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評論家入門 清貧でもいいから物書きになりたい人に みんなのレビュー

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みんなのレビュー18件

みんなの評価2.9

評価内訳

15 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

あなたも評論家になれる…わけではない

2004/11/21 17:13

7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『もてない男』でブレイクした評論家の最新刊である。
 今回は何と、「評論家入門」というタイトルである。平たく言えば、「あなたも評論家になれる」ということだ。ハウツー本もここまで来たか、と言いたくなるが、ちょっと待って欲しい。副題をよく読もう。「清貧でもいいから物書きになりたい人に」。この副題が曲者である。「清貧でもいいから」とあるが、清貧とはどのくらいの「貧」しさを指すのか? 一人暮らしをしていれば何とか食べていけるくらいの収入がある(しかない)ことを指すのだろうか?
 小谷野敦氏はいまや有名人のひとりと言っていい。その有名人が、いったい評論家としてどの程度の収入を得ているのだろうか? 氏は正直に書いている。物書きはもうからない、と。そして収入が先細りになったらアパートを畳んで実家に帰るしかないだろう、とも。また、評論家仲間の岸本葉子氏が、この連載が終わったらどうやって暮らしていこうかと悩んだ経験を持つ、とも書かれている。
 小谷野氏も岸本氏も東大卒の秀才・才媛である。秀才・才媛であるということは、物書きの必要条件である。たくさんの本を読み、様々な領域に目配りし、それを自分なりに練り上げて独自の産物としてアウトプットする。これは誰にでもできることではない。頭が良くなければ不可能な仕事なのである。特に氏が本書の中で推奨しているエッセイストという仕事は、漠然と日常茶飯事を書きつづるだけではすぐ種が尽きてしまうわけで、絶えざる勉強が欠かせない職業であるはずなのだ。
 また、小谷野氏は大学時代にマスコミへの回路を比較的多く持った教授に教わっている。誰もが瞠目するほどの圧倒的な実力があるなら別だが、マスコミは基本的にコネ社会である。つまり、小谷野氏は実力とコネとをあわせ持つ恵まれた立場にあったのであって、かりに女にはモテなかった(笑)にせよ、評論家として立つには圧倒的に有利な場所にいたわけだ。
 その小谷野氏にして、清貧を免れていない。したがって、この本の主張にもかかわらず、評論家を目指すのはよほど慎重にしなければ、と私は読者に老婆心から訴えたい。
 では、この本は無価値なのだろうか? そうではない。これは小谷野敦氏の生活と意見を知るための書物である。評論や評論家について氏がどういう考えを持っているか、評論家として氏がどういう暮らしをしているかを読み取って、氏のさらなる発展を祈ればよいのだ。かつて岩井克人が柄谷行人に言ったように、日本ではエッセイとは有名人の日常を知るために存在する。小谷野氏のこの本も、そこをはずしていない点で、エッセイの常道に沿っているのである。
 なお、「ヒエラルキー」はドイツ語とあるが(139ページ)、ドイツ語では「ヒエラルヒー」と発音される。ヒエラルキーというのは英語読みのハイアラーキーとドイツ語読みとの中間読みであり、おそらく学術用語としてのドイツ語がその地位を低下させていく中で英語との折衷読みとしてでっちあげられたものと推測される(少し古い日本語の学術書を読むと、ヒエラルヒーになっているのが分かるはず)。
 また、伊藤整の名の読み方だが(216ページ)、本名では「ひとし」であるけれども、作家としては「せい」が正しいのではないだろうか。

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紙の本

「採点!有名評論」

2004/12/07 20:50

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GG - この投稿者のレビュー一覧を見る

文芸批評(比較文学)と私憤エッセイのハイブリットである『もてない男』で文名をなした著者による「評論」論および「評論家」論。歯に衣着せない断定と、ときおり挟まれる法界悋気という小谷野節で、読者を楽しませてくれる。

断定の方からいこう。評論といえば、小林秀雄が代表的なスターだ。この代表的人物をとりあげた上で、小林秀雄は非論理的なので小林スタイルを真似てはいけないと強く強調している。評論は、著者のひらめき・思いつきから出発するにしても、事実に基づき論理的に組み立てられるべきもので、レトリックの力で押しきるものではないからである。小林秀雄の評論の多くは論理的に読むことができないので駄目なのである。初期作品はそうでもなかったのに何故こうなっていったのかというと…という謎解きまでついている。

さらには、「採点!有名評論」という項目まで設けられていて、有名評論がAからEまでの五段階で評価されている。井上章一『法隆寺への精神史』をA(学問でありながら評論でもある)とし、吉本隆明『共同幻想論』をE(あきらかにひどい)とする大胆さが痛快である。また、一章を設けて柄谷行人『日本近代文学の起源』を細かく読みなおしている。具体的な失点をいくつも挙げてはいるが、こちらはそれほど有効な批判になっている感じがしない。

また法界悋気といえば、著者の独擅場である。本書では第五章「評論家修行」が、それにあたる。有名ライターになるまでの苦節10年が、著者の周りの先輩学者などの実名入りで書かれていて、ゴシップとして楽しめる(まあ、あまりよい趣味とはいえないが)。本を一冊出して、雑誌「批評空間」に論文を二本出した頃に世間からまったく反応がないことに焦ったという記述がリアルである。

評論界のオールド・ファン(?)には、往年の栗本慎一郎『鉄の処女』(カッパブックス)を思い出してもらうとよいかもしれない。一種あの本の00年代版といえそうな気がする。

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2005/07/13 11:57

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