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一年前に妻を失ったトム。
未だに立ち直れず、彼は教師を辞め、
親友のシャロンがいるパレスチナにやって来る。
しかし、数十年ホテルから出たことがないという老人に死海文書らしい断片を渡され、
夢とも現実ともとれない老婆に付きまとわれる。
さらに幻覚はひどくなり……
トムの妻への愛は?彼が教師を辞めた理由は?
老婆と文書の正体は?
……なんかあらすじが書けない話だなぁ。
臭いの強い香料の煙が渦巻いているのを見ている内に、
迷路のような中東の町に迷い込んだ、そんな感じのお話。
現実と幻覚の間で酔う。
女、性、キリスト教、マグダラのマリア、死海文書、ジン……
それらが、繰り返し繰り返し、渦巻きのように現れて、大麻のようにとろーんとなる。
感想も書けないなぁ。
なんつーか、色々とねっとりしてる。
もしかしたら、好きな人はかなりはまるかもしれない。
万人向けじゃないかな。
キリスト教圏だと、また違うのかね?
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ただの鬱病の人の話に思えるのだけれど、違うの?
精神病は辛いよね。色々有り得ないものが見えたりして。
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作者は91年にデビューしてから英国幻想文学賞を4回も受賞、複雑な構成を捌き切っていて、腕の確かさを感じます。
妻ケイティーの突然の事故死から一年後、立ち直りきれないトムは教職を辞してエルサレムへ向かう。
亡き妻が行きたがっていた場所でもあり、大学時代からの親友でユダヤ人の女性セラピスト、シャロンの住む土地でもありました。
エルサレムはいくつもの宗教の聖地で、敬虔な信仰とインチキな観光案内、さらには偏見や突発する暴力が隣り合わせ、異様な熱気に溢れた街。
トムはエルサレムをさまよううちに怪異な現象に出くわし、同宿の老人からは古文書を託されることに。
シャロンの友人アフマドに翻訳を頼むと、それはマグダラのマリアの家系図らしい!?
セラピーを受けつつ、古文書に取り憑いたジンの呪いかとも思える幻影と重い現実の狭間で苦悶するトム。それでもトムとシャロンはしだいに理解を深めていきます。
セラピーの実態などはリアル。「自分に嘘をついてはいけない」という言葉がずっしりとした説得力。
男性と女性がお互いを見る目もまざまざと描かれ、すれ違いながらも惹かれ合う有様は面白く読めます。
古文書の内容はダ・ヴィンチ・コードと同じ系統で、そういう時代になっているのでしょうが、かなり刺激的。幻想文学という体裁でなかったら発表しにくかったかも?