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まあ時代が違いますから
2016/08/22 00:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時はセンセーショナルだったのかもしれませんが、今の時代で今の感覚で読むと、それほどショッキングな内容でもないです。そういう意味では、時代を先行く小説だったのでしょう、BLなんかない時代ですし。ストレートではない愛の短編集です。なぜか玉ねぎのところだけ印象に残りました。
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初の瀬戸内寂聴作品。彼女の作品とは思えないほど情熱的なストーリー。花芯とは子宮という意味なんだって。
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「子宮作家」と言われるようになった作品が入っています。が、日本語の巧さが”いやらしさ”とは違う印象を受けるという気がします。何遍も読んでしまいそうな一冊。
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決められた結婚をしたのち、園子はこれ以上ない程の恋に堕ちる。二人は惹かれあい、契りを交わしたけれど――恋は無くなってし、彼女は孤独になっていく。園子の体にある、ただ快楽を求める子宮が、もう一人の純粋な自分を守っている……。
なんだか、ものすごーくエロスな文章なのにものすごーーーくお上品な文章で感動した。読点多めでゆったりペース。多分、王宮女流文学を現代に復刻させるならこんな感じだろうな、と思いました。全体的にしっとりしている。
花芯以外の短編もじめじめ〜っとした内容なんだけどあくまでもしっとり。逆に田辺聖子さんだとからりとしている。うん、寂聴さんが式部で田辺さんが少納言かなー。
肉と魂は相反するものだけどその相克の中で燃えあがる愛とか恋とかってこういうものなのかしら。最初は現代女性作家と同じ毛色なのかなーとやや萎えてかかってたんですけど全然違うものを感じた。そりゃあ寂聴さんなんだし。
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「子宮作家」というレッテルを貼られた本なのだけれど、当時と今では感覚が違うのだろうか?全く問題ないと感じました。
一番有名なフレーズが最後にくるんですね。これはきっと寂聴さんの経験からくる言葉なのだろうなーと、感慨深く拝読いたしました。
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当時、よくここまで・・・!!
と舌をまく。
ラストにさらに驚愕した。
闘志を感じる。
この展開って、どういう思考回路でそうなったんだろう。
いまだに掴めない。だからまた読み返したくなる。
(他の作品を読んでみても、なかなかここまでの領域には達していないように感じる)
現在の生き方をみてみても「欲」について徹底している方だなあ。
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2010/10/20
瀬戸内晴美の短編集。
どの作品もしっとりとした奔放さを持った女性が、
とても魅力的に描かれていると思う。
男性はあくまで純情に、女性は感覚的に透徹なものとして、
対象的なところも面白い。
なぜか「グレート・ギャッツビー」を思いだした。
読んでいて人恋しくなります。
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瀬戸内寂聴さんの「花芯」という小説は1958年に三笠書房から出版されている。当時は本名の瀬戸内晴美という名を名乗っていたのだが、とは云いつつもおいらは全く知らないのだが、当時の文壇からは非常に冷たい仕打ちを受けることになっていたようなのだ。この作品を初めて読んだのである。
「美は乱調にあり」にて綿密にフィールドワークされた作品世界の中には、大胆な想像力を羽ばたかせて描写されたドラマが見てとれているのだが、「花芯」にとってはそんな「大胆な想像力を羽ばたかせて描写されたドラマ」の想像力が一段と鮮明に息衝いている。36歳というときに執筆された寂聴さんの「花芯」は、云わば「女性の女性による女性のための性」を追求していた作家の大いなる野望を、今の時代に示してくれる。けだし傑作なのである。
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5編の短編集で、表題作の「花芯」は、
作者が「子宮作家」と呼ばれるようになった所以のもの。
