紙の本
太古のサバイバルとハーレクインロマンスの2本立て
2006/11/16 15:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:R_for_KOK - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズの1作目を読んだ興奮も脳裏に鮮やかなうちに、続編であるこの作品を読んだけれども……。
この作品では、同族のクロマニヨン人に出会うべく、育てられたネアンデルタール人の洞窟を出て旅を続ける主人公エイラのサバイバルを描くパートと、後に彼女と出会う、クロマニヨン人の若く、美しき旅人ジョンダラーの旅を描くパートに分かれて進行します。
エイラのパートは、前作から続く面白さがあるのですが、ジョンダラーのパートは、安い恋愛小説のような趣があり、少々つらい。
低俗なポルノではありませんが、セックス描写も多く、「子供に読ませよう」と考えて検索をしたご父兄は、やめたほうがいいでしょう。
正直、1作目の素晴らしさには敵わない作品であったと思います。
投稿元:
レビューを見る
やっとお互いの気持ちが通じ合ったエイラとジョンダラー。
背景もストーリーも面白いのですが、えっと、なんだかハーレクインっぽくないか。
投稿元:
レビューを見る
抽象概念を理解するのが難しい
数を数える=「誰」でなく「誰でもが一人と数えられる」を理解するのが難しい
「習慣が違う→自分の気持ちを伝えれらない→誤解を生む」ということなのだろうか
性描写がきつすぎる
投稿元:
レビューを見る
下巻になって何故に少女マンガ的展開だ、と、どよめく。
むしろハーレクインロマンスだろうか。
重要そうな人物でもさくさくと死ぬ、そんな世界が好きなので、王子様役のジョンダラーが完璧すぎて、個人的に微妙。
さらに上巻ではインテリだったのに、下巻では恋したバカ野郎のテンションに若干置いていかれた所もある。エイラの恋愛も本能ならもう少し本能らしくして欲しい気もした。
エイラとジョンダラーの恋愛が割りとすんなりと落ち着いたのだけれど、これから先も続くことを考えると、この調子で行くはずはない……と予測。次回に期待。
投稿元:
レビューを見る
エイラは男を見つめた。無作法だということはわかっていたが、そうせずにはいられなかったのだ。相手が意識を失ったり眠ったりしている間に観察するのと、こうして目を見開いているときに向かいあうのとでは、まったく違っていた。この人は青い目をしている!(123p)
ついにエイラはジョンダラーに出逢った。思えば作者は周到な仕掛けを作って2人を遭わせたことになる。野生馬の谷の生活で、エイラが馬を育て、ライオンを育てたのも仕掛けだし、ジョンダラーの弟が常に旅の先陣を切り兄を谷に連れて来た段階でライオンに殺されるのも、「運命」という仕掛けを作っていたのだ。
それまでゆっくり流れていた物語が突然本流として流れだす。なんということか。この長い物語は、2人のラブストーリーである可能性が高くなった。それと同時にネアンデルタール文化とクロマニヨン文化の出会いと融合の物語なのかもしれない。
言葉を介さないで2人はお互いを観察する。エイラはジョンダラーの服が外衣に革紐を締めただけの簡素な服装とは違い、革や毛皮を切り分けた断片を糸でつづり合わせた複雑な構造を持っていることに気づく。ズボンも作っていて、服を二枚重ねしているのにも驚く。それは同時に私の驚きでもある。弥生人の服は簡素な貫頭衣という認識の私にとって、3万5千年前の新人の服がこうなっていて、尚且つ貝殻や骨や羽で模様をつけていたのだ。穴は石器や骨で穿ち、糸は動物の靭帯を使うのだそうだ。あり得るかもしれないが、すごい技術である。下手をすると、現代の服よりも豪華。
ジョンダラーはエイラの薬師としての申し分のなさに驚く。また、2人も気がついていないが、石を打って発火する方法や馬やライオンを家族として迎えているのを見て、エイラの中にクロマニヨン人をも超える才能があることに驚くのである(火打ち石と牧畜の発見)。
一冊の約半分をかけてお互い嫌われていると勘違いしながら、愛情を確かめ合うまでの経緯はもどかしいほどではある。17歳と21歳の2人の行く末はこれからも見守らなければならない。
2013年9月16日読了
投稿元:
レビューを見る
ようやく出会った二人。
話せるようになるまでとてももどかしかった。
話せない=人間じゃないっていう概念があんまり理解出来ない。
投稿元:
レビューを見る
「人が人と出会う」とは、どういう状態を言うのだろう。
商談で出かけた先の受付嬢に、ものを尋ねた状態。
ホテルのドアマンに、ドアを開けてもらった状態。
同じアパートに住んでいる人と、挨拶をしている状態。
時に立ち話をして、世間話をする状態。
姿形ではなく、心で他の人と区別される人になること。
そこで初めて「出会った」と言えるのではないだろうか。
エイラとジョンダラーは、長い上巻を経てやっと遭遇する。
エイラにとっては初めての同族だ。しかも異性。
育ての親であるネアンデルタール人のイーザに、「同族のつれあいを探しなさい」といわれ、その遺言に従って北上してきたエイラにとって、自分より背が高く、自分のように青い目と金髪をもったクロマニヨン人は、物心ついてから遠巻きにすら見たことはなく、自分が受け入れられるかの不安は募る。
けがをしたジョンダラーの世話をしていくうちに、互いに心を寄せ合う。
しかし、彼女が思わぬことから、エイラは傷つく。
エイラは、愛する人に嫌われるということがなかった。
辛い仕打ちをされたとしても、深い愛情有ってのことだった。
親が子に必要なことを教えるときに、いつも優しく笑ってはいられないように。エイラが怒られたり無視されたりしたときも、それは氏族の中で暮らしていくための習慣を身につけるために、必要なことだったし、エイラを思ってしたことだった。
だが、このとき、自ら心を寄せた人からの拒絶を初めて感じた。
二人にとって、出会いの瞬間はいつなのだろう。
考えると、この下巻全体を費やして二人の出会いを描いているように思う。
ただ世話をするものとされるものから、かけがえのないものへ。
但し、今後の火種が目に見えて来もした。
14歳から17歳を過ごしたこの谷に別れを告げるときが訪れる。
人を人たらしめるものは何なのか、というテーマについては第3部へ引き継ぐことにする。
やっぱり評論社版の抄訳はうなずける。
完訳版は、やっぱりちょっと、ねえ。性に寛容な社会とはいえ。そんなに描写しなくても。
下巻の、特に後半は、二人とも、ほとんどずっと発情していました。
某サイトより転載