学歴社会はなくなるか
2005/05/11 14:12
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桑畑三十郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書によれば、資本のグローバリゼーションに対抗するため、21世紀型マルクス主義を考える必要があるということだ。なぜならば「資本のグローバリゼーションこそ私たちをとことん貧困にし、かつ非人間的な存在にするものだから」。ではなぜそうなるのか。
「世帯主の賃金がグローバリゼーションによって下がれば、教育に関する費用が家族に委ねられている現状では、子供たちを早々に働きに出すしかない」
つまり、子供が高等教育を受けられるかどうかは、親の所得が高いか、低いかだけで決まる世の中になってしまうと言うのだ。たしかに少子化の一方で、大学の入学定員はそんなに変わらないから、行きたい人は皆大学にいける時代が来るのだろう。一方で能力がありながらも、家庭の事情で進学をあきらめる人が増えるのかもしれない。それがどういう問題を引き起こすのか。
「資本主義社会は、合理性を旨とキる事務的管理社会であるがゆえに、その社会で上昇するには、そのために必要な事務的能力が教育に大きく依存している」。従って「教育のレベルが将来の所得を決定するとすれば、こうした社会は両極分解を加速させている」と、著者は述べる。たしかに憂慮すべき事態だ。
だが本当に悪いことばかりなのだろうか。だいたい今の大学を出ることによってそんなに事務的能力が上がるものだろうか。むしろ、企業にとってはぼんくらな大卒を採るよりも、優秀な高卒を採ったほうが有益ではないか。そして高卒でも幹部に出世できる制度を作ることによって、今後学歴社会がなくなっていくのではと期待するのだが、甘いかなあ。
この本を多くの人に読んでもらって議論してほしいところだ。
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2008/1
現代でも使えるマルクス論。
導入部分でマルクス経済学のことを茶化しつつも、自然にマルクスの考え方の世界に引き込んでくれる。経済学を敬遠している人におすすめできる一冊。
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マルクス研究家が、マルクス主義を現代に当てはめて考えるならどうなるかということを考察した一冊。分かりやすい気もするが、気分が乗らずあまり集中して読めなかった。やはり原典を読んだ方がいいんだろうな。
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マルクス論を今の時代にどう生かすか、の観点で綴ったエッセイ。興味深いと思うが、マルクス紹介の合間で肯定否定の論が曖昧に漂い、ちょっと内容が頭に入らず。ある程度マルクスを読まないと、ついていけないかも。
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マルクスだったら現在の格差問題、グローバリゼーゼションなどの諸問題をどうとらえるか?というお話。
テーマ自体はおもしろいとおもったのですが、いかんせん文章が好きなタイプじゃないのが残念。
資本主義のグローバリゼーションによって中産階級が没落していくというのは同感。
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21世紀におけるマルクス主義。
グローバリズムは「労働者の国際連帯」の契機である。
マルクス主義は「国際的に連帯」することで初めて意味を持つ。逆に一国だけの連帯では、新たな差別を生むだけであるのだ。
「共産主義」とはあらゆる階級が融和した社会である。資本主義は「内部」と「外部」の関係で成り立つのであるが、「共産主義」では外部も内部も存在しない。
今までの「共産主義」という名目で存在した「ソ連型社会主義」は、徹底した「内部」と「外部」が存在した。基本的に国家への忠誠を強いられるからである。
(経営者=共産党幹部、従業員=労働者とみなせば、ソ連型社会主義国家はひとつの大きな企業のようなものであるとみなせるのですがね。)
やはり・・・今のなってやっと資本主義が本気を出してきたのかもしれませんね。
マルクスやレーニンの考えた「資本主義」が今になってやっと現れたのでしょう。
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マルクスとスピノザには共通する部分があった。時代は異なれ、ともにオランダ系ユダヤ人であった。
弁証法は西欧国家、とりわけイギリスの発展をすっきりと説明するには最適でした。
マルクスはキリスト教の最大の成果は、人々に子供を愛することを教えたことだといった。
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色んなマルクス解釈を読みたいと思って、手にとったのがコレでした。
今まで読んだマルクス関係の本で一番読みやすかったです。新書でもわかりにくいのはわかりにくいけど。
的場さんの考案する21世紀型マルクス。
面白かったです。
この本を読んでも、他のマルクス研究の本を読んでも、マルクスの言う幻想の共同体がもし実現するとしても何百年先の話なのかなぁと思ってしまいます。
国境を越えた市民の連帯。
資本という概念自体をなくす。
ならば私たちは将来の子孫たちの幸せのためにその前提、前段階であるグローバル資本主義によって苦しめられるまま仕方ないのか。
まぁまだマルクス主義というものをきちんととらえられていないので色んなマルクスの本と解釈の本を読みながら考えていきたいと思います。
的場さんの本は他にも色々読んでみたいです。
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[ 内容 ]
民族、宗教、家族、二極化、戦争…。
19世紀の「あの人」が解く21世紀の超難問。
[ 目次 ]
序章 マルクス、二一世紀の東京に現わる
第1章 「二一世紀型」マルクス主義とは?
