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投稿者:ファッハ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは恋愛小説である。本の帯にもそう書いてある。人を好きになって、寝て、一緒に過ごして、そして別れる。よくある話ではあるが、大なり小なり、恋愛なんて定型化すれば陳腐な出来事に違いない。
にもかかわらず、恋愛は文学の、映画の、ひいては芸術におけるテーマの最大の関心ごとのひとつである。多くの作家や芸術家が恋愛をテーマとして作品を創造しうる、あるいは表現せざるをえない衝動に駆られるのは、個々の恋愛におけるほとんど無限に近い特異性・多様性の故ではないだろうか? 作品の読者や鑑賞者は、個々の物語の要素に感情移入しうるものを見出すことによって、その作品を評価する。最大公約数的な要素が大きければ多くの読者に高く評価されるだろうし、一部の者にしか理解できない価値観を前面に出した作品は、やはり一部の者にしか評価されないだろう。
もちろん、多数者に評価される作品が優れ、少数者にしかアピールしない作品が劣っているなどと言うつもりは毛頭ない。芸術としての価値は量的な評価によって決まるものではないと信じているからだ。作家や芸術家がその作品に与えた特異性の意図を読み取ることこそ、読書や芸術鑑賞の醍醐味ではないかと信じているからだ。
そして39歳の女性と19歳の青年、実に年齢差20歳の恋愛小説である。いかに年下男との恋愛や結婚が増えているとはいえ、20歳の年齢差は世間一般的にみてまだまだ特異な恋愛関係だろう。
にもかかわらず、この作品で描かれている恋愛模様は、どこにでもありそうなごく普通の恋愛だ。誰かを好きになる、一緒に食事して結ばれ、そして別れる…ごくありふれた恋愛関係。
別にリアリズムを求めたいわけではないのだが、20歳の年齢差を意識した葛藤がほとんど感じられないのはどういうわけだろうか? かといってハードボイルドな恋愛を書きたかったのでもなさそうだし…?
あるいは旧弊な葛藤を描かないのが、新しいのか?
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このタイトルを見たとき、心の中の自分でも気付かぬ部分を耳掻きでくすぐられたような気分になった。それに加えてこの人を食ったようなペンネーム。小学生でもいまどきあだ名にも使わないようなベタな名前をあえて使うところに底知れないセンスを感じた。19才のオレと39才のユリの恋愛物語なのだが、表現方法が斬新なのに嫌味っぽくなく、わかりやすい。特に主人公の描写は女性が書いたとは思えないほどリアルで共感できた。読んでいて心地よく、そして少し切ない一冊。ページ数が少ないので一気に読んでしまった。
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「奇跡も・・・」と対称。
電車中でカバー無しで読むには勇気がいる。センセーショナルなタイトルと桁外れなペンネーム。中味とのギャップがまた魅力か。買うのも本棚に飾るのもチョイうつむき加減に・・・。
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第132回芥川賞候補作。
第41回文藝賞受賞作。
題名から受けるイメージとは違って、とても切ない物語です。
いっきに読んでしまいました。
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Older woman, younger man. Doesn't dig all that deep, though.
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友達に貸したら、『内容ないくせにあるように見せかけてる』と言われて大ショック。
確かに一見してないようないんですが、読むうちに吸い込まれていきます。
ゆりちゃんという美術系専門学校教師とお洒落な名前の主人公の恋愛小説。
・・・って言ったら聞こえがいいですが、これはゆりちゃんの一方的な火遊び→終結。っていう感じもします。
主人公が考えることが伝わるっていう感じではなくて結局何が言いたいのかわたしにも分かりませんでしたが何回も読めば読むほど味が出るような作品です。
一緒に文藝賞受賞した『野ブタ』よりわたしはこっちを押します。
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内容:専門学校の生徒と先生の恋愛もの、ぐらいでいいのか?
感想:透明感のある文章は嫌いじゃない。が『スプートニクの恋人』を思い出させる空っぽ感。売れてる理由の半分はタイトルとペンネームでしょ、って感じ。
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ちょっと、せつないです。
作者の名前も作品のタイトルもインパクトが強いですが、読んでみると内容はすごく淡々としています。
妻ブキくんが、主人公の役とかやったら、きっとはまるだろうなぁ。
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タイトルと筆者の名前でおお?と思うけれど、内容はいたってさっぱりとした恋愛小説。ホントにさらりとしてて、ちょっとつかみ所がなかったかも。
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美術の専門学校に通う19歳の青年と40手前の女性講師との恋愛。ヒロインの夫や主人公の友人など含みを持たせた登場人物はたくさんいるが誰にも共感できず、心に残るエピソードも全くなかった。文章はうまい。ペンネームが一番面白かったかも。
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磯貝みるめ君とサユリさんの、
古いごわごわしたセーターの匂いみたいな物語に
息が出来ないような気持ちになる。
そしてまた、心打たれながら電車に揺られる。
電車でゆきついた先は私を閉じ込める場所。
あっぷあっぷと溺れそうになりながら、
磯貝君とユリちゃんで、息を継ぐ。
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なおコーラ。
タイトルも著者名もなんか気に食わないけれど、センスは認める。すごくいいと思う。飴のような小説だと本人はコメントしていたけれど、確かにそうだ。
後に残るものがない。お腹にたまらない。
ただ、味だけ、なんとなく思い出す。
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「本やで立ち読みできる作品」という、唸るようなほめ言葉の置かれた短編。タイトルと作者名に惹かれて手にする人が多いと思うが、内容はどシリアスだ。すーっと煙のように人妻ゆりちゃんとの恋は始まり、彼女の旦那さんと一緒にも会って、そして彼女はまた彼の前からすーっと消えてしまう。何度連絡を取ろうとしても、繋がらないまま切なく。
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タイトルは強烈なんだけど、
それに反して綴られる言葉は詩的で繊細で
つらつらと読みやすかった。
おおげさでなく、世界は光ってる?と錯覚するような
あたりまえな日常の描写がきれい。
美術系専門学生19歳のオレと、
その学校で講師をしている39歳のユリ。
去ってしまったユリちゃんを
オレが回想するところからものがたりは始まる。
不倫の恋の話だけども、ほんのり切ない。
タイトルの意味は、最後にわかります。
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1ページ目
「カサカサになって破れかけた唇が‐‐それが不快の
ような、ある種快感のような。‐‐マフラーに唇を擦り付けた」が気に入って
そこからは食い入るように読んでしまった。