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我々はいかに「石」にかじりついてきたか 日本フリークライミング小史 みんなのレビュー
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紙の本
壁にしがみつく懲りない面々
2011/10/14 06:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Pokhara - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は日本のフリー・クライミング、ボルダリングの歴史を俯瞰しつつ、そこに関わった人々の人格まで深く学べてしまうところが面白い。
著者自身も70年代半ばの創世記とも言うべき時代から湘南鷹取山を登っているし、その後コズミック・デブリ登攀、アストロマン・オンサイト(一撃で登ること)など実績はお墨付き。さらに元クライミング・ジャーナル編集長というだけあって文章は語るように軽快で楽しい。一見面倒なことは嫌いそうなことを書きつつも、注釈をつけなくても良いはずの細部に至るまで注釈をつけて細々解説してくれるあたりにお人柄が見える。
まだフリー・クライミングとしての定義や、海外の情報などもない時代に、公園などの岩を自然発生的に登っていた時代から、アメリカのヨセミテへの憧憬が生まれた時代へ。そしてアメリカからヨーロッパへと舞台は移ろい、その中から平山ユージや小山田大といったスーパー・スターが生まれていく。
その歴史を俯瞰しつつ、著者の界隈に集まった壁にしがみつく懲りない面々の人格まで(かなりの笑いを伴って)理解できてしまう。その方たちというのが今のT-WALLなどクライミング・ジムの経営者だったり、目白にあるカラファテという登山用具店の方だったりするのも興味深い。この遊びに関わった人なら一度は接触しているであろう人がきっと出てくる。
こんな本は早々ないです。フリー・クライミング~ボルダリング好きなら本棚に必ずあって損はないはず。
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