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福井 晴敏初の全6編による短編集
防衛庁情報局、通称「ダイス」、市ヶ谷とも呼ばれるその組織に属する工作員達が残した6つの染み(ステイン)
「不実」、、、棄てられることが出来ない過去。その「不実」と向き合い闘う、その姿を描く物語です
誠実に生きようと不器用であり、誠実に生きようともがき、誠実に生きようと苦しむ……
既に作者のライフワークになりつつある「ダイス」シリーズの短編集です
(ダイスとは防衛庁情報局、公式には存在しない組織の名称です)
いやー、短編集もいけますね
今回は不実という拭いきれない過去を共通のテーマに苦しむ6人の話でした
マンネリや弛みがないですね
普通短編集となると、やっぱり箸休めみたいなのが入ってるのが通常なんですけど
どれも非常に全力でした
このまま一つ一つが続きものの長編になってもおかしくありません
特に最後の「920を待ちながら」は江戸川乱歩賞受賞作家によるアンソロジー「白の謎」で読んだんですが
2度目で判る事実がチラホラと
「某国のイージス」を読まれた方は是非といった感じですね
刊行間隔が長いので、久しぶりの作品でしたが、充分に満足できるものでした
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福井晴敏は好きな作家。でも、最近のものより、Twelve YOや亡国のイージスが好きだ。この短篇集は、そのころの作品か。登場人物は、それぞれみんな肩肘張って、自分の美学で生きているところが気に入っているのか。
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福井氏初の短編集。
防衛庁の影で生きる特殊工作員達の生と死の葛藤が生々しい。日常生活のありふれた風景から、突如として変化を起こす過程にぐいぐいと引っ張られる。
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第132回直木賞候補作品。
6編収録の短編集。
それぞれの主人公が負っている6つの傷に基づく物語。
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なにやら「もったいない」という印象。
この人は短編には向いていないかもしれないと思った。
全編に共通する「主人公は市ヶ谷(防衛庁情報局)の工作員」という特殊なBGを
この枚数で描き切るのは無理があるのだろう。
初期作品からハマっている人は背景も
ツボもわかるので醍醐味を味わうことが出来るが
この作品で初めて福井ワールドに触れる人には
醍醐味を受け取る前に話が終わってしまうはずだ。
もう少し枚数を増やして3編入りで2冊出したほうが良かったかも。
各編とも設定が良かったぶん「もったいないお化け」が大発生の感。
とはいえこの人の描く「特殊な環境にある人々」が
人間としてのひとかけらの平凡さを失うまいと
葛藤するさまがたまらなく好きなので、大好きな本には違いない。
福井さん、この6話、ばらして長編にしませんか?
待ってまーす。
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福井さん初の短編集。福井さんの小説を読もうと思ってる方は、まずこれを読むのをお勧めします。
他の小説とつながっている部分もあり、福井さんファンの方もぜひ。
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福井氏初の短編です。ですが、長いですし、例によって市ヶ谷です。短編ですが、章が続いていたりするなどしていて、やっぱり無駄に長い小説が好きなんだろうなと思ってしまいます。
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市ヶ谷のダイスに所属する男女が織り成す短編小説集。
6篇の中に垣間見える、彼らの日常にファンは思わずニヤリとすること間違いなし。しかもあの伝説の工作員920もチラリと出演してますv
オススメは「920を待ちながら」「サクラ」
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亡国のイージスにもでてくる秘密組織ダイスにまつわる短編集。イージスファンには嬉しいおまけの最終話がついてきます。
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架空の非公開組織、防衛庁情報局(通称≪市ヶ谷≫)の任務に身を投じる人々の、6つの物語。長編が有名な作者ですが、実は短編向いているのではないかと。長いと思って敬遠していた人は、この本から入ってみるのもひとつの手かもしれません。実は装丁に惹かれて購入してしまいました。各編の英語題がさりげなく素敵。(2005.09)
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「920を待ちながら」は「亡国のイージス」を読んだ人なら必読です☆
出てくる人たちがみんな似たように見えてしまいましたが…。
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『920を待ちながら』
福井ファンには嬉しいサービス付き。乱歩賞アンソロジー収録作だったせいか、ミステリしてます。
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市ヶ谷短編。短編なので読み易く、福井ファンには絶対にお勧め。イージス後なら、思わず嬉しくなるファンサービス付き。
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防衛庁情報局…通称、市ヶ谷。公に出来ない地下組織に属する工作員たちと彼らに関わる人を描いた短編集です。福井さんの作品といえば圧倒的な厚み(^^;の長編モノで、超人的な主人公が多い中、珍しく短編で、しかも、登場人物は普通は一般市民。
普段は別の仕事をしていたり主婦であったりする人たちが、本部からの指令が出ると一転、緊張した状況下で命を張っての仕事なる(しかし手当は低い(笑))と言う短編が6編です。しかし、最後の2作「断ち切る」「920を待ちながら」は中篇と言ってもいいボリュームでした。
個人的には、福井さんには長編が似合うなあって思っていましたが、その中でも収録作品の中で「媽媽」「断ち切る」「920を待ちながら」は秀作で楽しめました。特に「媽媽」の母としての立場、「断ち切る」の爺やとしての立場など、そちらの面でも楽しめたので、長編との使い分けがうまいと思わせる作品でした。
収録作品
いまできる最善のこと
畳算
サクラ
媽媽
断ち切る
920を待ちながら
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短編集。6つの染み跡。
最善のことが、正義であるとは限らない。平穏な人生が、必ずしも幸福だとは限らない。そこに、焦燥や葛藤が生まれる。不実な生き方をつぐなおうと足掻いてみたり、かけ違えたボタンをかけ直そうと奮起してみたり、その必死で切実な生きざまが、読む人の心を打つのだと思う。「♪真実より現実より大事なことは 理想でもないのさ あきらめないこと」(by堂島孝平)なのです。惰性で生きるのではなく、生き抜く。
スリリングなストーリー。情緒的な作品世界。切なくて、やるせないんだけど、読後は妙に清々しさを感じたりもして。短編集だけど、長編に負けず劣らず読みごたえありました。
短編にはそれぞれ英語の副題が付いているのですが、「畳算」の副題がシャレてる。>惚れるんじゃないよ。
「媽媽」と「断ち切る」も、副題を見ると連作だとわかりますね(気付く前に読んじゃったけど/笑)。