第2章 世界についてどう考える?
第3章 民族や宗教についてどう考える?
第4章 「他者」についてどう考える?
第5章 労働者についてどう考える?
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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著者は真面目に書いているが、真面目で分かりやすいがゆえに、共産主義のいかがわしさがよく伝わってくる。
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もしマルクスが現代に来ちゃったら現代の諸問題をこう考えるだろうって始まり方だったのにそれは最初だけだったのが残念です。
的場さんの視点からマルクス主義とは、その現代における意味とは、を解説した感じで、そこまで新鮮さはなかったです。ただアメリカに共産コロニーを作ろうとしていたいわゆる粗野な共産主義や、プルードンの集団労働の価値の考えや、労働者の労働を支えてるのは他のいろんな人なんだから賃金を労働者だけに払うのもなんか違うって考え方はおれには目新しかったです。
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税金上がってきたし、所得も横並びになってきたし、
これ、マルクス勉強するしかなくね?
との思い出購入した本。
資本主義はひたすら回りに敵を作り、その敵から資本?を搾取することで成長していくんだけど、搾取する対象が減ってきたり、今まで搾取してた国も搾取する側に回ったりと、資本主義に翳りが出始めたのは良くわかった。
グローバル化することで、地球という一つのコミュニティーを地球人として行き抜く、ということが必要でないか?との話もあった。
ただ、日本は部落や村八分に代表されるように、常に外的を作る、そういう陰湿な関係みたいなものを作ることに長けており、この構造というのが資本主義そのままの体制な気がして、
結局共産主義にはなりえないんだという結論に至った。
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久しぶりに一冊読了した。現代社会の様々な問題をマルクスの理論をもとに分析、解説。マルクスの現代的意味を問う。社会運動における経済闘争と政治闘争の合一化の必要性や人間の共同性(類的存在)を基底とした社会の創造、それに外部や他者という収奪される側の存在から見えて来る新しい連帯の在り方など、21世紀型マルクス主義が見えて来る。
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21世紀の東京にマルクスが現われたら、グローバル資本主義の跋扈と自分の思想の凋落について、どのように考えただろうか、という導入がおもしろい。
元来マルクスは、イギリスを中心とする世界市場を前提として資本主義の考察をおこなったのだが、19世紀後半になって、マルクス主義はマルクスの思想を、国民国家を準拠枠とする体系に編成しなおしていった。こうした国民国家単位の社会主義は、グローバリゼーションの進展に対応できなくなり、影響力を失うことになったのである。著者は本書で、グローバル資本主義を準拠枠とする「21世紀型」のマルクス主義の形を描き出している。
レーニンの『帝国主義論』は、先進資本主義国と植民地との結節点にあるロシアにこそ、革命が起こると論じられている。だが、そうした資本主義国の半「外部」で起こった革命は、共産主義革命ではありえない。むしろそれは、資本主義の「外部」による資本主義への闘争というべきだろう。その後の歴史は、ネグリ=ハートのいう〈帝国〉が、資本主義の「外部」であるロシアを「内部」に取り込む方向に進んでいった。21世紀型のマルクス主義は、こうした〈帝国〉に対抗する、グローバルな連帯の形を求めなければならない。
そのほか、オリエンタリズムやポスト・コロニアリズム、フェミニズムなど、ポスト・マルクス主義の政治思想が取り組んでいる諸問題について、分かりやすく解説している。
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マルクスって名前と顔しかわからなかったけど、結構わかりやすく読めた。
経済学はややこしいな。でも世界を知るいいヒントになるみたいだな。
いままで金、集団の人間の仕組みを知らない世界にいたから本当に世界って本当に歴史ってあるんだなー。自分の世界の隣にも世界って続いてるものなんだなー。当たり前のことにびっくりする。