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紙の本
夢を見せる装置にもバランスが必要かも
2007/01/27 15:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の絵やあらすじを見て、人形師がお人形のようにきれいな青年を愛でる耽美重視のお話なのかなと思い、正直あまり期待せずに読み始めたのですが、思いがけず引き込まれました。
プロフェッショナルとして物を作る人たちのお話が好きだから、というのが、たぶん引き込まれた理由の一つです。主人公の耀一は舞台衣装を手がけるデザイナーで、朝霞はオートマタンと呼ばれる自動人形の制作者。せつない恋のドラマの綴られる合間でに、断片的にあっさりとではありますが、二人の携わる具体的な作業の雰囲気が伝わるように描かれていて、それが心情的な絆の深まりにしっくり合う印象で、いい雰囲気だなと思いました。
それと、耀一と朝霞の関係が、才能の面でも恋愛面でも、どちらかが一方的に依存・要求するというのでなく、たがいに拮抗しつつ調和するという形になっていて、バランスがよかったことも、心地よく読めた理由であると思います。
気になるのは、お話のなかでは語られずに終わる、脇役の孝史のその後の人生です。朝霞の作った耀一そっくりの人形「耀輔」との舞台での競演後、演じた芝居そのままに「彼」に本気で恋をして、同棲までしてしまう孝史と、制作者たちの恋愛現場に立ち会ううちに、何かを吸収してしまい、どうやらタマシイみたいなものさえ宿してしまったらしい「耀輔」は、一体どうなっていくのでしょう。「自動人形の恋」という本書のタイトルを見れば、本当の主役は、孝史と「耀輔」であっても少しもおかしくないわけですから、エピローグで同居に至った経緯をあっさり語られて終わってしまった二人は、ちょっぴり不満を抱いているかもしれません。
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