紙の本
三つの話しが、一つになるとき
2005/10/04 20:36
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、フレンチ・ミステリです。
というと、軽いものかと思われがち
ですが、全然違います。
女性を監禁して売春を強要させ、
それを、覗く、外科医、
強盗後、ドジを踏んで逃亡、潜伏中の男、
そして、監禁する”蜘蛛”。
この三つのプロットが、ひとつに合わさるときに、
仕掛けは、本格ものには、ありがちですが
終盤は、ものすごい展開が待っています。
衝撃があります。
解説の冒頭にも
本書は、なんの予備知識も無く本書を読んで欲しいと、
書かれていますが、
正にそんな感じです。
短く、中篇ぐらいの感覚で、あっという間に読めますが、
衝撃は、すごいです。
本書の存在のこともまったく知らず
宝島社の「このミス」のランキングで教えてもらったのですが
小粒で、ぴりりと利くって感じですね。
時間の無い方には、お勧めです。
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厳密にはゲイ小説とは違うのですが、染色体的には男同士なので。
すごく面白かった! 何回も読みました。登場人物のうち誰一人にも共感も愛着も感じなかったけど、ストーリーが面白いのだから、いいや。
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新聞にレヴューが書いてあったので興味を引かれ読みました。
3つの別々の話が同時進行で書かれていて全然先が読めませんでした。繋がったと分かったときの爽快感は気持ちよかった。
3つの話の中でも柱(だと思う)のお話が監禁もので淫靡的なイメージが全体的に漂っていますがそんなにいやらしくはない感じ。
薄い本でとても読み口が柔らかいので大変読みやすいです。
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出てくる人間が多くない分、独特なフランス語訳文体の言いまわしでも軽く一読できる小説です。
一貫したエロスと残虐性と変態性は凄いです。
始まりはまるでO嬢です。でもそちら系小説ではありません。
主人公の満足感たっぷりに世俗的な人間が自分を救うために罠にはまってしまいます。自業自得なんですが。
知性の高い主人公、「倒錯的復讐」に走った原因は中盤以降にわかります。
そして、囚われに甘んじているエブがなぜその様になってしまったのかも。時折、彼女(?)が皮肉のように主人公に嫌がらせをするかも。
あとがきにもある「人間心理の奥に潜む暗い闇を描き出そうとするロマン・ノワール的感性と、フランス・ミステリが得意とするサスペンス小説の融合」
この一文に凝縮。
ブラッド・アンダーソン(マシニスト)
ジョン・シンプソン(フリーズ・フレイム)の薄青暗い映像美
古臭い映像だけどライティングと展開が素晴らしい
ジャン=バティスト・アンドレア(-less)
フェデリコ・フェリーニ(Spirits of the Dead)
辺りの方々に映像化してほしかったと思います。
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映画を見る前に読みたかった。
映画も衝撃的だったし、
多少内容、設定が違うので
新鮮に読めるが、
一番の真実が明らかになる所は
絶対に映画の前に読むべきだった。
エロ、グロと表現されるが
あまり気にならないほど
内容がいい。
私は本のラストの方が好き。
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『私が、生きる肌』のレビューをどこかで見て、面白そうだったので図書館で借りてきました(翻訳は平岡敦さんだし!)。改題前の版です。薄い本ですが、なかなか読みごたえあり。確かに前半は、話があっちに行ったりこっちに行ったり、これがどう繋がるの?と翻弄されまくりでしたが、第3部に入った途端に、あ~っそういうこと、とラストへ向けて直滑降。確かに「息づまるようなサスペンス」なのですが、好きか嫌いか、と問われたら……あんまり好きな部類じゃないなぁ。ということで星3つです。すみません。
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外科医のリシャールは、愛人を眺める。他の男に鞭うたれ、激しく犯される姿を。日々リシャールは変態的な行為を愛人に強要し…無骨な銀行強盗は、警官を殺害してしまった。たりない脳味噌を稼働させる中、テレビ番組を観て完全なる逃亡手段を思いつくが…微笑みながら“蜘蛛”は、“獲物”を暗闇に閉じ込めた。自らの排泄物、飢え、恐怖にまみれた“獲物”を“蜘蛛”は切り刻んでゆく…三つの謎が絡む淫靡なミステリ
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最初はちょっとエログロはヤダな、と思いつつ・・・・
3つの話が並行に進み、だんだん収斂していく。
こういうタイプの話、最近はさほど珍しくなく、国産ミステリでも、貫井とか歌野とかだともっと華麗にかつ凝って、って展開していくのがいくつもあると思いますが。
すごいのはこの薄さ。早川文庫の大きめ活字で150ページ強ですよ。スマートですねえ。
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ティエリー・ジョンケ(Thierry Jonquet)の邦訳第一作(1984)。平岡敦訳。原題 Mygale 。2011年に『私が、生きる肌』というタイトルでスペインで映画化されている。その際ハヤカワ・ミステリ文庫で『私が、生きる肌』と改題。
外科医のリシャールと愛人エヴの奇妙な背徳的生活、銀行強盗で警官を殺害して逃亡するアレックスの話、そして得体のしれない“蜘蛛の話の三つのエピソードが区交互に表れ、やがて一つの物語に収斂していく……。
後のピエール・ルメートル(Pierre Lemaitre)の作品にも似た構成だ。