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綿矢りさと金原ひとみが受賞した時の芥川賞の、候補作のひとつ。
ゆるく気だるくでも繊細で優しいひとたちが作るなんてことない日常の一コマを、丁寧に描いたすてきな作品だと思う。
「なんてことない日常」を描いた作品を、退屈だと言う人もいる。たしかにそういった作品は、ドラマティックでない、センセーショナルでない、目新しいことがない、あえて読む必要がないものだと、人々の目に映るかもしれない。(吉田修一の『パークライフ』が芥川賞を受賞したときにも、石原慎太郎がそのようなコメントを寄せていたように思う)
けれど、日常の些細で瑣末で見落としがちなできごとを丁寧に両手で掬って、それをきらきらとした大切なものであるように見せてくれる、その細やかさが好きだ。
私の生活の中にもそんなふうに隠れたきらきたしたものが潜んでいるような気がしてくるし、それを探すのはひどく幸せな気持ちになるから。
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表題の「ぐるぐるまわるすべり台」も面白いのだけれど、二編目に収録されている「月に吠える」が、とてもかっこいい。
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今回も本当に面白いかな。どこか不安になりながら頁を捲った。
最初の数ページは気に入った台詞に付箋なんてつけながら。
なのに、気がついたらその世界にのめり込んでいた。
「僕」の心境が痛いくらいに伝わってきて、最後の件では泣きそうになった。
「やられた!」と思った。
中村航さんの本を読むと、いつもそう思う。
最後に、やられる。
タイトルの「ぐるぐるまわるすべり台」の意味の深さが凄い。
メルマガでは「リレキショ」で姉さんと出会わなかった僕のもう一つの姿、と言っていたけれど、そんな感じでした。
居場所とか始めることとか、今の自分とか、目指したい先とか。
そんなことをいろいろと考えました。
自分のやりたいことが果たして相手に受け入れられるか分からない。相手は音楽だったり数学だったりいろいろ様々。人とは限らない。
両思いになれるまで、頑張って何度も始めていく。
すべり台でぐるぐるとまわりながら。
ビートルズの「ヘルター・スケルター」を聞いてみたくなりました。
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読みやすい文章で、重くない。バンドをつくるお話かなあ。音楽に携わる人は分かる!と言いそうな感じ。ヨシモクの髪を切る場面がすごく好きです。
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ふーんって感じ。『ヘルタースケルター』が聞きたくなる。ちなみに芥川賞候補。
批判することがない。それはいいことか悪いことか、と考えると正しくは「批判に値しない」と述べるべきで、たぶん悪い。
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『リレキショ』を文藝で読んで、個性的な世界を作り上げる作家さんだなぁと思い、好感を持ちました。この作品は、三部作完結編なんだそうです。塾のこととか、工場のこととか、この人絶対に理系出身だよと思わせるようなディテールがなんとも新鮮。今まで閉じられいた扉がぱぁっと開いていく感じが清々しく、心地よいです。[2005.06.06]
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大学を辞めて、
それを隠して塾の講師を続ける小林。
何かをするため、
でも、その何かが見いだせないまま、何かをはじめる。
青年のもやもやした実物大の物語
結局、小林くんは何がしたかったのか、
何ができたのか、
これから何をするのか、
さっぱり道が開けないまま終わってしまった感があります。
でも、小林君が何かをしようとしたことにより、
本人は何もできなかったけど
周りの人が何かできることになったんですよね。
てことは、彼の思いがくるくる回って
結果、ほかの人に託されたってことなのかしら?
そして自分は再びすべり台に登って滑り出す。
うーん、がんばれ、小林君!
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一気読みした。
こうきて、そうきたかッ、という終わり方。バンドもの、と言っていいのかな?
後味すっきりさわやかな青春小説。
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2割引で購入。
社割って最高。
大学を退学した小林。
塾講師をする傍ら、彼は携帯電話で教え子のヨシモクを騙ってバンドのメンバーを募集した。
指1本で始まった、彼の物語。
1冊の中に、たくさんの人の物語が詰まっている。
もちろん読む人によっては駄作に見えるかもしれないけれど、1つ1つがとても心に染み入ってくるのは何故だろう。
僕が体験したことではないのに。
小林の、他人の物語を引き出す能力と良く理解する能力が登場人物そのものの魅力を引き出している。
小林が始めるはずだった物語は途中で方向転換してしまうのだが、感動するような夕陽の中、ヨシモクの髪を切りながら自分の物かもしれなかった物語を語るシーンは、切なさと爽やかさが相まって胸の奥が熱くなった。
この部分の絵が頭の中にくっきり浮かんだのだが、ものすごく綺麗なのだ。
自分は1周周ったのだ、と思った彼の中に、これからの彼の物語の原点が見える気がする。
ビートルズの『ヘルター・スケルター』を聴いたことあったら、もっと楽しめたかもしれないな。
やはりこの人の文は柔らかく、けれど勢いやユーモアがあって最後まで飽きさせることがない。
まだ若いし、これからがとても楽しみな作家だ。
この本は、「自分には何が出来るか」「自分がやりたいことは何だろう」と悩んでいる人にお薦めしたい。
同時収録の『月に吠える』は、『ぐるぐる〜」の中であまり語られなかったてつろーとチバの物語。
こっちも、二人の色が良く出ていて気持ちのいい作品。
誰もが、自分のなかに物語を持っている。
僕にだって。
まだ22年間の物語、中身は薄いかもしれないけれど、これからどのようにでもページは増やせるはずだ。
今の時点で「自己紹介してください」と言われたら、何を語ろう。
「……そうですね、僕は自分のことを、目立ちたがりの臆病者だと思うんですよ……
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中村さんの「始まりの三部作」完結編。大学を辞めて狛犬というバンドを組む塾講師「僕」の行方――。
第26回野間文芸新人賞受賞作。
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主人公は、ある事情から大学を退学し、塾講師として働きながらバンドのメンバーを探しているボーカル。そこに、太めでちくわの好きなベース、派遣社員でも非常に優秀なギタリスト、QC活動をとおして出会うドラマー、数学に悩まされるボーカルがインターネット上の掲示板で知り合い、「狛犬」というバンドを組みます。バンドでの話だけでなく、塾講師として生徒との関わり方などが描かれています。
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これは中村航好きの俺としてはたまらなく良かった!!この雰囲気が作れるのは中村航だよね。最高だった。2006.11.07
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『リレキショ』『夏休み』に続く「始まりの」3部作、完結篇。芥川賞の候補にもなったらしい。ビートルズの「ヘルター・スケルター」、わたしも聴いてみたいな。
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2007.2.19ビイトルズはすきではなく不登校のこどもが突然こんなことをゆうはずもなくつまんない、ありえない、とかおもいつつ透明感のあるキャラクターに惹かれつつ。文系の人間は理系のタームに弱いのでそれにありえない小説がすきなくせにねぇ
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中村航は最高です!
初めて読んだのは『ぐるぐるまわるすべり台』でした。
金原ひとみと綿矢りさが芥川賞をとったときに、この『ぐるぐる〜』が審査員の評価がかなりよかったんですよ。
それから気になって、発売されたら速攻で買って、読んで、はまりました。
『ぐるぐる〜』はビートルズの『ヘルタースケルター』を演奏するためにメンバーを集めるって話です!
『ヘルタースケルター』を知ってる人、バンドをやってる人、やってた人が読んだら楽しいよ!