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ヒーローでなくインテリでもないごく普通の学生が、回天に向かっていく。戦争は、やはりいやだ。作者の怒りが伝わる。
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肘を壊した天才大学生投手、並木。
野球を愛する青年が戦争後期という時代にのまれ、海軍に入隊し、人間魚雷「回天」の特攻隊員として散っていく。
個人の生き方、生への思い、死への覚悟。
それら全てが、戦争というよりも上官の誰か、日本を動かしていた誰か、によって強制的に与えられてしまう時代。
主人公らを思うと悲しみと悔しさに胸がつかえます。
少し前に、永遠の0という小説を読みました。
零戦に乗り、自分の目で敵を見据えて、自分の手で敵を討ち、そうやってなんとか生きて帰りたいと願った熟練戦闘員の物語です。
予備学生の悲しさはその小説で初めて知りましたが、出口のない海 はまさにその予備学生の物語でした。
兵力不足のため集められ、充分な訓練期間も与えられず、敵を討つため死ななければならない特攻兵器にのりこむ学徒たち。
うまくいって敵を討つことができても、それを確認することなく死が待っている。敵の姿さえ見えないまま生を終える自分との戦い。
特攻隊員としてのみ戦争を行きた青年の生きる意味と死ぬ意味。
日本人として知っておきたい戦争を教えてくれる小説です。
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2006年に市川海老蔵主演で映画化もされました。
学徒出陣で回天搭乗員となった元甲子園優勝投手の姿を描いています。警察モノ・犯罪モノのミステリー作品が多い横山秀夫には珍しい(?)戦争モノで。時期柄・・・と言う訳ではないですが、図書館で空いていたので借りて読んでみました。
物語上、戦闘シーンは殆ど無く、市川海老蔵演じる主人公並木の仲間と家族、恋人(?)の模様が物語が構成されています。それが、一層、この物語を奥深いものに仕上げているのは間違いないですね。
この手の主題の作品は数多いですが、中々良い作品です。結末が、あのような形であるのも、この作品の深みを増していると言っていいと思います。
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人間魚雷「回天」は、ゼロ戦と同様に太平洋戦争末期の象徴のような存在。
とにかく「死ぬ」しか選択肢がなく、死ぬ意味、理由を探していた主人公の心の葛藤は、逃げることなく正面から向き合っていた葛藤でもありました。
「回天」の命中率は、一説によると5%程度。
文中にもあるように、故障や不発も頻発したお粗末きわまりないものということも再認識できました。
その現実を受け入れ、さらに死にいく若者の姿は、60年以上過ぎたこととは、あまり思えませんでした。
本書は、横山秀夫氏がミステリー作家としてブレイクする以前の作品だそうですが、野球好きな私としては、もう少し野球と主人公の関わり合い、仲間との描写、設定、細かくあってもよかったかなあ。
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戦争という「死ぬことが名誉」な状況のもと、夢を追い求め、人を想い続けた男の物語。
男の優しさ、苦悩を描くのが上手い。
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回転という人間魚雷兵器はかすかに記憶にあるが、すっかり忘れてしまった。横山秀夫の作品だからミステリーじみた物語かなと思いきや、意外とシリアスな展開に驚き?終戦67年も経ち、もはやあの悲惨な太平洋戦争を語る人も少なくなった。今我々が平和な生活を謳歌できるのは大正時代に生まれた人達の御蔭ではないか?
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戦争、回天という人間魚雷があったという事を知れて良かった。読書と前後して回天記念館の存在を知った。山口を旅する事があったら立ち寄ってみたいと思う。
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大学進学後に肩を故障し、自慢の速球が投げられなくなった甲子園の優勝投手・並木は、「魔球」と名付けた新しい変化球の完成に復活をかける。しかし、その決意の日、日本は真珠湾を攻撃。太平洋戦争が勃発する。
時が経ち戦局が悪化する中、並木が志願した海軍は魚雷を改造した脱出装置のない特攻兵器“回天”を開発。
多くの若者たちが“回天”に乗り込み、南溟の、生きて帰ることの許されない“出口のない海”へと漕ぎ出してゆく。
恋した少女、大切な家族。
彼女たちが、生きて終戦の日を、その後に訪れる、平和な時代を迎えることを信じて――。
仲間たちと共に夢に向かってまい進する。好きになった人と、一緒に過ごす。
そんな当たり前のことを諦めて、貧弱な武装でもって『死ね』と言われ、大切な人々を生かすために『死ぬ』と言う。
太平洋戦争末期、回天特別攻撃隊で出撃し、死に向かって突き進む若者たちの葛藤する姿、戦闘でなく、彼らの生きる姿をもって戦争の一面を描いた一作。
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特攻隊も悲惨だけど回天はそれ以上だ。これを考えた技術者は頭が悪いが精神異常者だ。どれだけの未来ある青年が無駄に死んでいったのだろう!魔球なんか投げてる場合じゃないと心から思った。こんな並木の様な青年がたくさんいたのだろう。
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特攻兵器の回天に関する物語。最後は搭乗するのだろうと思い読んでましたが、どういう風な心境で特攻するのだろうと考えながら読んでいたら・・・。
自分にはできないなぁ。
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人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される「特殊兵器」の搭乗員となった青年の物語。神風特攻隊の存在は聞いたことがありましたが、まさか海での戦いでも、このようなことが行われていたとは知りませんでした。死ぬために戦うということがどのようなことか、戦争を知らない私には想像することすらできませんが、この小説を読んで、戦争の残酷さや命の重みについて改めて考えることができました。特攻を美化する考えには賛同できませんが、国の為に己の夢を捨て、命をかけて戦ってくれた若者がいたことだけは忘れないようにしたいと思います。
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自らの命と引き換えに敵艦を沈める、そのために考案された特攻兵器「回天」
約束された死と向き合い出撃して行く搭乗員には、どれほどの覚悟が必要だったのか。
戦争が終わり、時が経ち、平和が当然となった世の中で暮らす自分には想像も絶する世界だった。
語り継がなければいけない、大切な日本の歴史なのだと思う。
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★★★★★図書館本。悔しくて悔しくて涙が止まらない。誰かが流した涙の乾いたシミが点々とあった。戦争で心を壊されることが恐ろしい。日本人には知ってもらいたい過去、読んでもらいたい本です。
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何度も熱い涙があふれた。
狂気としか思えない人間魚雷回天。だが、それに乗っていたのは、一人の野球を愛する大学生・・・。
いかにして「戦争」という時代が、どこにでもいるただの大学生を特攻に駆り立てて行ったかが良く分かる。
だが、そんな狂った時代の中でも、本当に最後の最後まで夢を諦めなかった並木は、やっぱり強かったんだと思う。
強くならざるを得なかった時代が悲しい。
今を無気力に生きるすべての人に読んで欲しい。
わたし的に久々の☆五つ本。
2016/11
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神風特攻隊のことは知っていたけど、回天のことは知らなかった。
戦争で心を失い、ただの野球好きの大学生たちが球児から軍人へと変わる。