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幻想文学というのはこうでなくっちゃ。というほど語られる世界観が素晴らしく悪に満ちていて美しい。独自の神を崇めるさびれた鉱山の村、ピアノを弾く猿のいる厳しい流刑の島、神の奇跡を起こす独裁者の治める都市、と次々に舞台を変えつつも、常に痛みと虚無感とを湛え、タイムパラドックスや楽園願望やメタのエッセンスも織り交ぜた贅沢さ。細部に至るまでがっちりと構築され、ページの間にどっぷりと遊べる濃密な時間。流麗な訳文、装丁も含めて大ヒット。何よりあと2冊続刊という「物語の途中」をまだまだ楽しめるのが嬉しい。心の本棚の、特別な場所に置くことが決まった本。
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金原瑞人らが訳してそれを山尾悠子が書き直したという一冊。山尾悠子という名前にひかれて。内容は大人のおとぎ話といった感じ。舞台は欧州を元にしたようで、ある観相学官の不思議な旅が書かれている。なぜか世界観がいまいちつかみにくい感じがした。三部作の一つ目のため、今後どうなるか、という意味では楽しみ。
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「シャルビューク夫人の肖像」もそうだったけど身悶えしちゃうようなこのゾワゾワ感がこの人の特徴なんだなと読み進むうちにそのゾワゾワ感がいつの間にか消えて、切なく美しすぎるラストに感動。読むべし。
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世界幻想小説大賞受賞作。
世界観がモロ好みでした。訳者の山尾悠子の格調高い文章がかなり幻想的な雰囲気を盛り上げてくれる。
観相学が法律の全てという世界観。その他にも、理想形態都市、独裁者、美薬、青い鉱石、楽園ウイナウ、旅人、サイレンシオ、双子の番人、人狼…。世界観を色成す設定がセンスに溢れている!訳者のあとがきにも書かれていたが、ストーリーは女性に対する罪と贖罪への暗喩ともとれないこともない。独裁者ビロウと倒して終わりというところが普通すぎたのが少し気になるといえば気になったぐらいか。
3部作のウチの1作目。まだまだこの世界に浸れるのが楽しみだ。
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お、終わったーーーー!
幻想小説と呼ぶにふさわしい一冊。でも、小難しいところは全く無い。読み応えのある物語。
特に、山尾悠子さんの書く文体は硬質で、高慢で冷酷な主人公の性格によくマッチしているなーと思った。
でも、慣れない雪道でずっこけたり、お間抜けな一面もあるんだよね。
三部作だそうで、残りの2作も読んでみたいな。
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『白い果実』は、風吹き荒ぶ曇天の日からはじまる。
ウエルビルトンシティ 理想形態都市とは一体何なのか。
そこは、独裁者ビロウの支配する極めて異常な都市で、ビロウの部下でありこの本の主人公であるクレイは、優秀な観相学者なのだ。
ビロウの元で辣腕をふるうクレイもまた極悪非道な男で、異世界にしか存在して欲しくないような性格をしている。
彼の任務は、盗まれた白い果実を取り戻し犯人を見つけ出すことだったが、物語はどんどん違う方向に展開を見せ、ジェフリー・フォードの作り出す想像の世界に引きずり込まれてゆく。
『シャルビューク夫人の肖像』 とは、違うジャンルの小説で、SFの部類に入るのだろうが、本書は実は、三部作で、その一作目が『白い果実』だそうで、完全完結というような気がしないのはそのためなのかもしれない。
本書は、世界幻想文学大賞を授賞。
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わけはわからない。だが、イマジネーションと、想像される色とガジェットの洪水が凄まじく、そして思いの外読みやすくもある。ファンタジー嫌いには厳しいかもしれないが、文字で絵画を描いているような秀作。
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なかなかに想像力をかきたてられる物語でした。
3部作の第一作ということで、続きも読んでみようと思います。
「白い果実」が始めは単に不死の果実だと思って読んでいましたが、そんなに単純ではないのですね。
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12/18 読了。
想像よりずっとずっとエンターテイメントしてる小説だった!楽しい!大人の読むファンタジーだ。
ジェットコースターみたいに展開が早いけどエンタメ一辺倒にならないのは、やはり金原瑞人氏の慧眼によって、訳文を山尾悠子自身の手で山尾文体に書き直すという采配がなされたおかげだと思う。
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これ、読みづらい小説だ~と最初は思ったけど、意外とさくさく読めて、冒険小説であるな、これは、と。そして、魅力的なキャラクターが多過ぎて是非とも映画化希望です。映像で見てみたい!
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大人のファンタジー。主役は普通かっこいいものだけれども、全然かっこよくなく嫌な奴だったが、話に引き込まれてしまった。
とても幻想的で、霧の中の世界を見ているような不思議な感覚を味わった。
天から地へ、地から這い上がり、主人公が一人の権力者ビロウによって人生を翻弄される。彼を中心ではなく、物語の上に主人公が載っている感じ。しかも物語の波から落っこちそうな。物語自体がビロウ自身なのかもしれない。
猿人間、狼人間、彼の人、青い炭坑?の人たち、硝子の中の世界
各種族がそれぞれの文化や宗教観、世界観が別々でそのおのおのの世界を楽しめた。
備忘録:
顔でその人の生りを判断する仕事。ある種、むちゃくちゃな職業。そんな彼が失敗をしでかし、不思議な力がある果実を探して、青い炭坑の街へ行く。そこで一目惚れをし、、、、
彼の人と愛しい人を助けるために戦う、、、、
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冒険活劇、幻想的な世界観、次々登場する空想上の生物たち、空想上の機械たち、空想上の都市、国家、世界。
そんな、作り上げられた世界に「入り込む」ことがSFやファンタジーの醍醐味だとするならば、本書はその醍醐味を存分に味あわせてくれます。読めば読むほど頭から飲み込まれてしまいます。それくらいの傑作ファンタジー。
ただ、傑作は傑作でもオーソドックスさはどこにもありません。とにかく独特。
しかし、読めばわかりますが、見たことない世界なのにスッと景色が見えてきます。カラフルでグロテスクで陰鬱で息苦しい世界が良く見えてきます。否応なしにそんな世界に引きずり込まれてしまいます。
派手なストーリーではありませんが、世界観、登場人物、浮き彫りに描かれる欲望や罪の意識などすべてが魅力的な小説です。今までにない世界にどっぷりつかりたい方は是非どうぞ。
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幻想の中では、醜悪や恐怖もまた美である。
しかしこの本の美しさは、山尾悠子氏の文体によるところも大きいのだろう。
楽園の禁断の果実を巡る物語。
そして一つの帝国の崩壊。
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世界幻想文学大賞に恥じぬ読み応えのある一冊。3回読んでも新たに楽しい、が。3部作・・・続きを買おうにも近くの書店になく、アマゾン待ち中。ただの印象だけれど、ロバート・アーウィンのアラビアン・ナイトメアにちょっと感じが似ている。
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この語り手はほんっとうにいいとこなしで、中盤を経てもまだ傲慢。
それなのに読ませるのは奇想オンパレード(顔ビーム女!)と、
やっぱり文章だ。
「ミネハハ」方式に初めは眉をひそめていたが、山尾悠子は偉大。そして金原氏も偉大。