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まえがきに、「チェーンストアのシステムを店舗と商品の面から現場向きに説明することが目的である。」とあります。
品物の選び方、品揃えをどうするかが、本書のねらいです。店でどう並べるかは、「店舗レイアウト」という書があります。
300頁程度ですが、内容は結構濃く、読み進めるの時間がかかりましたが、理詰めでおもしろかったです。
気になったのは、以下です。
・商品政策は、年齢、性別、人種、職業の別なく、①広い客層をターゲットとする、②共通のライフスタイルであるカジュアルな目的に合わせた商品のみを開発する、③ベーシックな品種だが、色彩とスタイルは、ファッション、④無理なく買える価格、⑤だれにでもフィットする豊富なサイズぞろえ
・カジュアルウェア:大多数の人が共通して頻繁に必要とする衣類のこと。日本語でいうと、ふだん着、だけをうっている。
・GMSのシアーズが売っているTシャツは、5年以上もおなじスタイルのクラシックが主力であるが、GAPのものは、ファッションの変化に応じて色も形も激しく変化する
・高額品が売れれば確かに利幅は大きい。しかし客数はぐんと減る。所得の高い人もできれば安いものを買いたいと考える
・ポピュラーとは、人気があるという意味。①大多数の人が、②気軽に支払えて、③したがって人気がある。
・日本の場合は、「良いものは高い」「安いものは悪い」という。ものを作る側の理屈が横行していて「安くて良い品」を探すのは、至難のわざである。なので、アメリカでは楽しい買い物が、日本では、苦痛でしかなくなっている。
・お客にとって商品を選びやすく、買いやすくする努力とは、①品種ごとの価格の上限と下限を狭くすること、②売価の種類の数を少なくすること、③どれもほしがる売れ筋は大量に陳列する。そうすることで短時間での品選びが可能となる。
・商品は安くなければならないという絶対的な条件を念頭に、あるべき品質を考える。あるべき品質とは使う立場に立って確立しなければならない。
・チェーンストアが扱う、使う立場にたった良い品質の条件とは、①手軽に便利に使い続けることができる、②本来の目的を完全に達成すること、③使うものがそろっていて便利なこと、④手入れが簡単なこと、⑤買うこと、使うことが楽しくて気持ちのいいこと
・アメリカのチェーンの場合、日本と比較にならないほど、衣服のサイズがそろっている
・売れ筋に限るという意味で少なくていいのは、①品目、②スタイル数、③色数、④プライスライン、多くていいのは、①サイズ、②売れ筋の商品陳列量、③プライベートブランドなどの売れ筋品目数、④コーディネート品種数
・同時に使うものは、機能だけでなく、材質、スタイル、色、柄がコーディネートされている。1つのバスルームで同時に使うはずのすべての品種がコーディネートして1つの売場にならんでいる。
・コーディネートした商品群は、売場でお客の目に即座にとらえる。美しく見え、目立つからである。そして、そのすばらしさに感動して自分も使ってみたいと考える。
・チェーンストアの商品として「だれもが一目でわかる」、「どんな人でも理解できる」ことが、最も大切な課題である。
・ワード社の商品のレベルの統一の方法は、強力な商品部門のみをのこして、そうでない部門はすべて廃止し、残した部門については、商品のレベル統一ができる品ぞろえにした。
・他社と競争して勝てる商品群のみの組み合わせで店つくりをすることを、「ライン・ロビング」という
・TPOS(Time,Place,Occasion,Life Style)とは、時、所、同期、ライフスタイル毎に分類をすること。例 ふだん着、キッチン用品、バスルーム用品、ベッドルーム用品等
・品揃えとして、売価と機能の違いが明確で売る側でもその用途について納得のいく自信のある商品を一品目だけ大量に陳列すべきである。売れ筋を追求すれば結果はそうなるはずだ。
