品も読んでみたい。
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ちょうおもしろいです。これは良いです。
表題作猫舌男爵もおもしろかったけど睡蓮もおもしろかった。よかった。借りてよかった。っていうかこれは買っても良いですオススメ!
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これではじめて皆川博子作品読んだんだけど
本当に衝撃が大きかったです
一番はじめにある水葬楽で度肝を抜かれ
以来皆川博子のファンになってしまいました笑
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図書館で借りたもの。
タイトルセンスに、脱帽。素敵過ぎました。内容は少し私には難しすぎたような気がするのですが、面白かったです。何より途中で投げ出そうとは一回も思わなかった、時間がある時にもう少し他の本も読んでみたいぐらいです。「睡蓮」が、好きです。
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「水葬楽」「オムレツ少年の儀式」「睡蓮」が好きです。
戦争・紛争についての記述がどの短編にも含まれているのが気になりました。
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どうしようもなく胃にもたれた。
好きだと言う人には申し訳ないけど
不必要に残酷な描写が多くて、いろんな意味で病んでる人が多すぎ。
「睡蓮」のみ星4つ。
何で遡るんだろうと思ったら、文箱を開けて上から順、ってことなのか。
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図書館。
何となくタイトルに惹かれた。
昔このひとの書いた少女小説を読んだような気がする。(09.03.14)