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ガーネット傑作集 2 アスペクツ・オブ・ラブ みんなのレビュー
- デイヴィッド・ガーネット (著), 新庄 哲夫 (訳)
- 税込価格:2,200円(20pt)
- 出版社:河出書房新社
- 発行年月:2004.6
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紙の本
揺れ動く感情の交差
2023/04/29 08:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Chappie - この投稿者のレビュー一覧を見る
アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲の同名ミュージカルを見て、こちらの原作を読みました。よく「シャンパンに浸したペンで書かれたような」という謳い文句を見かけるこの作品ですが、絡み合う人間関係とその変遷に伴って揺れ動く人間的な感情の交差を、全編通じて感じられます。
紙の本
男の人は10代で2倍の年齢の女性の手ほどきを受け、30歳過ぎたら2分の1の女の子と付き合うのが良い——そのような悦楽主義者たちの性愛。ロングラン・ミュージカル原作。
2004/07/30 11:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
余計な言い訳だが、私はいかにもな「ショー・ビジネス」が苦手で、この本を読んだきっかけも「エビータ」「キャッツ」「オペラ座の怪人」のプロデューサーがミュージカル化し、日本でも劇団四季が商業的成功を収めているから…ということではない。『狐になった人妻/動物園に入った男』という、奇想を元に生まれたガーネットの小説世界がユニークだったから、選集をつづけて読んでみようかという気になっており、その流れで紹介していこうと思っている(はっきり書いてしまうと、劇団四季的なものは嫌いなんだな。ミュージカル一般と置き換えてもいいけれど)。
小説では主要登場人物は4人で、物語が始まるときはまだ「坊や」と呼ばれるような青年、財産も地位も教養もある紳士、そして人生酸いも甘いも噛み分けた熟女が2人である。あとになって「準」クラスの登場人物が増える。
これがミュージカルの方では、主要登場人物5人として構成されているようで、舞台栄えするようにどのような脚色がされているかは興味深い。
奇想を展開した「狐になった人妻」も「動物園に入った男」も、ある意味「愛」の物語であった。特に前者は優美さや女らしさを失っていく妻に対する悲しみを描いた末、胸を搗かれるような結末が用意されており、「切なさ」を基調とする愛の孤独に迫っていた。
それがこの『アスペクツ・オブ・ラブ』では、読んで字の如く、同じ愛の物語ではあるのだが、「切なさ」という色はかなり薄くなっている。愛というものには、切なさのほかに姦計や移り気、多情に思い違い、包容といったさまざまな位相があるということが題名の意図するところだろうと思われる。
「坊や」と呼ばれたアレクシスが、当面の生活に困っている女優ローズの世話を買って出る。憧れの女優とファンという関係なのである。年齢の関係で言えば「逆・援助交際」ということになってしまうが、だがしかし、青年は百戦錬磨の女性から恋の手ほどきを受ける。のめり込むと破滅するのではないかというところで、年上の女性はアレクシスの元を去っていく。これが「パート1」と見出しのついた部分。
パート2では、兵役を終えて戻ったアレクシスの前に、そのローズが意外な形で姿を現す。予想外の人物と同棲をしていたのだ。やがて彼女は結婚して裕福になり、円満な家庭生活を送りながらも愛人とも関係する。奔放な暮らしぶりは、さらに別の道徳も犯す形で発展していく。
という調子で物語はパート5までつづき、ローズとパートナーの悦楽主義に影響を受けたアレクシスもまた、それなりの中年になっていくという感じで運んでいく。
メッセージ性がなく、グロテスクでリアルな性描写もなく、過剰な文学的試みもない。かといって「軽い」かというと、それは適当な表現でなく、滋味はある。小説のあり方のひとつの見本であるとともに、確かに性や愛というものも、このようにあれればそれに越したことはないと思えてくる。
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