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新選組!を抜かして一番好きな新選組ものである。男と女の違いとか、作品に込められた対比とか深読みできる要素はたくさんあるのだが、そんなことよりも私は糸里と土方の行方が気になって仕方がなかった。腹を立てながら上巻を読み終え、下巻に入ってからも糸里に土方に騙されていることを伝えたいと真剣に願いながら読み進めた。だが最後、最後である。土方は糸里を殺そうとしておきながらも糸里に結婚を申し込むのである。このシーンを読んで私は糸里と同じく、土方の真意がやっと分かった。頭が良すぎるが、頭が良すぎるからこそ不器用な男だと思った。最後の、糸里の決断に私は感動した。あと壬生義士伝では変人だった斉藤が結構普通の人物になっていたり、沖田がやばかったりと隊士を重点においても楽しめる。糸里と土方の会話が壬生義士伝を読み解く上でのヒントになっていたのも良い。次は伊東一派を主役に浅田版新選組を読んでみたい
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島原の花魁で土方に恋をした糸里、水戸藩士平間の子を宿した吉栄、江戸から京に来て嫁ぎ先の商売を立て直し、芹沢の女になったお梅、新選組に宿を提供していた屋敷の女房といった、新選組にかかわった女性達から見た、芹沢鴨暗殺の経緯が丁寧に書かれている。糸里、吉栄、お梅は、過酷な状況下でも皆それぞれ凜としたものを持っている女性だったと思った。大河ドラマの「新選組!」と司馬作品の「燃えよ剣」の後にこの本を読んだのだが、悪役としてのイメージだけが強い芹沢鴨の、土仕事が好きで「ろおず」を植えたという、ちゃんと血の通った人間であったと思えるエピソードを読んで、歴史とは一つの方向だけで理解してはいけないんだと、改めて感じた。と同時に、多くの作家の本を読めば読むほど、多くの解釈を知ることができて面白そうだと思った。
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男ってみんなバカ!って感じの本(笑)専門用語とか訛りがまんまでてきてけっこう難しいかな・・?でも、そういうのが全然関係ないほど、それぞれの生き方が切ないくて夢中にさせられる。芹沢鴨が・・。
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壬生義士伝の浅田次郎著。
昨年の新撰組ブームの火付け役とも言える著者が書くもう一つの新撰組の世界。
歴史の影に常に存在した遊郭文化の花魁方が支えた歴史の立役者達、というかなり斬新な視点。
幕末物としても、もっと単純な読み物としても十二分に楽しめる。
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ええな、いと。だあれも恨むやない。ご恩だけ、胸に刻め。ええな、わてと約束しいや。
姉の様に慕っていた音羽太夫が芹沢に殺された。―――そして、糸里の闘いが始まる。
輪違屋の糸里と吉栄・菱屋のお梅・前川家のお勝・八木家のおまさを中心に描かれる新撰組版(ちょっと違うけど)大奥風味なお話です(笑)
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上下合わせての感想です。新選組をそれに関わった女性達の目線から描いた本。そしてその側面から見える新選組隊士の心の内。
ドラマ等では何かと近藤・土方が中心になるのでどうしても芹沢鴨という人は悪、に描かれがちですが、これはそんなイメージを一掃してくれる、そんな意味でもいい作品だと思います。逆に土方がまさに鬼のようでもある。国のために明日も知れぬ時代を駆けた男達は確かにすごいけれど、その男達を愛した女達も命がけだったんだと思う。とても強かったんだと思う。
本当に「女ってのは刀を持たずに戦が出来る」んだなーと。女の意地ってすごいです。私も女ですけど…
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糸里の強かさは憧れます。
土方さんが悪者みたいになっていますが、感じる人なら可愛そうに思えるんじゃないでしょうか。
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浅田氏による上下巻・長編小説(の上)。
主人公は一応、『輪違屋の糸里』という天神が中心、というだけで、視点は変わりながら進んでいきます。(苦笑)幼くして身寄りをなくした『おいと』とその周囲の人間や新撰組の面々の話。まだ上巻だ、というのに話はとてもそれだけで魅力的で、作中の表現も『美』!!ただ、京都弁に不慣れだとかなり難しいところもあるかと…。取りあえず読んでみたい、という方には辞書携帯をおすすめします(笑)
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新撰組と島原の話。浅田次郎は凄い。人情とか、若者の話し方とか。新撰組に別段興味を持ってるわけではない私が読んでも面白かった。新撰組好きな人は是非。
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『壬生義士伝』につづく、新撰組異聞第二弾。6歳の時に女衒に買われて京都・島原の置屋、輪違屋へやってきた糸里。その糸里の恋と、新撰組との関わりを通して、幕末を描いた大作。とても読み応えがあって、期待以上の作品だった。糸里が切ないねぇ。。。あと、芹沢鴨の暗殺までが描かれているのだけれど、この芹沢の描かれ方も従来と違っていて涙を誘うものがある。この作品はオススメである。
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全体的に新撰組の人物と関係のあった女性目線。メインは土方さんに片想いの太夫・糸里サン。糸里さんに感情移入して、若干土方さんが嫌なヤツに思えたり・・・。この時代を女として生きるのって、本当に大変だったのね・・・(´д`。)その中で自分を貫いた糸里さんの凛とした強さが好き。
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男がひたすら卑怯で情けなく、女は悲しいまでに気高く潔い。
この本の土方は私の想像する人物像に一番近いかもしれない。
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真撰組の話…ではなく、それを取り巻く女性達の物語。主人公の糸里さんが良い味出してるけど、芹沢さんや新見さんも良いキャラしてます。
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あまりにも語られすぎた新撰組の物語を、女の視点から描くのが新鮮。いろんな女たちの視点で物語が進んでいく(壬生浪が屯所を置いた八木邸の女たちの目から見た新撰組があるのも珍しい)なかで、京言葉を喋る女、あるいは江戸言葉を喋る女、それに対して山手言葉にも似た、この時代に彼らが喋っていたはずのない明晰な言葉遣いが、「他者」を感じさせてやまない……それだけに最後の数頁が印象的。続き、読みたいなぁ。
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幕末の京都、新撰組を題材にした群像劇。土方に想いを寄せる島原輪違屋の糸里などの女たちや、八木家や前川家の人間模様の絡み合い。それぞれに語られる新撰組隊士達の独白もいいが、芹沢鴨の解釈が特に意表を付きます。時代に生きる男達の側で、女の悲哀と生き様の違いが浮き彫りになっています。最後の糸里の強さが印象的でした。