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朝鮮半島をどう見るか みんなのレビュー

  • 木村 幹 (著)
  • 税込価格:7927pt
  • 出版社:集英社
  • 発行年月:2004.5
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー15件

みんなの評価3.9

評価内訳

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15 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

<朝鮮半島>の入門書だけれど、専門家・プチ専門家にこそ読んでほしい。なんで今までこういう本がなかったのだろう。

2004/11/05 20:20

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 どうして日本人は朝鮮半島について語るときに、ほかの国についてのように「普通」に語ることができないのだろうか、と著者は問う。巷間、朝鮮半島に関する肯定・否定両方のステレオ・タイプ言説がまかり通っている。それらの思いこみをひとまず飲み込んで、素直に統計に取り組んでみよう、と。

 まずは、朝鮮半島の大きさ、人口から。地理的にも経済的にも韓国と北朝鮮はほんとうに小さな国か? GDPは、軍事費は? そして、朝鮮半島は小国だから植民地にされたという思い込みも本当だろうか?

 そして、日本と朝鮮半島は運命共同体か。グローバル時代になぜ朝鮮半島が運命共同体といえるのか。単に地理的に近いという以外に韓国や北朝鮮が日本と特別な関係を結ぶという意味は本当にあるのか? 朝鮮半島についてだけ、なぜ特別視するのか?

「サッカーの試合を観に行ったはずなのに日韓友好についてしか語らない人や、自分の最愛の人を語るときに「私の妻は朝鮮人だ」としか表現できない人は、どこか不自然だ。それは、彼らがサッカーの試合そのものや愛するその人を見ていないからだ。彼らが見ている尾は、試合や最愛の人の背後にイメージされている朝鮮半島、しかもステレオタイプと化した朝鮮半島の姿だ」(55p)

 ステレオ・タイプといえば、朝鮮人は強い民族意識を持っていると思われているが、それは本当だろうか。歴史的に見て、他の植民地に比べると激しい民族闘争が行われてきたのだろうか?
 じっさいには、朝鮮での反日運動は一時的に激しくなってもすぐに消滅してしまうというのが著者の結論だ。それについては、血なまぐさい弾圧だけが闘争敗北の理由とは思えないという。彼らは、強い民族意識を持っていても、しょせんは大国にかなわないという諦めをもってしまうのだ。

 植民地支配についての賛否両論の評価についてはどうだろう。確かに日本の植民地下において朝鮮は経済発展したけど、政治的権力がなく外国人に支配されているという状況が果たしてよいことだろうか。自分が当時の朝鮮半島に暮らしていたらどう感じるかを考えてみることだ。それが判断の基準になるはず、と著者はいう。
 そして、植民地支配が終わって半世紀がすぎてもいまだに朝鮮半島との関係がこじれているのは、「和解の儀式」ができなかったことに原因がある。朝鮮は自力で解放されなかったし、日本は朝鮮人に負けたとは思っていない。そこに不幸なボタンの掛け違いがある、と。

 最後に、現在の北朝鮮についての考察が述べられる。「北朝鮮が目指しているのは体制の保障を得ることであり、経済援助は二の次だ」から、北朝鮮がこわいのはアメリカによって体制を潰されることである。ただし、今すぐにでも北朝鮮の体制が崩壊するのかどうかなんてわからない。わからないことの理由は情報が少ないから。少ない情報で安易に結論を出すな、と。
 
 そして、まとめの部分で、著者は「どこにもいない「平均的で典型的な韓国人や朝鮮人」など探すな。一人ひとりの現実を受け止め、多様な現実をそのまま受け止めること」が大切だと述べている。わたしがもっとも共感したのはこの部分だった。

 本書は、朝鮮半島について考える格好の入門書・啓蒙書だ。ただ、これを読んだからといってそれほど革命的に見方や考え方が変わるわけではないだろう。なるほど、数字を挙げて具体的に論証された部分についての偏見や謬論については正せるかもしれない。しかし、数字や事実のつきつけで揺らがない人々の感情や意識というものもまた確かに存在する。

「「交流による解決」という魔術を信じて半ば人任せにして放置すること」(146p)は決して日本と朝鮮半島の人々にとってよいことではない。本書はその問題について考える端緒となる。

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紙の本

「普通」を強調するのは「普通」ではないことの証拠、であるようなないような

2005/01/02 00:50

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:梶谷懐 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本での木村さんの基本的な主張は、とりあえずイデオロギーを離れて客観的なデータなどを中心に「普通に」朝鮮半島を眺めてみよう、と言うものである。それは基本的に正しい姿勢だと思うし、また実際に木村さんの専門的な業績に裏付けられた「半島の国々、特に韓国は、人口・経済力・軍事力から言ってもちっとも「小国」じゃないのに自己意識としても、および日本を始めとした他者からも「小国」意識を持ち続けている」とか、「韓国人の民族意識は他の国に比べて特に強烈なわけではないのに、日本ではやたらと民族意識に凝り固まった人々だと思われている」とかいった本書の指摘からは啓発されるところが大きかった。

 しかし、そういった「韓国や北朝鮮を普通の国として見よう」という本書の主張を木村さんは一体誰に向けて発言しているんだろう、という点については若干の疑問を感じてしまう。 例えば、木村さんが批判の対象としている「朝鮮半島は(日本にとって)特殊な存在だ」という意識にどっぷりと染まっている人々。これは確かに左右を問わず一定程度存在するとは思うが、そういう人たちはそもそも「朝鮮半島は特殊だ」と強固に「思い込みたがっている」人々ではないだろうか。
 これに対して木村さんは、現在入手可能なデータからとりあえず暫定的な仮説を導き出して、後でいつでも集積できると言う心構えを持つこと、という社会科学のオーソドックスな方法論を対峙させる。これがいわば木村さんが朝鮮半島に関する情報について価値判断する前に前提としている「メタ判断」なのだが、上述のような「思い込みたい人々」にとっては学者のきれいごととしてスルーされてしまう恐れが強いような気がする。
 さらにもっと重要なことだが、「韓流」ブームがかなり定着した現在には、そのような「(韓国も含めた)朝鮮半島特殊論」にどっぷりと染まっている人々は、特に若い世代では実はかなり少数派になっているなのではないだろうか。つまり、木村さんが想定しているような、「朝鮮」と聞くと身構えてしまい、「普通の国」として捉えられない、という一種のこだわりが、そもそも存在しないような世代がかなり増えてきているように思う。こういった世代に対してはもともと「朝鮮半島」へのある種の深いこだわりから出発している木村さんのメッセージは、一層理解されにくいものなのではないだろうか。

 という風に考えていくと、結局この本はある程度木村さんと問題意識を共有する、すなわち、「韓国や北朝鮮をできるだけ普通の国と見たいんだけど、なかなかそうはいかないよね」と日ごろから考えているような人にしか受け入れられないような気がする。まあもともと書物とはある程度内容で読者を選ぶものだから、それ自体はかまわないのだが、そうすると冒頭で挙げたような本書のモチーフは初めから若干から回りをしているのでは、という点がやはり気になる。
 まあそんなふうに難癖をつけてはみたけども、読んで勉強になる本であることは確かだし、同業者に向かって「今までの朝鮮研究はイデオロギー的対立に影響されすぎていてゆがんでいた」といった威勢のいい啖呵を切ることのできる若くて優秀な研究者が出てきたことは大変感慨深い。それにしても、野次馬的読者としては「ゆがんだこれまでの先行研究」って具体的に誰の研究のことなのか、名指ししてくれるともっと面白かったのにな。

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2005/12/04 23:17

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