紙の本
おもしろい
2022/10/29 07:52
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
グノーシスって何だ、という素朴な疑問にわかりやすく答えてくれる好著。初期のキリスト教では現在では異端とされる流派がいて独自の教説を説いていた。その主な3つの派の教説を解説。目から鱗というべき驚きの内容。とても刺激的。
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若手の研究者によるグノーシスについての入門的概説書。かなり良い出来。グノーシスの議論は往々にして対象が広がりがちだが、本書は主な射程を二世紀のキリスト教との関係に絞り込むことによって、予備知識のない読者にも理解が容易なものとなっている。ヘルメス文書などの非キリスト教的事項との関係について敢えて踏み込まなかったことは評価できる。著者独自の見解などを述べるときにいわずもがなのことを書きすぎるのは表現上の瑕瑾。
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グノーシス主義について初めて日本人研究者によって記された入門書です。紀元二世紀に活躍したグノーシストたちの思想が紹介されています。手ごろで読み易く分かりやすい本です。拙作では地獄の第六の圏谷異端地獄を描くのに使いました。
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よく言葉は聞くが、そのものはわかりづらい「グノーシス主義」の日本人による日本語の入門書である(日本初だとか?)
2世紀の世界を丹念に描いた後に、ウァレンティノス派、バシレイデース、マルキオンとグノーシスとして有名な3者を説明して、そのうえでグノーシス全体を説明している。
言葉だけだとわかりづらいが、2世紀と限定したことで時代背景も含めて、イメージしやすくなったのではないか。その後マニ教やイスラム教にも影響を与えているので、関係の宗派に興味がある人は読んでみてもよいかもしれない。
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僕は仏教が好きでとある本を読んでいた時に浄土真宗は景教の影響を受けているというのを読んで、さらにその後に景教がキリスト教ネストリウス派というキリスト教グノーシスの一派だと知った。
それがグノーシスに興味を持ったきっかけ。
キリスト教についてはほとんど一般的な知識しかないのであまり難しいと困ると思って本書を開いたわけだが、わかりやすくて助かった。
一般向け入門書である本書を読んだ現時点での僕のグノーシス主義の人たちに対する印象はこんな感じ。
彼らは本筋のキリスト教徒たちがいちいちつっこもうとしなかった聖書のあいまいな部分を詳らかにしようとしたり、矛盾していると思われる部分になんとか整合性をもたせようといろいろな説を作り上げたりする。
そういう彼らのやっていることは一般のキリスト教徒には難解すぎるので多数派にはならないのだけれど、尖ったことをやっているのでやがては多数派正統派も彼らの影響を少なからず受けてしまう。
彼らはキリスト教オタクみたいなものなんだと思う。
そう考えると、本書の中でも書かれているようにグノーシスの広がりをキリスト教を離れたものも含めてすべて網羅するのは不可能だというのもうなずける。
本書が入門書として好感が持てるのは内容が難しくなりそうになると「難しくなるので省きます。」と大胆にカットするところだ。
ひとこともなくスルーするのではなく、ちゃんと宣言するところがいい。
この先が知りたい人はもっと専門的なのを読んでね、ということだから先があるということは示してくれているわけだから、行くも戻るも自分次第というわけだ。
僕自身この先に行くかどうかはわからないけど、本書がとても良い入門書であることだけは保証する。
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再読。
「グノーシス」という、魅力的ながらも曖昧模糊としてとらえがたいテーマを手堅く解説した良書です。
紀元二世紀のキリスト教グノーシスにテーマを絞っているため、論点がはっきりしており非常にわかりやすい。グノーシス思想といえばデミウルゴス、ソフィア、アイオーン、ナグ・ハマディ写本などのキーワードが有名ですが、それらについても図表を交えて解説してくれます。選書ならではの簡にして要を得た一冊といえましょう。
グノーシス思想が持つ世界像についての説明もわかりやすい。至高神ーアイオーンーソフィアーデミウルゴスー世界ー人類という、今となってはフィクションにおいても多く使われる世界観を大まかにつかむことが出来ます。その意味で創作を好む方々にもお勧め出来るかと。
お値段もサイズも手頃な一冊。是非どうぞ。
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グノーシスについて、大まかに知りたいと思って読みました。至高神とその他の聖なる存在があり、地上神も愚かな存在ではあるものの神には違いありません。複数の聖なる存在からはギリシャローマ的価値観が感じられて興味深かったです。内容だけでなく文献も、いろいろと参考にさせていただきました。
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フィクション作品の考察のために購入しました。
グノーシス主義とは、単一の宗教ではなく、思想傾向のことだと言います。
そのため、本書では広範なグノーシス概念すべてをカバーできないことを、冒頭で断ってあります。
誤解を防ぐ配慮がなされているあたり、著者の誠実さと丁寧さが感じられ、私のような初心者がとっかかりとして読むには適切な本なのではないでしょうか。
キリスト教グノーシス主義においては、創造神を蔑視し、至高神を崇める点、そして、至高神が上位世界におり、人間が下位の世界にいて霊魂の救済を願っている点が興味深く思いました。
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名前だけ知ってたグノーシス。至高神と創造神が違ってたとか、神様が何十人もいたとか。ギリシャにキリスト教が入った時に、ギリシャ文化の多神教の風土の中で、キリストの教えを解釈しようとすると、こうなるのも頷ける。
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何も知らない人向けグノーシスの入門書。とても読みやすかった。他の本でグノーシスについて触れてあっても分かりにくくてつかめない印象だったけど、世界観や系譜などについてさっくりまとめてあって参考になった。至高神とアイオーンの成り立ち、救済のロジックはこんな話だったのか…とようやく納得。
矛盾のある箇所、研究の進んでいないところ、現状存在する資料のカバーできる範囲についてや、よくわからない部分…とかも率直にはっきり書いてあって、主流の見解・著者の意見を明確にしているのも非常に好印象だった。さらにステップアップの参考文献も完備で嬉しい!
難解な部分は省いていると言うけれど、むしろそんなところも含めてもっと書いてくれ~と思った。
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聖書研究の一分野としての解説。どうしてもオカルトの側面で語られてしまうグノーシスについて、本当はどのようなものであるのかを丁寧に解説している。初めて知ったのだが、グノーシスといっても大きく3つの流れがあり、さらにそれぞれが全く異なったものであるという。またそれがグノーシスの研究の難しさにもつながるという。そもそもがグノーシス派側の文献がほとんど残っておらず、残っている文献も批判側(体制側)の批判や批判のために引用されたものである。批判する側は考え方の違いに関係なくグノーシス的であることだけで批判し、それを受けてのグノーシス再評価も体制に対する反発が意識的、無意識的問わず加わることでグノーシス像があいまいなものとなり、あやゆるものをグノーシスに当てはめるという無軌道に陥っている。本書では可能な限り文献をそのまま紐解くことに努め、安易に現象に結び付けるようなことはしていない。そのためワイドショー的なオカルト求める読者にはただただつまらないだろうが、正しくオカルトを研究する者にとっては得るものがあるのではないかと思う。もちろん聖書、キリスト教研究においてもグノーシス派とは何だったのかを知る手掛かりになるのではないかと思う。