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31 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

主人公ルウの感じる世界に驚嘆し、彼の心のあり様に魅了される。

2005/07/06 23:49

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る

自閉症である主人公ルウの心のあり様や、考え方に魅了された。繊細で論理(彼特有の論理だが)的、純真で複雑!
この話の舞台となっているのは、現代よりほんの少し進んだ近未来である。この時代は医学が進み、自閉症も早期であれば完治するので、ルウたちは、自閉症の最後の世代となっている。ルウは、自閉症者としての彼特有の能力を生かした仕事を持ち、自立して生活している。ただ、ノーマル(ふつうの人)とは、ものごとの感じ方が違うので、そのギャップには悩まされている。
そんなルウに、勤め先の会社の上司から、自閉症治療のための実験に参加するよう求められる。そこには、どんな意図があるのか。自閉症が治るということは、今の自分でなくなるということか。悩み、揺れるルウ。
話のほとんどが、ルウの視点で描かれているので、自閉症者がどのようにまわりのことを把握するのか、音や形への反応の仕方、パターンを認識する能力などのことが、すっと受け入れられ、彼に共感できた。そして、ルウのひたむきさと、思考の確かさに圧倒された。…そう、この物語は、自閉症者の物語ではあるが、読んでいるうちに、人間の普遍的な物語なのだと気づく。生きていくことの厳しさ、正しくあろうとすることの難しさ、自分の生き方、他者との関わり、変わるということ、変わらないということ…。
揺れるルウは、様々に自分に問い、悩むが、そのあり方こそが、生きていくことの尊さを示していると感じた。ルウは思う。「知らないということ、それから知ることを拒むという恣意的な無知、それは知識という光を偏見という暗い毛布で覆うもの。だから私は、きっと陽の暗闇というものがあると思う、暗闇には速度があると思う。」
一気に読め、そして、いつまでも心をとらえて離さない物語である。

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紙の本

切ない話、というのはこういうものをいう。仄見えていた希望、自分が自分であることの素晴らしさ、それを認識させてくれる一冊。高1長女は夢中で読み終えた

2004/12/24 19:30

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

可愛らしい表紙は、上下に分かれた暖色系の地の色合いもだけれど、ちょっとぼやけたような、ソフトフォーカスな兎と水平線が握ればくしゃっとなってしまいそうで、見ているだけで心が温かくなってくる。そんな愛らしい装画は牧野千穂、装幀は岩郷重力+WONDER WORKZ。

今までにも『アルジャーノンに花束を』を謳い文句に使った作品がいくつも出ている。例えば同じ早川書房のマーク・ハッドン『夜中に犬に起こった奇妙な事件』は、キースの作品をしのぐ、という言葉で売られた。しかし、こういう言葉が要らない本は沢山ある。例えば小川洋子『博士の愛した数式』などは、陳腐なキャッチを吹き飛ばす傑作である。

この本なども、その好例。話の核になるのが自閉症。字面から「暗く、他人を拒絶し、家に閉じこもった人間」といったイメージを与えるこの病、実はそのようなものではない。伊坂幸太郎は『陽気なギャングが地球を回す』で、自閉症は、中枢神経の障害で、人間の曖昧な部分が嫌いな性格で、人より物事に敏感で、結果としてスケジュールについてうるさかったり、ものの位置や歩くルートに拘ったり、中途半端な質問が嫌いだったりするという。

同じ年に出た『夜中犬事件』でも、主人公のクリストファーについて、自閉症に含まれるアスペルガー症候群という生まれながらの障害を持っている、彼は人の顔の表情というものが理解できない、相手がなにを言おうとしているのか、論理を組み立ててひとつひとつ推理をしながら答をみつけなければならない、まわりの情景を瞬時にことごとく見てしまうので、簡単に混乱に陥ってしまう、ただし彼には数学や物理学に関しては、大学生も及ばない理解力をもっているとある。

自閉症は、現在では、1)社会的な相互交渉の質的な障害、2)コミュニケーション機能の質的な障害、3)活動と興味の範囲の著しい限局性の三つを特徴とする行動的症候群と定義されている。自閉症患者には、その集中力ゆえに絵画・音楽・計算・記憶力などで突出した才能を見せる人々がいる。

ただし平均かそれ以上の知的能力を持つ人はわずかに2割に過ぎない。この症状にバラツキが自閉症という障害を分かりにくくしている。こういった自閉症の状況を理解しておけば、この小説や『夜中犬事件』を理解するだけでなく、身の回りにいるだろう自閉症の人への見方が変わるはずである。 

主人公は35歳のルウ・アレンデイル、冒頭、ドクター・フォーナムとの会話の中で読者は彼の豊かな精神世界に直接触れることになる。彼が医師に隠すのは、自分の性生活とフェンシングのクラスに通うこと。それは彼が今後とも読者や親しい人だけに見せていく周囲への配慮、そこまでしなくてもと思うほど優しい気遣いでもある。

一人暮らしのルウは自分のパターン認識能力をいかし、同じ自閉症の人々とともに製薬会社で仕事をしている。毎日、毎週決まった日常の繰り返し、それでも波風のない平穏な生活は、彼らにとってかけがえのないものだった。そうした平穏を叩き壊すのは、会社の利益優先を掲げ、弱者を利用し切り捨てようと暴走する新任の管理部長クレンショウである。

それに、ルウが密かに通っているフェンシングクラス、そこで出会った美女マージョリーと、二人の仲に嫉妬する嫌われ者のドンがなどが絡んで、普通の人と自閉症の人との境界、健常者であることの意味などが問い直されていく。それも、極めて優しい筆致で。この本でのルウは、クリストファーであり、アルジャーノンであり、病気こそ違え博士でもある。

その結末を解説の梶尾真治は「一見、ハッピーエンドに見える」という。しかし、私には悲劇としか思えない。それがどういう意味であるか、読んでもらうしかない。

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2004/11/26 20:48

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2005/11/29 03:22

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