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ディ・バラ家の物語 2 騎士と女盗賊 みんなのレビュー
- デボラ・シモンズ (作), 平江 まゆみ (訳), 遠坂 恵子 (訳)
- 税込価格:1,320円(12pt)
- 出版社:ハーパーコリンズ・ジャパン
- 発行年月:2004.4
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紙の本
伯爵と7人の息子の騎士一家に惚れて下さい。13世紀のイングランドが舞台のロマンス。
2005/03/13 05:28
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投稿者:三度目の正直 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ディ・バラ家の物語」とは、中世イングランドを舞台としたデボラ・シモンズ著の大人気シリーズ。
デボラ・シモンズはハーレクイン社のヒストリカルシリーズを手がける多くの書き手の中でも、一番と言っても過言じゃないほどの人気を誇る作家。その人気の高さは彼女の作品を読めばすぐに納得いくだろう。登場人物の一人一人が際立ち、話の展開、盛り上げ方、読者のツボを心得ている作品の作りが緻密で素晴らしいのだ。
イギリスがまだイングランド王国、ウェールズ公国、スコットランド王国、アイルランド王国に分かれていた時代が舞台。
イングランドで広大な領地を治める最も力のある領主キャンピオン伯爵と7人の息子たちの騎士一家、それがディ・バラ家である。そのディ・バラ兄弟一人一人を毎回主人公に書かれているのがこのシリーズ。
本書の前巻にあたる『ディ・バラ家の物語 1』では、長男ダンスタン、三男ジェフリーの物語2作品が収録されていた。そして今回は、次男サイモンの『騎士と女盗賊』、四男スティーブンの『魔女に捧げる誓い』が収録されている。いずれの作品も元々はそれぞれ個別に刊行されたもので、本書は2作品ずつをまとめて収録した愛蔵版のようなもの。それぞれが独立した話なので単独で読めるようになっているが、全作品通して読むとさらに面白さが増す。というよりも、一作品でも読むと他の兄弟の話も読んでみたくなるので、気が付いたらシリーズ全作品読んでしまっていたなんてことになっても全然不思議ではない。それくらいに本当に面白い。
1つ目の『騎士と女盗賊』はディ・バラ家の次男サイモンの物語。
いつもむっつり不機嫌顔で、癇癪持ちで、敗北知らずな屈強の騎士であるサイモン。そんな彼の自尊心を打ち砕く者が現われる。与えられた任務の旅の途中の森で盗賊に襲われ、不覚にも囚われの身となってしまったのだ。彼を捕らえた野盗団の頭目はビーシアという若い女性。サイモンにとってこの事態は屈辱以外のなんでもない。しかも女性に負かされるなどもってのほか。彼はこの窮地をどうやって脱け出すのか、そしてビーシアの正体と目的とは……。
兄弟の中で一番ロマンスという言葉が似合わないサイモン。彼が女性に愛を捧げるなんて想像もつかない。だからどういうふうに心情が移りゆくのか興味津々で、読み進めるのが楽しかった。二人の難産なロマンスは、まるで映画を観ているよう。二転三転する展開に最後まで失速することなく読めます。
2つ目の『魔女に捧げる誓い』は四男スティーブンの物語。
兄弟一の美男子で女と酒好きなスティーブンは、なに不自由のない暮らしを送りながらも日々胸の中は虚しさで埋まっていた。彼は父のキャンピオン伯爵から、レストランジュ家の姫君ブリードを彼女の生まれ故郷のウェールズに送り届けるように言い渡され、気が乗らないまましぶしぶ引き受けることに。ブリードは地味なガウンに全身を包み、頭巾で髪をすっぽりと隠しているまるで尼僧のような女性。しかも始終しかめっ面でスティーブンを苛立たせる。一方ブリードも、スティーブンをただの飲んだくれで怠惰な男だと最悪な印象を持っていた。
こんな二人がどう心を通わせていくかは読んでのお楽しみ。
戦闘シーンや、刺激的で濃いロマンス部分も良いが、このシリーズからは何よりも家族の温かさというものが伝わってくる。
7人兄弟の誰もが父を敬い、他の兄弟と家に誇りを持っている。問題に行き詰れば他の兄弟ならどう対処するだろうと考え、窮地に陥れば、言葉に出さずとも当たり前のように家族みんなが手を差し延べる。そこに胸がじーんと熱くなる。そう、本書はロマンス物語でありながら同時に温かな家族の絆の物語でもあるのだ。
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