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秀才だが要領の悪い文三と、ミーハーな従妹・お勢、要領はいいが軽薄な昇の三角関係を中心に、官僚腐敗を批判した、近代リアリズム小説。言文一致を成し遂げた未完小説でもある。
文三と昇、お勢とお政、四者が各々の果たすべき役割をきっちり守り、歯がゆい人間関係を寧ろ整然と見えるほどに演出している。まさに出来すぎた物語だが、不自然ではない。ありがちな男女関係・上下関係を無駄なくさらりと書き上げている。
韻を踏んだ調子のいい文章、諸所に散りばめられる洒落冗談、その奥に含まれた痛烈な社会風刺。処世術を知らない者は惨めな思いをするばかりで、正しいことをしているのに報われない。文三は男としては意気地なしだが、人のいい青年であるがゆえに私は最後まで彼を憎むことはできなかった。
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坪内逍遥の提唱した近代小説のあり方を履行したのはこの小説じゃないでしょうか。一度ロシア語で書いたものを和訳したんですよね(二葉亭四迷はロシア語学校で学んでいた)未完なのが残念です。
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初の言文一致体小説だということで、読んでみました。内容自体は物凄くつまらないので、近代小説が好きな方にはオススメできない本です。小説を「言文一致体」でどのように表現したらいいのか、当時のその苦悩がわかります。
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面白い。近代文学でこんなにおもしろかったのは初めてかもしれない。現代にも言えることですね、これは。未完なのは残念だけど。
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何てことない話といえばそれまでだけれど、こういう素朴な日常を描いたものって好きです。
恋の淡さも、今の時代から考えると奥手すぎるほど控えめな様子も、
恋心を抑えきれずに右往左往してしまう様子も、じれったいけれど、何か共感できちゃいます。
そして何より、言葉回しがすごく面白かったです。
駄洒落みたいな掛詞や、ひとつの言葉を引き出すための飾り言葉や枕詞(っていうのかしら)が散りばめられていて、
日本語って、すごく茶目っ気があって楽しい・面白い文化だなと思いました。
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二十三歳の青年が失職したり、家の中で一緒に住んでいた従姉妹への恋や同僚への嫉妬、憎悪や叔母との関係など、人間の仔細な描写の極めて卓越に描かれた作品。明治十九年(出版二十年)、二葉亭四迷が齢わずか二十三にして完成させた作品である。大変おもしろく、夢中になって読んだ。こういった昔の小説で、自分と歳が近い青年の物語というのは、非常に身にしみておもしろく感じられる。2008-11.17.
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2008/11/22,23,26
必読書150に掲載。
作品自体はとてもいいものだと思うし、読みやすくて面白い作品だった。
しかし、私は主要登場人物3人がそれぞれ好めない特性をもっているため、どうもだめだった。
特に主人公・文三の友人(友人と呼べるのか?)の本田昇がみていて腹が立つ。
んでもってお勢も腹が立つ。
解説いわく、この本は当時の若者を見事に描かれているというが、
当時はこんなにひどかったのか!と思わされた。
まあ、今現在のほうがひどいのかもしれないが、、、
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まるで今の日本人だ、って妙に親近感。
言う事考えは立派だけどヘタレな文三はまるで自分みたいだって思った。(だから妙にイライラするの)明治の時代というものはきっと長い日本歴史の中で一番揺れ動き楽しい時代だったんだろうなぁって。
それにしたって変な文章の書き方で読みずらいけど、これが凄い新鮮だったんだろうなぁってよく分かる作品でした。
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言文一致体によって、日本の近代文学に多大な影響を与えた(らしい)記念碑的作品。
軽妙な文体で読みやすく、登場人物もステレオタイプであると同時に、生き生きとしている。
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言文一致体の始まりでもあり、いま読み返すと文章はかなり独特。
ストーリーは特に凝ったものではないからか、内容のほうはほとんど覚えていない。
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思っているよりカタクない!! 言文一致しすぎて面白いです。「へーそう」なんて台詞があったり、明治人のおしゃべりを感じるにはもってこい。音読したくなるような調子の良い文章も魅力。
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あれ?わたしが読んだのとこの画像のカヴァーの絵が違う…これは観菊の場面だな。
言文一致運動とかは置いておいて、普通に面白かった。語り手(作者)がときどき剽軽者だ。最後の方のお勢が不可解。作者はもっと書くつもりだったんじゃないだろうか?
お勢「デモあれは品(ヒン)が悪いもの」
お政「品(シン)が悪(ワリ)いてッたッて」「覚えがないならないでいいゃアネ」
教養がある娘は標準語でお母さんが江戸弁!
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読みだすと楽しい。けど、まあ煮え切らない文三。お勢の奔放なところにも苛々した。まあでも当時では小説は人の内面を書くものとした先駆け的な作品なので、こういうドロドロ感は否めないのかもしれないですけど。
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退屈…。日本の行く末を憂慮する本らしい。第三部に入ってから特によくわからなかったなぁ。もう少し文三頑張れよ!とか思った。時代背景的なものがあるのかなぁ。
地味なだめ人間が辛く当たられてて、読んでた地味なだめ人間は辛くなりました。そういう形で感情移入をした本。
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特に恋愛において人間の陥りがちな歪んだ主観を浮き彫りにしている。
基本は主人公からみた世界を描くけれど、時々ひょっこり筆者が現れてきて、主人公に同情しそうな読者を、中立な視点に呼び戻すと同時に、そのズレに輪郭を与えながら話が進んでいく構成が面白い。