紙の本
スティーブンジョブスとカリグラフィ
2005/12/30 14:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KAZU - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のフワフワとした捉えどころのない思考は、「博士の愛した数式」で見せた【主人公からみた目】の素晴らしさとは対照的で、小説としてはあまり楽しめなかったのは残念である。
「博士の愛した数式」では、博士と息子のルートを通じてのお話で、語り部である主人公はあくまでも脇役である。それに対して、本作品は、主人公のが中心となって(だらか主人公というのであるが・・・)物語が回っていく。そのくせ、主人公のキャラがイマイチ見えてこないのである。
ところで、主人公が職業としているカリグラフィ。手書きの文字の装飾であるが、その点が読書中全く本書とは関係ないところで頭の片隅に引っかかってしまった。
6月中旬に行われたアメリカ、スタンフォード大学の卒業式。その場で、あのマッキントッシュの生みの親、スティーブン・ジョブス氏が、なんとも素晴らしい講演を行っている。その講演の原稿はオリジナルも日本語訳も検索すればすぐに出てくるので、ぜひとも目を通してもらいたいが・・・
ジョブス氏はリード大学を中退後、その大学で盛んに行われていたカリグラフィの授業をモグリで受講することになる。後にマッキントッシュの素晴らしいフォント、またマックOSそのものの起源がこのカリグラフィから来ていることを、この講演により、はじめて知った。
主人公はカリグラフィで楽器にその楽器の作者である相手の名前を彫ることで、なんとか物語の中での繋がりを保っている。しかし、できればジョブス氏のように、カリグラフィを話の中心にもってきていれば、もう少し感動する物語になったのでは?と思うと少し残念である。
投稿元:
レビューを見る
愛人のいる夫との生活から逃れ森の別荘で過ごす主人公。そこで出会ったチェンバロ創作者に恋をするがその男性の傍らには過去を持つ女性助手の存在が。
面白かったけれどこの本の主人公には共感できず、好きになれない。
投稿元:
レビューを見る
心地よい静寂感が好き。
この作者の本を読むといつでもわたしは身体の芯まで透き通ってしまうような気持ちになります。もちろん大好きな一品。
投稿元:
レビューを見る
レビューはブログにて。
http://tempo.seesaa.net/article/13613625.html
投稿元:
レビューを見る
ある出会いから始る三角関係。時にかぎりないやさしさを持ち、時におさえようのない残酷さを放ち交差していく三人。恋愛の負の苦しさに引きづりこまれた。やさしさと醜さは常に共存している。
投稿元:
レビューを見る
夫が浮気相手のところに出かけたとき、妻は一人別荘に行く。そこにはチェンバロを作る男とその弟子が仲むつまじそうにしている。そこに割って入っていきたくなって無理を言ったりするが、その間を裂くことができずにかえって自らを追い込んでいく。
前回読んだ小川さんの「刺繍する少女」はおどろおどろしい内容だったので、今回もそうなのかとどきどきしながら読みました。途中、「わたしは何度もフォークをトマトに突き刺したりした。トマトの形がだんだんに崩れてゆくさまを観察した。さいごにそれは血まみれになった肉片のようになった」とあったので、やっぱりこの話の最後は、チェンバロつくりの新田さんを刺すのかと変な期待をしてしまいました。それはともかく、小川さんの描く主人公の女性は「博士の愛した数式」のときもそうでしたが無口な人が多いようで。
2006.5.30読了
投稿元:
レビューを見る
チェンバロってどんな音がするんだろう? 「やさしい訴え」ってどんな曲だろう? 読みながらそれが気になって仕方ありませんでした。知っていればもっともっとこの世界を楽しめたかもしれません。自分の学のなさにため息がでました。
投稿元:
レビューを見る
小川洋子さん。
独特な話と文体ですよね。
今回はチェンバロのお話。
もう独特なワールドですよ。
今回はそれに自分がぴたっとはまれたのでなかなか良かった♪
投稿元:
レビューを見る
ここにも私がいた。
肉体関係よりも濃密な
共有への嫉妬。
小説は時に
現実よりも鋭く
真実を指し示す。
投稿元:
レビューを見る
『貴婦人・・・』 ほど突飛ではないですが、やはりちょっと変わった設定。そしてときに時間が止まっているみたいだったり、音が消えてしまったみたいだったりする、独特の語り口です。
長年愛人と自宅と二重生活をしている眼科医の夫の暴力とやりきれない自分の気持ちから逃れて林の中の別荘にやってきた瑠璃子と、やはり林の中でひっそりと暮らしている新田氏と薫と犬のドナ。瑠璃子は家庭問題を抱え、新田氏は心の問題で挫折し離婚したピアニスト(転じてチェンバロを作る職人)、薫は結婚直前に婚約者を別の女性に刺し殺された牧師の娘(新田氏の弟子としてチェンバロを作っている)、という、傷ついた者たちが互いに恐る恐るという感じで相手によりかかり、危ういバランスで支えあいます。それだけだと悲しくつらい物語になりそうなのですが、老犬ドナと、瑠璃子の別荘の管理人のペンションの奥さんの存在が、全体を明るく救うような感じになっています。とても切ない気持ちになる話ですが、読後感はすっきりでした。
新田氏と薫は目に見えず形も無い音楽を奏でる楽器の職人で、一方の瑠璃子は文字という目に見え形に残るカリグラフィーの職人なので、ひとつのことに打ち込むという共通点がありながら決定的な違いもあり、面白いなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
うーん! なんか一言で言うと、女版村上春樹!
ぐでぐでな展開によく分からない男女関係の持ち方、そしてラストの中途半端さ…
それでも最後まで読めたのは私が女だからかなぁ…
男性はきっとこういう話が好きじゃなさそう。
逆にこの主人公がもし男だったら、きっと物凄い苦手な話だったんだろうなーと思います。
投稿元:
レビューを見る
とてもいいです。音楽と自然に囲まれた生活。村上春樹の海辺のカフカを思い出します。とても深い世界観があって、気持ちよく浸れるとても好きなタイプの小説です。
ただ、残念なのはこの方の書く恋愛はちょっと痛々しいような…
投稿元:
レビューを見る
山奥にやってきた主人公が、近くに住むピアノを作る職人とその弟子に出逢う物語。
ピアニストだった職人はトラウマを抱え、ピアノを演奏出来ないでいるが、
弟子である女性の前だと弾いている所を目撃した主人公は嫉妬のあまり行動に移してしまう。
投稿元:
レビューを見る
哀しい話…だと思う。
なんだか淡々としていて、誰も直接的には傷つけ合わなくて、でも傷ついていて、でも言わなくて。
まあ、登場人物の各々が受け入れてるならいいのかな、と思うけど。
投稿元:
レビューを見る
読み終わってから、表紙の意味?エロテックさ?に「おお!!」とうなずき。
今までの中でオチは結構よかったけど…ただ、どうしても主人公がなぜ、ああ言う風に肉体関係を結ぶのかが…ちょっと消化できなかったなぁ(特に男性側の視点から考えると)。
再読して考えてみます。