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殺人が起きるまでの第一部は「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃならないんだよ」という興味を引く一文から始まるわりに大したことも起こらないようにみえて焦らされた
中東の風景に詳しくないのもあって想像しづらかった
うってかわって謎解きに入ってからはボイントン家の人々の行動や犯人にかなり意外性があって想像以上におもしろかった
自分が母親に会ってみたら死んでて、それを家族がやったと全員勘違いしていくところがいい
犯人を含めて一堂に会した謎解きかと思いきや、犯人には隣の部屋で盗み聞かせておいて…というのが凝ってるなと思った
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舞台はヨルダン。これまた異国情緒漂う設定に、心身ともに子供たちを拘束するサディストの母親率いるアメリカ人一家。当然殺されるのは母親。
母親から逃れようとして諦めてしまった長男と、彼を駆り立てるも他の男へ逃避するか迷う妻、旅先で出会ったサラに恋をして母に歯向かおうとする次男、サラと友人になった長女。唯一の実子の精神分裂症気味の次女。この人が犯人だったら嫌だなーと、恋を応援しながら読んでいたら、犯人は意外な人物で、ハッピーエンドでよかった! なぜ家にばかりいた一家がこんな遠くまで旅に出たのかそもそも疑問だったのも、犯人を知って納得かな。
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久しぶりのアガサクリスティー。
でも流石に安定感のある面白さ!
観察眼、洞察力があって、人の心理の奥底にも入り込んでて感嘆する。
小説の中でアガサ女史が登場人物に語らせてるセリフにはっとさせられる。
p55(ジェファーソン・コープ)
わたしにいわせれば、人間は自分の運命を自分の手で左右する力をもっているのです。自分を信じる人間は、自分で自分を作り、自分の生涯に価値を作り出すものです。決して腕をこまねいてぼんやり座っていません。そんな男には、女は誰も見向きもしないでしょう。
P286(ジェファーソン・コープについて語るジェラール博士)
彼は理想を持っているわけですが、それは実際は怠惰の根強い本能が土台になっているのです。人間性を美化し、世の中を楽しい場所と考えるのは、もっとも安易な人生航路しか見ていない証拠です。したがって彼は、人間とはどういうものかを、ぜんぜんわかっていないのです。
対にして読むと、良いこと言うけど単純で思考が浅いように思えたジェファーソンだが、読後に振り返ると純粋で真っ直ぐな人間だった。この辺り、人間性を重層的に描くアガサ女史が面白い。立ち位置を変えて人を視る人だったんじゃないかな。
あと、推理の材料とする為人から話を聴き出すのが上手で要点を聞き逃さないポアロ。相手の話に合わせて相槌打つけど「そうすると彼はセンチメンタリスト、ということですな!」など、相手の話を是とした前提の感想を伝えてるだけなので、本質的に肯定してなくても使える手。コーチングのテクニック!?笑
犯人が隣で聞いてるのをわかって謎解きをしていくあたり、残酷なのか?自死の機会を与える優しさ?アクロイド殺しの時もそうだったけど、そこは謎です。
しかし、これだけの作品数を面白さの水準を保ちつつ生み出せたアガサ女史は素晴らしい。サラ・キングとネイディーンのキャラが少しかぶり気味で少々混乱したのが残念。
犯人わかった上で再読しても良い作品だった。
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著者:アガサ・クリスティ(Christie, Agatha, 1890-1976、イングランド、小説家)
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もう最後の最後まで読者をだまくらかそうとしているかのような推理小説でした。
殺人事件が起こるのは物語も中盤を過ぎてから。そうして後半部の謎解き部分では、え?この人なの??と読者が思いそうな描写が容疑者を変えて何度も描写される。
結果は予想だにしなかった人物…う~ん、それでもストーリー中に伏線はあったのかもだが、全然気づかず、すっ飛ばして読みました。
クリスティ女史は推理小説が有名だけど、実はこうした家族内の問題もいろいろと表現したかったんだろうな。「春にして君を離れ」も家族の問題だったし。
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殺される人は最初からしっかりと分かっている。
意味ありげな家族、それと3人の部外者。
偶然居合わせるポアロさん。
じっくりじっくり人を掘り下げて、誰が犯人なのかをみんなを集めて発表。定番のスタイルで読み応えはあった。
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「死海殺人事件」の名で映画化されているそうな。これは「オリエント急行の殺人」の後で読まないといけませんな。話としてもちょろっと出てくるし、状況としても対照的。矛盾する証言を切り崩していくのが面白い。
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死海殺人事件というタイトルで映画化もされていたようだが、今回アガサ・クリスティ全巻読破を目指すまでタイトルも知らなかった…
で、読んでみたらかなり良い!どこかにもあったが、冒頭事件の発生を匂わすセリフが中盤までを引き締め、事件発生後はポワロの早い展開でどんどん読み進む。前作『ナイルに死す』と似ているのだけれど、それよりもより引き締まった感じがして良い出来だと思う。にもかかわらず前作より知名度が低めなのはタイトルのインパクトの差かな。
この頃のアガサ作品はどれも評価高く一番いい時期なんでしょうね。推理小説としてもドラマとしても楽しめると思います。
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「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ・・」エルサレムのホテルでポワロは聞いた。のっけからそそられる。話していたのは20代前半の兄と妹。彼女とは彼女たちの継母。ほかに結婚した兄夫婦とハイティーンの継母の娘が彼女達の家族で、父亡き後継母は子供たちを家で教育し外部と接触させないでいたのだが、エルサレムに一家そろって旅行に来ていた。成人した子供は反抗して外に出ていけそうなものだが、彼女たちは継母の言葉に従っていたのだ。