これによって長く文壇をほされていたというが、
今の時代では、その生々しい表現が小気味よくマッチし、
サクサク読み進めることができた。
私は表題作よりも、巻頭の「いろ」が好きだ。
老女の愛と性を描かせたら、この人以上の作者がいるのだろうか。
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京刺繍のようにしっとりとした綺麗な文章でした。
品を作るとか妙な媚びのない、すっとする美しさ。
女の心と身体を扱うのなら、こうでなくてはと思う。
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貸してくれる人があって読んだ。
5作の短編集。女性の孤独を描いた作品群。
ひとつめの『いろ』が一番すき。
主人公の「るい」という名前といい、設定といい、うまい。
瀬戸内晴美の時代の作品で、「瀬戸内晴美は奔放な官能小説を書いていた」と聞いていて、 特に興味も持たず読んだことがなかった。
50年程前に書かれたこの表題作によって、当時彼女は「子宮作家」というレッテルを貼られたそうだ。
わたしの聞いていた評判もこのあたりに端を発するのだろう。
たしかに女性のことばで書かれた性愛の描写がどの作品にもあるし、極普通の結婚生活を送るような男女の姿は描かれていない。
当時としてはセンセーショナルで、そこが取り沙汰されるのは仕方ないかもしれないが、この小説群の魅力はそれだけじゃない。文体の美しさ、登場人物のまっすぐさ、性表現もいやらしさを狙ったものではなく、品がある文学的な表現。
わざわざ「官能小説」というのもどうかと思う。
(正統な「官能小説」を読んだことないので性描写をメインとしているもの、と定義して話している。決して官能小説がほかの小説に劣るという意味合いで書いているわけではない)
女性の女性らしい感性を素直に書き過ぎてるゆえに、当時の男性がたには受け入れ難かったのかなあ?
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最後の花芯は子宮体質の女の話。今のところ子宮体質でないためいまいち理解できず。常に自分、自分、自分な女。こんなに自分のことばかりで報われるのか?ある意味羨ましい。他の短編の方が好き。
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1958年の発表当時、“ポルノ小説”“子宮作家”との毀誉褒貶を浴びた表題作「花芯」。
しかし今読んだらなんてことはない。取り立てて過激なわけでも淫靡なわけでもないのだから、その時代としては先を行き過ぎていた、ということになるのだろうか。
生まれながらに男を誘うような佇まいの園子は、幼なじみの雨宮と特別な愛情もなく結婚するが、 やがて雨宮の上司の越智に恋をしてしまう。
同性からことごとく反感を持たれる園子だが、貞操観念などない一方で、初めて感じる人を恋う気持ちに戸惑い悶えるところなど、私は好きだ。
しかしこの一編の中で一番衝撃だったのは北林未亡人と園子の一夜だ。 「花芯」についての論評を読んだことはないのだが、ここについてはどう論じられているのか気になるところだ。
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今まで私が読んできた瀬戸内さんの文章は、寂聴になってからの随筆がほとんどで、ずっと彼女の小説(特に晴美時代の)を読みたいと思っていました。
発表当時センセーションを巻き起こしたという「花芯」は気になっていたのだけれど、こうして読んでみると、本当にこれがン十年も前の作品なのかとビックリします。
当時の批評では「子宮」という言葉が多用されていると書かれたそうですが、読んでいるとそんなに気にならない。というか、それがキーワードになって作品の形をなしているように思います。
ただ、私が主人公の気持ちに共感できるか?というと、うーん、まだしっくりしませんね。
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表題作が最高に良かった!痛快と取れるようなとこもあって、声に出して笑ってしまうほど。あたしは度々「女」であることが嫌になるけど「女」でないとこの作品は理解できなかったかも。男性で本当に理解できるなら、とても貴重な人だ。性に奔放と言われる「女」ばかり。時には冷酷で怖いような…でもこの作品に出てくる「女」が理解できない女性とは分かり合えないかもなー。読了するのに休み休み数ヶ月かかった。これはあたしが「女」の気持ちになった時に、手に取る作品だった。最初の「いろ」も好きな話。時代背景と切ない結末がたまらなかった。