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紙の本

あらゆるコンピュータ・ユーザにとっての必読古典

2005/01/15 16:34

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sheep - この投稿者のレビュー一覧を見る

パソコンを立ち上げ、マウスでアイコンをクリックし、フォルダー中のファイルを開き、必要部分をコピーしてメール本文に貼り付け、メールを送信し、時にはLAN上のレーザープリンタで印刷もする。
日々何気なく行っているこの作業を実現する技術、すべて実は一企業の研究所で開発されたものなのだ。素晴らしい新技術開発には成功したが、事業化に成功しそこねた人々の数奇な物語を描いたものが本書である。

本書冒頭クイズが三問ある。
1. 最も長い期間放映されたパソコンのコマーシャルは?
2. 最もクリエイティブなパソコンのコマーシャルは?
3. 最初の「パソコンのコマーシャル」は?

アメリカでの刊行時(明記はないが1988年の筈)では1,2は自明だったろう。しかし今の時点で3に答えられるアメリカ人は、まして日本人はまずいるまい。(解答は本書を参照されたい。)

青色ダイオード訴訟和解の記事等を流し読みしていると、素晴らしい技術は発明しさえすれば、たちまち羽が生えたように売れ、お金が湯水のように流れ込んでくるように思えそうだ。
さにあらず。世界最初のパソコン、ワープロ・ソフト、描画ソフト、レーザープリンタ、LAN等という画期的システムを開発した企業は、そうした総合技術を成功裏に市場にだすことに失敗した。そして同社は今でも「複写機」の世界的企業のままだ。

「成功の復讐」という言葉がある。困難な物事を長年の苦労によって見事に事業として開花させると、その成功体験が、他の全く新しい事業展開の障害になることを指している。本書は、世界的一流企業が、まさに「成功体験によって復讐された」例だ。

いくら新技術が素晴らしくとも、過去の成功体験に固執する「企業文化」の中では、帳簿数字しか読まない幹部の指揮下では、その技術の市場導入には成功できない。先見の明、豪胆さ、燃えるような意欲は、簿記知識や地位・経歴等からは決して生まれない。

全米の一流科学者を集めて西海岸に作られた自由奔放な研究開発組織は、ダークスーツを身につけた東海岸の古典的企業幹部達とは水と油の関係だった。
世界から幹部が集まる1977年の国際会議でのデモにこぎつける。ここで幹部らの反応が面白い。残念な事に幹部でなく、夫人連が技術展示の魅力を瞬時に理解したのだ。物事にとらわれず、秘書として働いた経験から見れば、展示技術が夢のような機械であることは自明だったろう。立て続けに開発する製品の価値を認めず、本気で売ろうとしない企業幹部が、研究所のその独自な雰囲気を生み出した人物を追放するに至ると、研究者達は他企業へ移り、あるいは新会社をおこして去って行く。
安全確実主義の行儀良い企業幹部と、行儀よりも何よりも、目覚ましい研究開発を優先する研究所運営を計る人々との摩擦葛藤。技術というより技術者魂の息も詰まるドラマは今読んでも十分劇的だ。

新技術を育てる上で幹部の判断は極めて重い。新製品市場投入の成否を決めたのは幹部を含めた企業文化だ。敷衍すれば「一国の未来を決めるのはその国の文化だ」と言えようか。

素晴らしい開発を素晴らしいものと認識できず、夢遊病者の駄作として白眼視した本社の雰囲気、日本の大企業・官庁と全く無縁と言い切れるだろうか。企業・国家は、他社・他国の成功をまねようとするより、自らの体質からおこる深刻な失敗を避ける事が先決だろう。日本中で、冷戦後の経済成長という疑似成功体験から抜け出られずにいるのではなかろうか。

「逆プロジェクトX」とも言えるこの物語、低迷する日本企業の「組織と人間」のあり方について、反面教師として効能は高まっていよう。経済産業省Webの採用欄にさえ「成功の復讐」という言葉が見える今、「技術開発の管理」に関わる、企業・官庁の管理職・幹部必読の古典だろう。いや、むしろ広くパソコンを享受している人々の常識となって欲しいものである。

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2011/01/10 02:30

投稿元:ブクログ

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