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人口妊娠中絶を手掛けてきた冬子。中絶を選んだ麻矢。精子バンクで妊娠する弥生。医療ミスで子どもを中絶させられた有希恵。そして有希恵の支援を受け、子どもを産む決意をする雪絵。命と向き合い心身に傷を負ってきた女性をつなぐ「天使の代理人」。望まない妊娠の背景にある性暴力、そして命について考えさせられる著。
2010年ドラマ化されました。
↓ドラマ「天使の代理人」紹介サイトはこちら
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/tenshinodairinin/index.html
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人工中絶手術 についてのお話。テーマがテーマだけにお食事の前後にはお勧めできません……(笑)
食後に読んで、あばば、となりました。
メインとなるのは元々たくさんの命を取り上げたいと思っているのに違法ギリギリ(いっそ違法?)の人工中絶手術ばかりを行う産婦人科で医師をやっていた女性と、同姓同名の女性が急に中絶手術をやめたせいで間違えて我が子を殺されてしまった女性、サトウユキエだと感じました。
後は子供がほしいと精子バンクを利用する女性と、既に中絶経験のある女子大生がサブで絡んでくるかな、という。
女医さんがある手術の時、中絶させたはずの子供が生きている、というものからストーリーは始まり、自費出版で壮絶な中絶手術の実態を晒し、この本のタイトルが小説自体のタイトルでもある天使の代理人、というもの。
また、天使の代理人と名乗り、中絶しようとする女性の説得に来る謎の活動をするひともいて……。
最終的にかやのそとにいるひともいたりと、全てが良いことばかりではなさそうだったけど、やっぱり子供を生んだひとのほうが幸せに暮らしている、という感じに終わりましたね。
しかし中絶はこわい((((;゜Д゜)))
そう思わされる一冊でした。
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たくさんの中絶現場に立ち会った助産師が、中絶された赤ん坊の代理人として、中絶を決めた妊婦への説得にまわる。
希望した性別ではなかったから、未婚だから、という理由で中絶を決める妊婦。
患者の取り違えで、待望の子を中絶させられてしまった妊婦。
時間軸が入り乱れて少し戸惑うが、大きな混乱はなく読めた。
ただ、中絶反対って立場を美化しすぎているというか…どうにも「代理人」たちへの気持ち悪さが拭えないままだった。
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望まない妊娠をしてしまって中絶を選ぶ女性たち。
赤ん坊を取り上げるよりも、中絶手術をする方が多い産科医。
妊娠22週を過ぎたのに違法な手術を施した時、彼女の中で何かが変わった。
医師を辞め助産師となり、生きたかったのに殺されてしまった胎児への贖罪として「天使の代理人」という本を書いた。
彼女と同じ思いを抱える医療従事者は少なからずいて、彼女たちもまた「天使の代理人」という言葉を使って水面下で活動を始める。
それは、事前に中絶しようとしている女性を知ることができる彼女たちだからできること。
実際に会って思いとどまるよう説得するというものだった。
難しい問題だと思いました。
女性が中絶する権利は必要だと思う。だから天使の代理人がやってることは偽善的で独善的で少々怖い、と感じる。
生まれてきたら、その子は幸せになれるのか?母親が後悔してしまったら?あなたたちは責任がとれるのか?と。
その一方で、作中では到底納得できる理由もなく中絶する女性も出てくる。
曰く、女の子だったから。気が変わったから等々。
すでに中絶したマーヤは、胎児なんてヒトではないのだと、エイリアンや腫瘍のようなものだから排除したのだと言い張り自分を正当化しようとする。
正直、彼女たちには嫌悪感しか覚えない。でも、過激でこちらを煙に巻くような議論ばかりしかけるマーヤは本当はこう言いたかったのではないかとも思う。
「あんたなんて産まなければ良かったと言うくらいなら産むな。少しでもその可能性があるのなら産むな。」と。
でも、それは、100%の自信を持って母親になる人なんていないよ…とも思うわけで。
結局、中絶という問題にぶつかった時、決定権は母親にしかないのだ。
そこに他人があれこれ言う権利なんてない。そう思う。
でも、法律でいくら定められていてもやはり私は胎児もヒトだと思う。
そこだけはそう思う。
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ちょっと怖かった。
それぞれ行動が行き過ぎていて、、、。「天使の代理人」にいたっては、新興宗教ってこうして発生するんじゃないかって思えた。こわ(+_+)
マーヤの最後の行動がどうなったのかわからなくて、??が残った(^_^;)
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この作者は、本当に間口が広い。
これも、人工中絶の是非についての問題作。
難しい問題を、正面から扱っている事は評価出来る。
でも、やっぱり最後は善人になりたいのかな・・・
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産むか産まないか、産めるか産めないか、一人一人が違った条件の中で命のバトンを握っています。
私自身は、命の樹に一枚の葉っぱを残せたと思っています。
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何年か前の昼ドラの原作だって、気づいたのは、読み始めてから。
その昼ドラだって最後まで見てたわけじゃなかったけれど。心に残る内容だった。
人口中絶の話。中絶する立場のひと、助産師、間違われて中絶させられる女性。それぞれ立場は多用。赤ちゃんが欲しいと思う人と、いらないと拒絶する人。
