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11/22読了。あっという間に読んでしまいました。「ランドマーク」に比べたらソフトな筆力。連作短篇集。
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日常は、さしたる不自由も差し障りもなく 機嫌よく笑いながら流れているように見えるが、その流れはときに激しかったり渦巻いたり澱んだりしているのだ。それはきっと確かなことだろう。
そして人は、さまざまな違った要素の縄を幾筋も撚り合せたようにしてできている。
ある一面を見てすべてを推し量ることなど不可能なのだ。
だから人は誰でも一筋縄では行かないものなのだ。
他の作品も読んでみたい。
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お洒落な一冊。タイトルである「春、バーニーズで」含む、5つのショート・ストーリーからなるこの本の中で、私が一番気に入ったのは、「夫婦の悪戯」。生活感のない描写に匂いのない言葉。それが時に心地よく、サラリと読める。しかし、明後日、私はこの本を覚えているだろうか? とぼんやりと想う。
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めずらしく手元に置いておいてもっと時間が経ってからも読みたいと思った本。一つ一つの話としてのおもしろさだけじゃなくて、話が積み重ねによって感じられるものもすごく沁みた。
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淡々と引き込まれてしまう物語。無理のない話の展開だし日常を切り取った一コマなのに、いつもどこかでさざなみが立っている雰囲気がしてる。それってまさに日常。
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吉田さんは東京に住む人間を描写するのが好きらしい。
余計なものを削ぎ落とした、という感じの洗練さがいい。
しかしなんといっても、やりすぎ感バリバリのこの美しい装丁!
手触りもまさにバーニーズです。
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上手に映画的な演出をして、読者にわかりやすいクライマックスを作るのが得意な作者が、「こんなのはどうだ、ブンガク的だろう」と、敢えてわかりにくい作品を書いてみた。
カタルシスの一歩手前で終わるのが、小憎らしい。
タイトルが「パーキングエリア」というのも、やられた!って感じ。
ハードカバーで読んだのだけど、装丁がものすごく良い!!
真っ黒な紙に銀色の文字のカバーと、背表紙の裏が金色なのが、きれい。
本文の青みがかった白い紙も、文字の並び方も、すごく好き。
装丁で感動した本は、初めて。
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仕事をサボって日光に行く話が好きだった。
最後、二人は別れちゃうのかな。
読んだ後、少し余韻が残る作品でした。
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基本的にこの作家さん好き。昔付き合ってたおかまと買い物先で出会うという話。この人の話にはおかまの人が多く出てくるけど、そんなにおかまと付き合ったことのある男の人っているのかしら・・?でもおもしろかった。
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「……ほら、お前にも前に話したろ?高校の修学旅行で腕時計を置き忘れて……、それがさ、今でもあるような気がするって」 瞳は何も言わずに筒井の話を聞いていた。「……で、さっき確かめに行ってみたんだけど……、やっぱりなかったよ。……なかった」んーいい雰囲気だったと思う。好きかな。何かを抱えてはいるが文樹にとっていい父であろう、なろう、とする男と、何かを覚悟して生きてるみたいに、細かい事には囚われない女。一人と一人が寄り添って在るかの様な夫婦。好きです、二人とも。逃亡した夫に「ゆっくり休んでおいで」とか、出来すぎてるけど、あたしは素敵だと思った。あと描写ねー。うん、子供ってマクドナルドのポテトとか横にしたまま口に入れてるw だよねー子供って掴んだまま口に入れるもんね。はっとした。「最後の息子」も読もうと思う。ラスト「楽園」は違う話なのかな。意味深に終わるなよな〜ん。(20060527)
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明るい話でも、暗い話でもない。一人の男の日常。
成人男性が主人公の話は始めて読みました。
何か事件が起こるわけではない、本当に「日常」なのですが、一つ一つの言葉が心に響きました。
短編集なのですが、最後のお話だけ抽象的で、何か作者の思いが込められているのだろと思います。
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最近気づいた。吉田修一が好きなようだ。なんだか、やっぱり心理描写がたまらない。さりげなく洗練されてて好き。
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これまで読んだ吉田修一の作品の中でもっともよい作品かもしれない(全ての作品を把握しているわけではないので、大袈裟だとは思うが)。読んでいて、完全に気分が小説とシンクロしてしまった。共鳴。最初の第一章にあたるであろう表題作を読み終わった時にはもうこの作品はよいぞ、と確信した。先日、日光に行ったばかりだったこともあって、日光の部分の描写がありありと頭の中に浮かぶ。いや、そこじゃなくても作品全体を通して、何故かわからないがありありと風景が浮かんだ。(06/12/16)
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いかにもありそうな日常を見事に切り出してくる簡潔な文章は、さすがです。
5つの短編から構成されていますが、中でも「夫婦の悪戯」と「パーキングエリア」が良かったです。
「夫婦の悪戯」では、自分で仕掛けた罠に嵌ってしまうような弱さが、「パーキングエリア」では日常から逸脱したくなる気分と葛藤が、素直に理解できました。こういうことって、きっとあります。
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日常ぽっかりと落とし穴にはまってしまった感じの瞬間が、男性の視点で書かれている。嘘だという前提の話のはずなのにはまってしまう「夫婦の悪戯」、夫婦に流れる微妙な気まずさが実によくわかる。