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紙の本

小説家はどこまで歴史の真実を描き出せるのか

2004/12/19 08:51

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者は、「歴史研究にフロイトの精神分析の手法を導入し、文化の読み直しを進めてきたアメリカを代表する歴史家」である。本書は、「文学作品、とくに小説における叙述のあり方を論じることを通して、文学は歴史をどこまで描けるのか」を論じたものである。

 著者は、最初にリアリズムについて語る。「前衛的な者であろうと、伝統的な者であろうと、リアリズムの作家は信頼できる背景と信頼できる登場人物たちを描くために並々ならぬ努力を傾けてきた」として、リアリズム作家の姿勢を評価する。
 そして、小説/虚構からどのようにして真実を引き出したらよいかということは自明」ではないとしながら、それを探求する。

 著者は、様々な歴史に関する点で欠点があっても、「人間の経験に関するいかなるテーマも抜け落ちてはいない」と言ったウルフの言葉を紹介しながら、トルストイの『戦争と平和』を歴史の真実に迫った小説として高く評価する。
 私としては、この『戦争と平和』を論じて欲しいが、著者はひとつの例として紹介するに留まっている。

 本書では、ディケンズ『荒涼館』、フロベール『ボヴァリー夫人』、トーマス・マン『ブッデンブローク家の人々』を綿密に分析し、これらの作品がいかに歴史を描いたかを解く。同時に、これらの作家が社会批判の精神を持っており、小説の中に時代を描くとともに、その社会の問題を批判していると解く。

 そして、最後に「リアリズムの小説家が創造する世界は、歴史学者の世界と同じで、ただ辿ってゆく道が違うだけ」と結論づける。そのうえで「我々が小説家の洞察を賛美するのは、その心理的な読みの深さについてなのだ」と優れた小説のもつ意義を明らかにしている。

 また、一時広がったポストモダニストにたいして、その観念論(著者は観念論という言葉は使わないが)を痛烈に批判している。歴史学者が真実を探求するうえでの経験と考察から導かれた論であるだけに、その内容は重みをもっている。

 三作品を読んでいない読者にはわかりずらい内容を含んでいるが、歴史と小説、リアリズムを考えるうえで参考になる書である。

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