紙の本
やりきれない。なんとかなしい、砂糖菓子の弾丸
2007/02/07 01:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
目次:
第一章 砂糖菓子の弾丸とは、なかよくできない
第二章 砂糖菓子の弾丸と、ふたりぼっち
終 章 砂糖菓子の弾丸とは、もうあえない
このタイトル、章題。
どうしてこんなにさびしいのだろう。
それはべとべとしたあまいもの、
それがしあわせにならないなんて。
ぽこぽこと懸命に放つ弾丸が、世界につぶされるだなんて。
かなしみを大きくつれてくるだなんて。
打ちのめされた。
読書の前後にて、今いる世界の色が変わる。
実は気づいてたけど、避けてた、
捲れた世界を見た気がした。
そのことは果たして、おとなになることなのだろうか。
年齢を幾つか重ねても、僕にはわからないことが多い。
実弾を装着しようとして生きること。
そして砂糖菓子の弾丸。
「もう誰も、砂糖菓子の弾丸を撃たない。」
「砂糖でできた弾丸(ロリポップ)では子供は世界と戦えない。」
魂が知ってしまったこと。
実弾を装着しようとして、あまい砂糖菓子を求めてたこと。
砂糖菓子の弾を撃ちながら、実弾にまみれて生きてたこと。
人魚にはなれなかった。
僕らは現実で生きている。
彼女は言う
「こんな現実は嘘」だと。
薬であり、強い毒だ。
あまくてもろい、砂糖菓子。
人魚の姫。彼女がいたというところ。
深い海へと沈み、考えてしまう。
「幸せだよ」
「海の底って楽しいんだよ」
なんて…。
世界は容赦がない。
かなしい。かなしい……。
深い夜の海に潜る。
その姿を強く、夢みたい。
魂が知ってしまっても。
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(粗筋)母一人の稼ぎと、ほんの少しの生活保護で暮らす少女、山田なぎさ。兄は美形ひきこもりで、なぎさは「生活に打ち込む、本物の力」を得るために中学卒業後は自衛隊入隊を志願をしている。一方、父に虐待を受け、自分を人魚だと言い張る転校生、海野藻屑。藻屑は虐待する父を溺愛している(ストックホルム症候群らしいです)藻屑が辺り構わず打ち続けるのは嘘で塗り固めた砂糖菓子の弾丸だ。なぎさは藻屑とも関わり合いの中で「砂糖菓子の弾丸」を打ち続ける藻屑に興味を抱くようになる。
折り返しの粗筋に銘打たれた「暗黒青春小説」との売り文句と、各所の書評を見る限りではよっぽどど暗い小説なのかと思って期待して読んだが、鬱になるほど暗い小説ではないと思った。引きこもりの兄を抱え、生活保護受ける主人公の家庭はあんまり陰惨には描写されないので、なぜ主人公が「現実にコミットする力=実弾」を求めているのか説得力に欠けると思った。なので「現実からデタッチする力=砂糖菓子の弾丸」との対比が際立たず、全体の印象を薄いものにしている様な気がした。ストックホルム症候群だと言う藻屑の救われなさを結末に至って主人公が「忘れない」の一言で片付けるのも少し納得がいかなかった。救われないなら救われないなりの考察や理屈がそこにあってもよいのではないかと。
「ライトノベルだから」と言う枕詞をつけるのは卑怯なような気もするけれど、この手の救われなさを描いた小説ならベタなところで『こころ』や『人間失格』でも読んだほうがよっぽど鬱になるような気がしないでもないけれども、独特のとりとめの無さや軽く読める内容からして、良く纏まった小説なのではないだろうか。
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ストックホルム症候群の親から虐待される少女と、引きこもりの兄を抱えた戦いたい少女の話。致死力を持たない「砂糖菓子の弾丸」という表現には、ああ、なるほどと思った。
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ほろ苦いチョコレートを背伸びして食べたような後味を残してくれた本。冷めた主人公、山田なぎさの語り口は、饒舌で痛々しい。それによって一層、暗澹とした空気が重みを増している。晴れているのに曇っているような。不穏な。海野藻屑というスケープゴートとの出会い、そしてこの成長物語は、しかしなぎさではなく、兄、友彦のためにこそあった。ゆえに、いわゆる「鬱系」と呼ばれる本書だが、逆に勇気をもらうことになった一冊である。
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桜庭一樹と西尾維新は現代の小説界を引っ張っていく――と、勝手に思っている。胸が焼けそうになる程の甘さで包まれているのだが、甘くなければ生きていけなかった少女のことを思うと心に苦味が走る。撃ち抜けられない弾丸を撃ち続けることで、彼女だちは少しでも救われていたのだろうか?余りにも辛い余韻を、今作は残す。
