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以後の山田風太郎作品に繋がっていく短編が盛りだくさん。特に、「黄色の下宿人」はそのまま明治物。実に楽しい。
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1995.3.17 1版 760
風邪をひけば股間でくしゃみをし、美女を見れば鼻がマスクを突き上げる……。鼻と陰茎の位置が逆転した男の世にも悲痛滑稽な物語『陰茎人』、人口抑止のため制欲帯着用と性交時間制限を立法化する『満員島』など、奇想天外、奔放無比の発想で隠微なタブーの本質をえぐる快作八編に、若き日の日本人文豪がホームズに挑む異色推理『黄色い下宿人』を加えて開示する、天馬空を行くイマジネーションの饗宴!
陰茎人・蠟人・満員島・自動射精機・ハカリン・万太郎の耳・紋次郎の職業・万人坑・黄色い下宿人
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「アースダイバー(中沢新一)」で「蝋人」が取り上げられていたので購入。
荒唐無稽なんだけれど地に足が着いている、
というものすごく面妖な物語を書くなぁ。
この妙な社会性の帯び方は小松左京を彷彿とさせる。
個人的には「黄色い下宿人」が一番面白かった。
シャーロックホームズを日本人が言い負かすという構図は、
日本人の劣等感と自尊心がよく描かれている。
外国文学をその物語の中で超克しようとする様が非常にねじれていて、
どうしてこう日本人は自分でルールを作らず相手の創ったルールの上で競おうとするのか、
という風にも思うけれど。
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約10年前、『ドグラマグラ』とともに、カリパクされ、買い直した作品。
久々の読み返しにも関わらず、その面白さは抜群。
若かりし頃、山田風太郎の忍法帖モノに手を出したが、頓挫したのも懐かしい思い出。
この作品は全九編からなる短編集。
前半なかばからの素広平太博士、三部作(各話には関連性なし)。「紋次郎の職業」の性的作品は個人的に大好物。
はたして、素広平太博士三部作中の「満員島」のように制慾帯を造らずとも、現実の政府は、子どもを育てるのに金が掛かるようにして、爆発的人口増加を防いだ。一方で、素広博士が危惧した高齢化は厳しい現実のモノとなった。
また、最後の「黄色い下宿人」はホームズ作品へのオマージュである。
このように、作品の振り幅の大きさ、着眼点、展開。どれも最高。
★★★★★評価、文句なし。
現在、入手が容易でないのは、残念なかぎり。