・どんなに便利な商品でもお客の目につき、手に取ってもらわなければ、購買には結びつかない。店側としては、せっかく来店したお客に満遍なく店内を歩いてもらい、便利な品々の陳列を知ってもらって購入して帰ってほしい。そのためには、主通路、売場構成、磁石売場、ゴンドラ商品の変更などのテクニックを駆使して売場に入ってくれるようにしむける。このことを、ワンウェイ・コントロール理論という。
・どの条件を優先させれば、ついで買いを誘うことができるのか。①あれば「便利」商品、②便利な売場の2つが必要である。
・売場をまんべんなく隅から隅まで歩きまわるお客などいるはずがない。どんなお客も、見慣れた売場で、今必要なものだけを買って、さっさと出ていくのである。
・新しい売場に変更した場合は、慣れないお客が商品を探しまわることである、「以前はここに合った商品は、どこにいったのか」と。
・どうすればいいのか、①従来の分類と、新しい分類の2か所に商品をおく、②従来の分類から商品と取り除き、代わりにPOP広告だけを残す
・売場面積の適正規模をどう考えるか。①品揃えを1品種ごとに、1品目ごとに検討して、部門がはいきらなければ、部門ごと、切り捨てる。②部門ごとにプライスラインの高い商品から削除する
・買いやすい売場づくりの原則とは、①お客が目的買いに来る売場、主通路沿い、店の四隅に割り当てる、②クリアランス(残品処分)はもっともめだたないところにおく、③関連する商品は、隣合わせにするか、通路を隔てて向かい合わせにする、④売場の見通しがいいこと、⑤売場の死角をつくらないこと。
・売場にある商品を少しづつ並べてはならない。お客の目を奪うことが不可能だからだ。
・忘れてはならないのは、売場の主役は商品。商品の値段が割安かどうかは、お客が決めること。だから、商品の値段がわかるようにはっきりと表示すること、特売なら特売用のカードに値段を記載して表示する
・お客に商品の値打ちを知らせるには、その商品がお客にとってよく見える状態でなければならない。よく見え、触って評価してもらえるように表示する。難しいなら、サンプルを表示する。箱にはいったままではお客は自分からは決して取り出そうとはしないので結果売れることもない。
・売場に置かれた広告をPOPという。よいPOPとは、①お客が知りたいことをあらかじめ知らせること、②客を商品にひきつけること、③お客の商品への特別な関心や興味を喚起すること
・セールとクリアランスの違い
セール:特売に相当、その時期のみ、お試しで特別価格で販売する。時期が終われば元の価格に戻すもの。20~30%ぐらいの値引き
クリアランス:残品処分のこと、アメリカでは商品は買い取りなので、返品がきかず、期末を待たずに是が非でも売り切ってしまう。なので50~70%引きになる。
・シーゾナル・アイテムとは、バレンタインや正月のような、季節商品か、コレクション特売といって、その地域の需要を半年分短い期間で売りつくすもの、計画的にベンダーと協力して対応する。周辺の店は半年分の需要をコレクション特売にとられてしまう
目次は、次の通りです。
シリーズ刊行のねらい
推薦のことば
本書の前書き
1 マス・マーチャンダイジングの条件
1 チェーンストアの商品政策
2 価格帯の考え方
3 良い品質の意味
4 豊富な品揃えの解釈
5 トータル・コーディネーションの基本条件
6 レベルの統一へ
2 新しい売場分類の考え方
1 TPOS分類とは
2 ホーム関連部門のTPOS分類事例
A インティメート・アパレル
B ふだん着
C 掃除用具
D キッチン要員
E テーブルウェア
F 収納用品
G ホーム・オフィス
H バスルーム用品
I ウィンドー・ファッション
J ベッドルーム用品
K 家具
3 新しい売場分類変更の進め方
3 売場づくりの実際
1 買いやすい売場づくりの原則
2 商品プレゼンテーションの基本
3 磁石売場づくりのコツ
4 効果的なPOP広告アピール
5 プレゼンテーションの定期的変更
6 セールとクリアランスの使い分け
7 シーゾナル売場とその使い分け
用語索引