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コンクリートの文明誌 みんなのレビュー

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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.5

評価内訳

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

日本を滅亡させないために

2005/02/17 04:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

2000年前のローマがコンクリート都市であったと聞いて、まず驚かされる。
そして、そのコンクリートでできた膨大な社会インフラの維持管理費負担に耐えられなくなった時、大帝国ローマが滅亡の道に進んで行ったとは。
さらに、その滅亡過程から見えてくるのは、同じように膨大な社会インフラを抱え込んでしまった現代の日本であった。
本書は、コンクリート工学の専門書としても通用するだけの技術的内容を持っているが、一般の読者が読んでも十分理解しやすく、かつ興味が持てる本である。それは、本書のタイトルが「技術史」ではなく「文明誌」とされていることから察することができる。
阪神大震災でのコンクリート橋梁倒壊や新幹線トンネルでのコンクリート片落下など、コンクリートの劣化・不良を原因とする事故があいつぎ、「コンクリートクライシス」などと呼ばれるようになったのは、ほんの数年前のことだったか。
著者は、「コンクリートが危ない」「マンション」(いずれも岩波新書)などで、広くコンクリートの問題を訴え続け、社会的に認知させることにつとめてきた工学者である。
学者、特に大学の工学系に所属する学者が得てして陥りやすい“わな”に「業界との馴れ合い」がある。それが癒着・利益誘導といったものであればもちろん許されざることであるが,そう悪い意味ばかりではない場合もある。工学的研究を続けるためには、その技術に関連する資材・技術的ノウハウをとりまく業界との関係を崩しては、スムーズな研究を続けることができにくい所から来ている面もあり、同情的側面も持つ。いずれにしても業界との馴れ合い的な体質が出てくる素地はいくらでもある。しかし,学者が公の場で業界に不利になる発言をすることができにくい環境に置かれる状況は決して良いことではない。
しかし、この著者はこれまでも、土木系の業界に不利になるようことも含め、自分の考え方を明確に包み隠さず表明してきた人である。なぜ、そのような毅然とした態度を続けることができたのか。この本を読んでわかってきたような気がする。
この本から、著者のコンクリート及びコンクリート技術に対する深い“愛着”“信頼”が感じられるのである。
著者は言う、「技術の進歩にエンジニアの精神がついていっていない」のだ。社会インフラを設計・施工・管理するエンジニア一人一人が、自分の仕事に自覚を持ち、自分が何をすべきかよく考え、自分の仕事に真剣に取り組めば、現在のような“クライシス”がやってくることはなかった。
原因は、コンクリート素材そのものにあるのではなく、それを扱うエンジニア達の心にあったのだ。
そして、この状況をさらに悪くしているのが、この国の悪しき体質。経済成長を何にもまして優先させてきたことによる、効率第一主義・弱者切り捨て・過大な競争主義。エンジニアの心から、もともと技術者を志した時の純粋な感情など排除してしまう、あるいは、ブラインドで覆い隠してしまう、また、そうしないと生きていけないような状況をつくりだしてきた日本という国。
本書はコンクリートの文明誌に名を借りた、現代日本への提言の書である。著者の愛するコンクリートが本来の姿を取り戻すように、そして一人一人のエンジニアが充実した仕事がこなせるように、この国を変えていく必要がある。

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紙の本

「やっぱやめとけばよかったかな」が一転…

2004/11/13 23:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ローマが好き - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本はあるローマ史のサイトに紹介されていたので知りました。塩野七海さんの本でローマ人はコンクリートを使っていたということが少し書いてあって、「コンクリートってそんな昔からあったんだ」と何となく感心していました。そんなことが頭に引っかかっていたから、ちょっと読んでみようかなと思って買いました。いくらローマ帝国ものに目がない私でも、なにせ土木工学が専門の先生が書いた本です。「やっぱやめとけばよかったかな」とチラリと思いました。ところが、本を見てみて安心。中味はイラストや写真がふんだんにある、なにかいい雰囲気の歴史の本でした。お目当てのローマは最初の章だけでしたが、ローマが滅んだ後、コンクリートは二千年ものあいだ眠れる技術だったというのは意外で面白かったです。最後の章は著者が同業の技術者へ向けた熱いメッセージのようで、私にはあまり縁のない話でしたが、この本にこめた著者の思いはよく伝わってきました。5000円くらいに見えるカタそうな本なのに、ページを開いたときの意外感がとても印象的でした。文章もよみやすくて、いい本です。また世界を広げてくれる本に出会えました。

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紙の本

出版社からのオススメ

2004/11/12 03:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:岩波書店 - この投稿者のレビュー一覧を見る

(目次)
第1章 すべての道はローマより発す
    ——古代都市国家とコンクリート
  1 火山灰が原料?
  2 ローマ人と公共事業
  3 廃れゆく遺物
第2章 二千年の闇をぬけて
    ——近代文明とコンクリート
  1 スミートンの着眼点
  2 近代化をささえた鉄筋コンクリート
  3 アメリカの世紀をささえた巨大公共事業
  4 横浜築港とコンクリート亀裂事件
第3章 激動の時代のなかで
    ——総力戦とコンクリート
  1 帝国自動車国道
  2 硫黄島の防波堤
第4章 戦後復興とともに
    ——高度成長とコンクリート
  1 戦後集合住宅私的変遷史
  2 夢の超特急の影で
第5章 シヴィルエンジニアへ
    ——現代日本とコンクリート
  1 コンクリートから見た日本と西欧
  2 土建屋とシヴィルエンジニア
  3 コンクリートの美学

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2021/03/04 20:47

投稿元:ブクログ

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