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人間の本性を考える 心は「空白の石版」か 上 みんなのレビュー

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みんなのレビュー16件

みんなの評価4.1

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紙の本

認知科学の豊かな成果

2010/03/04 17:04

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YOMUひと - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、認知心理学を中心にした認知科学の成果によって、心を「空白の石版」とする立場が、思想から芸術にいたる多様な分野において、どこまで間違った影響を与えているか裁断する。人間の心は生まれか?育ちか?(あるいは遺伝か?環境か?)といえば、「空白の石版」説は後者の立場をとる。

認知科学なるものが、日本では一般読者には余りよく知られていないので、その視角と主張は、かなり新鮮である。

例えば、カルチュラル・スタディーズ、批判理論、ポストモダニズム、脱構築主義などは、「現実とは、言語やステレオタイプやメディアのイメージを介して社会的に構築されたもの」と主張する。しかし、本書はそれらを相対主義と一括し、認知心理学者は、大部分の概念化は生得的なものと結論しているとする。

その上で、相対主義の「人間はステレオタイプや言葉やイメージをただ受け取るだけの容器だという見解は、一般人を見下す考えであり、文化的、学問的エリートを気取る人たちに不当に大きな重要性を与えている」と断ずる。

これに関連して、芸術や人文学の衰退の原因については、モダニズムやポストモダニズムという「20世紀のエリート芸術や批評についての支配的な理論」が「人間本性[心を遺伝とする説:評者注]に対する攻撃的な否定から生まれた」のであって、その帰結が「醜くて不可解で侮辱的なアート」や「仰々しくてわけの分からない学問」と明快である。

また教育においては、私たちには生得的な直感的理解が働く分野と働かない分野があり、定住生活以前の生活様式に適した分野では直感が働き、定住後の新知識分野では働きにくいということから、次のような助言をしている。

教育とは、子供たちの空白の石版に書き込む(詰め込み)のでもなく、子供たちに任せるのでもなく、人間の精神が生まれつき苦手とするものを補うことである。そして子供たちは、一定の方法で推論や学習をする仕掛けを備えているので、それを活用しない手はないというわけである。

暴力の起源については、「空白の石版」説のもう一つのバージョンである「高貴な野蛮人」説を支持する人たちは、原始人は平和主義者という考えに基づき、文化と環境が原因とするが、著者はそれらの諸説を一つずつ否定していく。いわくビタミン不足・細菌感染説、いわく親の影響、そして男らしさの文化の影響、メディアの影響、銃の影響、差別や貧しさの影響、である。

これに対し、著者は暴力が人間のデザインの一部であるとするともに、それを抑止するには、一方では、私達の共感力をベースにした道徳の及ぶ範囲、即ち仲間と意識できる人たちの輪を拡大すること、他方では暴力を独占した統治機構が機能することであると説く。もちろんそのチェックの必要性についても目配りは怠りない。

上記はほんの一部であるが、このような認知科学の成果をわが国の人文学にもっと真剣に採りいれる必要があるであろう。

しかし、著者は認知科学が万能だと言っているわけではない。「意識や意思決定が脳の神経ネットワークの電気化学的活動から生じると信じるだけの根拠を十分にもっている。しかし、いったいどうして運動する分子が主観的感情を発生させるのか、自由選択をもたらすのかは謎のままである。」と正直なのは好感がもてる。

概して、議論は実証的な根拠に基づき、論証は多面的、柔軟であって、3分冊という本書のボリュームにふさわしい豊かな内容を備えているといって過言ではないであろう。説明はおおむね平明で説得力に富む。

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