随所にクリスティは子供はある程度の年齢になったら親から離れるべき、巣立つべき、多少の親との軋轢をしても、という考えを登場人物に語らせている。
前半の継母の支配的な言葉に屈する子供たちをみていると、もう、殺されちゃえー となってくる。あまりにひどい母親に自分の親の片鱗も少し見え、読むのがつらかった。「春にして君を離れ」のジョーンが強烈に進化した形の女性か。ホテルに心理学を勉強中の医学生と権威ある医者が滞在し、彼らも異常な家族の毒は母親だ、と判定する。
後半になり、果たして母親はペトラ遺跡で死んた。一見自然死に行きかけると、現地の警察は疑義をいだきポワロが登場。子供たちは開放されたのだ、自然死にしといてくれませんか? いやそれでは道理に反する。
解決策が、これぞ小説だ。うまい具合な犯人が登場だ。
最後にはカップルも誕生し、めでたしめでたし。老兵は死すべし。
1938発表
2004.5.15発行 図書館
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そうくるかぁー。入れ替わり立ち代わり雑談を交えながら関係者に尋問して真相を暴いていくタイプで、一行が家族って設定だったから、オリエント急行を連想してしまった。けど今回は真逆で、家族は誰も犯人じゃないのかぁ、と。いや確かにプロットはすごいけど、ちょっと最後無理矢理過ぎない?と真っ先に思ったが、犯人のチョイスやエピローグを見て、ミステリーのプロット以外にもクリスティーなりのテーマが今回もあるんだなと思い、好きな作品の一つになった。
持って生まれた欲求や性質があるなら、それを持て余して堕落するのではなく、良い方向に昇華させることもできるはず。ボイントン夫人の卑しい人生と、事件後のジネウラの幸せと成功な姿があまりにも対極的で印象に残った。
前半の登場人物の描写が鮮明で、相変わらず人間の洞察力に長けた作家だなと思う。冒頭の鮮烈な一文に反してしばらく事件は進展しないが、登場人物が関わり合っていく様子や人物描写に引き込まれて一気読みしてしまった。
犠牲は時には必要なんじゃないかというサラに向かってジェラールが言った台詞が心に刺さった。「あなたがそう考えているなら医者を選ぶべきではない、医者は常に死と戦うべきなのだから。」
創作機能の負担を減らしたいから、人間はだいたい真実を語るものだ、しょっちゅう嘘ばかりついていられない。というポアロの発言に非常に納得した。そう言いきって、実際に自分のやり方で真相を暴いちゃうポアロの魅力にどうしても釣られて、ポアロものを読んじゃうんだよな…。
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ポアロ16作目。ナイルに死すと同じ旅ミステリーなんだけど、なんか今回は集中出来なかったなぁ……。
訳かなぁ。個人的に語彙が合わない感じ。ストーリーはいいんだけど、言葉選び?が所々引っかかって現実に引き戻される……うーん残念。
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霜月蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』で星5つの高評価であるけれど、そしてストーリーはよく出来ていると思うけれど、でも私はイマイチだった。何故なら、いささかアンフェアではないかと思う(単に私の読み取り不足か)のと、犯人の心理描写が物足りなく感じたからである。
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気になってななめ読みしまくったけど、
犯人が意外すぎて逆に引いたというか…
しかも、相手の話を丹念に聞いてつじつまが合うか確かめていくじっくり系。斜め読み族だと面白さが減ってしまうので注意。
それにしても外国の人はどうしてこうも簡単に一目惚れレベルで恋に落ちるのか。
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名探偵ポアロシリーズ。
原題 "Appointment with Death"
2021年3月に、三谷幸喜×アガサ・クリスティー×野村萬斎のシリーズ第3弾としてドラマ化される作品と知り、読んでみた。
(以前、「死海殺人事件」のタイトルで映画化)
面白かったので、★4つ。
「ABC殺人事件」のような連続殺人事件も面白いけど、ただ一つの殺人事件を描いた本作も面白かった。
殺人がすぐにも起きそうな幕開けだが、なかなか事件は起こらず、4割ほど読み進めて漸く事件発生。ボイントン夫人の死亡発見まで長かったけど、それまでのボイントン家の人々や関係者の描写は意外と間延びせず楽しめた。
ポアロによる個々の事件関係者へのヒアリング、そして、関係者を一堂に集めて謎解きが行われるのだが、その場にいない人物が犯人とは意外だった。でも、犯人は事件前後の様子を陳述するだけでは物足りなく感じる人物だったし、動機も細かく読んでいればわかる人物だったので、すとんと受け入れられた。
エピローグで5年後のボイントン家の人々が描かれているのだが、事件関係者の中から新たに3組のカップルができていたのにはびっくり。サラとレイモンドは事件当時から互いに恋愛感情を持っていたので驚かないが、ほかの2組のカップルは意外すぎて驚いた。
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死海を舞台にしたミステリ。ポアロが出会った、専制君主的な母親に支配された一家。その様子は楽しい家族旅行には程遠く、やがて起こるべくして起こったとも思える殺人事件。動機は誰にでもあり機会もまた誰にでもありそうに思えるのだけれど、単純そうで複雑な事件です。各々の証言を突き合わせて真相を導き出す物語は、一見地味だけれど読みごたえがありました。
何が厄介って……犯人はもちろんのこと、証言者がとにかく嘘つきまくってます(笑)。どいつもこいつもまったく……! ここから犯人を指摘するのは至難の業に思えますが。まさかあの意味深な一言にそんな意味が込められていたとは! そこに気づけば一気に真相にたどり着けたのか、という目からうろこの解決編が印象的です。