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設定が設定なだけに割と冒頭はぶっ飛んでて、読んでいて痛い痛いと思う箇所がいくつもありますが、それは読んでいくうちに気にならなくなります。ギャグっぽく思わせておいて、至ってシリアスなお話です。
なんというか、割とぶっ飛んでいる割には話が身近といいますか、若者がぶつかったりする嘘とか友情とか子供とか大人とか、そういう部分が非常に上手く描写されていました。女性作家はやはり自分らと視点が違うのかなとまざまざと思わされつつ、最後の方のなぎさの心の動きが凄い絶妙でした。好きです、こういう話。
と言うわけでちょっと気に入ったので次は「荒野の恋」を買ってみることにします。
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母とひきこもりの兄と暮らす山田なぎさと、元歌手の父と暮らす海野藻屑。
その家庭はギリギリの状態にもかかわらず、それを維持させようと、なぎさは強くあろうと心に決め、藻屑は自分をごまかすために幻想世界をつくり、演じた。
甘ったるそうな表紙の絵とは対局にあるキツイ話でした。
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☆五つつけようか迷った。超迷った。
んでも、やっぱ桜庭節と言うかノリが若干耐え切れず☆四つ。
今回は桜庭節を逆手に取ってきやがった・・・オチが!オチが!!・゚・(ノД`)・゚・
しかし本編中で出てくる『貴族』って表現、最高だなぁ
たしかにやってる事まんま貴族だ・・・見事な風刺です
『好きって、絶望だよね』とか、ゾクリとする一文が稀に挿入されてたり、読み終えた後も延々考えさせられる話。ああ。
素晴らしかったです、いい本でした。
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この題名にはすごく納得。
砂糖菓子のような甘い日々は簡単に崩れていく。脆弱な存在では上位にいる存在を超越できない。それにしても藻屑を電波少女設定にする必要があったのかがちょっち謎。
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人気があるということで読んだんですが、予想以上で驚きました。しょせんは萌え系なのかと思ったらそうでもなく、うまい文章というイメージではないのに、言葉が染みこんでくる感じが不思議。
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本屋さんでかわいい絵柄の表紙とタイトルの「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」という不思議な響きの言葉に惹かれて読んでみました。
ふわふわでかわいくて、でも毒もあるという文章にはまってしまいました。
藻屑も「実弾」を撃てていれば・・・(つД`)
それでも藻屑の放つ悲しいけれど優しい「砂糖菓子の弾丸」もすごくスキです。
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「ぼくはですね、人魚なんです」/
あたしは"実弾"にならないよけいなことにはかかわらないのだ。/
「好きって絶望だよね」/
あれが、自分をバラバラ死体にするためのでかい鉈を自ら背負って歩いている、かわいそうな女の子の後ろ姿だったなんて。/
「なぎさは"ストックホルム症候群"って、聞いたことあるかい?」/
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話題だったので……。
最初から結果は最悪。
切なすぎる容赦のない現実、痛々しくて、無力なもどかしさ。
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「好きって絶望だよね」……。
藻屑ちゃんは幸せだったのかそうでないのか、絶望するほどの「好き」ってなんなのか、これを読んであなたも考えてみませんか????
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表紙とは裏腹な痛い話でした。藻屑の暴力に対する見解がすごく悲しかったです。絵で選ばない方が良いです。