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紙の本
TEAM・ZOOという奇跡
2005/03/01 17:46
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投稿者:脇博道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
500ページを超える大部である。が、本書の厚みがそのまま象設計
集団という類いまれな建築設計チームの仕事及び作品の恐るべき密度
の濃さを物語っている。現在においては、優秀な建築家ほど深く思考
を重ね、エンドレスとも思えるスタディを行ない続ける事は自明とな
りつつあるが、ひとつの建築を創造する過程において象ほどあらゆる
設計における与件を検証しながら最終的な形にまで至る過程を執念と
もいうべきクリエイティブな行為として行なう事は容易ではない。
本書は完成した建築の素晴しさもさることながら、そのプロセスを読
み取るのに十二分な構成となっている事が特筆されるべきであろう。
宮代町役場という作品がある。日本の建築デザインがポストモダンの
デザインコードを用いて、それまでのモダニズム的な作品とは一線を
画した表現豊かな作品が輩出し始めたのと同時期の作品ではあるが、
それにしてもこの建築は衝撃的であった。ぶっちゃけて言ってしまえ
ばこんなのあり〜という感じの作品であった、が実見したときはもっ
と驚いた。コロセウムのような広場空間がメディアでは強調されがち
な建築であったが、力強い外部空間のイメージとは裏腹に内部空間は
随所に美しい光が入る仕掛けが工夫されていて(WCまでも!)その
設計密度の濃さに圧倒されっぱなしであった。その後も象は快進撃を
続ける。そのオリジナリティあふるる建築についてはぜひ本書にて直
に感じて頂きたいと思う。
ところが、90年代に入って再びシンプルモダンの建築にデザインコ
ードの針が傾き始めた頃から、象がいわゆる建築メディアに頻出する
事は幾分減ったように思われたが、北海道に拠点を移して活動はます
ます加速していた(そして現在も!)事は象のデザインコンセプトが
当初からまったくといっていいほど変化せず(という事は時流とは関
係ないスタイルを保持し続けているあかしでもある)に活動を続けて
いる事に深い感動を覚えずにはいられないのである。
象設計集団には、その独自のデザインを行なうにあたり沢山のキーワ
ドが存在する。そしてそれらが実現した建築にストレートに反映され
ている事がそのおおいなる魅力のひとつでもある。とにかく象の建築
は楽しい。その楽しさをぜひ本書にて堪能して頂きたいと切に願う次
第である。
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