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【本の内容】
夏の盛り、犬大将ビッキが病気になった。
元気な頃は、毎日連れだって散歩をしていた。
犬と歩くと、犬の目の位置でさまざまな物を見る。
思わぬ拾い物もするし、いろいろな人と出会う。
小さなビッキは、夫婦にたくさんの喜びをくれた。
愛犬の介護と最期、古本屋の店じまい、相撲見物と親孝行…。
犬と過ごしたなつかしい時間、夫婦の日常をこまやかに綴る随筆集。
[ 目次 ]
迷い犬
夢道
台風
講演
芋銭
くれくれ月
十七歳
幸福の手紙
火と雹
紅鶴〔ほか〕
[ POP ]
東京から転勤し愛媛の地に移り住んで二年が経とうとしている。
住めば都に違いないが、都市での生活(というより中央沿線に住む快楽と言うべきか)に対する断ちきれない思いというのは、やっぱりある。
しかし、本書を読んでいると、不思議にいまの暮らしをしみじみ大切にしようという気になる。
別に田舎暮らしについての本でもないし、何かを啓蒙しようとする類の書物でもない。
ただ、読者の目を意識しながらも淡々と日々の生活を綴ることに努めている作者の不器用な姿が、自分をそういうふうな心持ちにしてくれたのだと思う。
実にありがたいことである。
「ついでに言うと、私は文学の根本は、やさしさだろうと思う。これのない作品は、どんなに派手派手しい装いをしていても、技巧をこらしたそれであっても、つまらぬと感じてしまう」。
書きすぎである。
しかし、どんなに不格好でも、飾らぬものであれば、それはたいそう美しい言葉になるのだということを知った。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
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