むしろ産まれてからが大変なんであって、天使の代理人なんて、中絶をやめようって説得するだけじゃなく、そのあとのほうが重要なんじゃないかって、思う。そういう意味で、なんだかモヤモヤする内容。
もっと、シングルマザー支援や、若く妊娠したひとと、養子縁組や里親制度にまで踏み込んだ話にしてほしかったと思うのです。
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ううむ…この人の作品は怖いなあ…。やむを得ない中絶もあるだろうし、いろんなしんどい状況の中で子どもを産むのは必ずしもいい結果にならないとは思うけど。胎児をどう捉えるかってこと(価値観とか倫理観とか)の違いについては、私はどーしても腫瘍とは思えないから、ここで交わされてた議論の中ではユキベエに賛成。
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ぐんぐん読んでしまう。
「望まれない命はありますか?子供の命は誰のものですか?中絶は殺人ではないですか?」
ほんとに、いつから"人間"なんだろう。
妊娠初期の中絶を、軽々しく思ってしまう人に対して、絶対許せない!とまではいかないけれど、この本の中の人みたいに、「腫瘍」なんて扱いされたらサイテイだと思う。
女の子だからと中期に入って中絶を決めた弥生。
自分に正直になれてよかった。生まれてくるところ、だーだーと泣けた。
あーでも、ほんとうに、色々と難しい問題を孕んでいると思う。
生まれてきて、必ず幸せになるとは限らないし。。。
だからって、中絶すればいいって簡単にいうのも。。。
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色々な事情があるから、中絶は認められるべきなのか禁止されるべきなのか、明確に自分の意見をもつことはできないけれど、涙なしには読み進められない小説。
感情が入って涙がぼろぼろ、という涙ではなくて、
人として、女性としての、本能?よくわからないけれど、気付けば頬を伝う涙を止められなかった。
この人の文章は、松子もそうだけど、私の涙腺を刺激しやすいのかもしれない
命の誕生に立ち会いたくてこの職業を選んだのに、逆のことばっかりで・・・という台詞。
おごってはいけない。神ではない
面白かった。
直後、中絶について真剣に考える機会をもった。
この本が影響したかはわからないけど、自分ではそういう選択はできない、と改めて強く思う。
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なけることを期待してこの本を読み始めた。
結果、女性としての生き方を考えるきっかけになれたが泣けはしなかった。感動も違う。
ただ、中絶がそんなに多いことにショックを受けた。もし自分だったら、と思ったとしてもその選択はしない。今の気持ちはそうだが半年、来年後は分からない。
結婚や出産をするときはこの本を思い出したいと思う。
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★★★★★圧倒的号泣作品。妊娠36週での中絶に血の気が引く。出産ではないか。あまりにも衝撃的な始まりにこのまま読み進めらないと思いながらもなんとかページをめくる。助産師とは命が産まれる瞬間に関わることのできる素晴らしい仕事だと思い込んでいた。中絶がそんなに多いなんて。赤ちゃんを助けてと弥生と一緒に願った。土壇場で中絶をキャンセルする強烈な母性を感じた。雪絵も無事に出産でき、弥生の赤ちゃんも無事に成長した。天使の代理人の活動も続いている。私にとって最高のラスト!中絶によって奪われる命が一つでも減りますように。
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中絶の現場の想像を超える現実に圧倒されてしまった。
中絶の経験がなくとも、女性である以上生々しい痛みを感じずにはいられない。
中絶する権利
それはもちろん必要
胎児が人間なのか
法律と倫理観の狭間でのグレーゾーン
ここに焦点があてられている。
おそらく海外ではそのグレーゾーンを宗教が担っているのではないか。権利を振りかざしてしまうとそうしても声の大きなところにその権利が集中してしまうように感じる。
だからといって
臨まれない出産をしたばかりにある現実もある
産む事が全てではない
だからこそ
考え続ける必要があるのではないか
女性にはもちろん、男性にも読んでもらいたい1冊。
そして皆誰かの子供だった事実を思い出してもらいたい。
「産む」選択をしてくれたことを感謝せずにはいられない。
2004年 幻冬舎
装幀:米谷テツヤ
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助産師として就職しながら、中絶手術も多数介助してきた桐山冬子は、ある妊娠中期以降の人工死産に立ち会い、出てきた胎児が一瞬目を開けたのを目の当たりにしてしまい、今までやってきた己の罪に耐え切れず、退職を決める。そしてこの現状を多くの人に知ってもらいたいと考え、「天使の代理人」というタイトルで自費出版をする。
主人公の桐山冬子、念願の妊娠の末、人違いによって堕胎させられてしまった佐藤有希恵、キャリアウーマンとして生きてきたが突如子供が欲しくなった川口弥生など、妊娠・出産に対してそれぞれ違う立場・考えを持った女性達がたくさん登場し、それぞれが絡み合うストーリー。今から10年以上前に書かれた本だけあって、今ほど個人情報に関して厳しくないからこそできたであろう“天使の代理人”活動。病院で中絶を思いとどまりそうな患者を見つけたら、家に押しかけて中絶を思いとどまってもらうように説得する…これは正直やりすぎだと私は思うし、本人たちの自己満足に過ぎないのではないかという考えが否めない。気持ちはわからないでもないけれど、生まれない方が幸せな現状もあるだろう。いろんな立場の女性が出てくるけれど、100%賛同できる人間は出てこなかったかなぁ。自分の考えとしては、残念ながら?マーヤに1番近いのかもしれない。